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英語学習を短期集中で効率的に身につける「時短英語」

正しいプロセスを身につけて効率良く英語を学ぶ

英語学習には正しいプロセスがある レベル別の学習方法をチェックして目標到達まで無理なく継続する方法を解説

2021年06月28日 07時00分更新

文● 藤原達矢(アバンギャルド)編集● ASCII

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 社会人になってから「英語をマスターしたい」と、一念発起して勉強を始めたものの、思うように身に付かず、中途半端なまま学習を止めてしまったり、せっかく通っていた英会話教室に行かなくなってしまったりする人は多いのではないだろうか。

 そこで今回は、英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」や、英語学習コーチングサービス「STRAIL」などを運営する株式会社スタディーハッカーの取材を行い、目標到達まで挫折せず、効率的に進められる英語の学習方法を教えてもらった。ここでは、これから英語を学ぶ人のレベル別に、必要な学習方法を連載形式で順に紹介していく。

効率的な英語学習には段階がある

 無駄なく効率的に英語を習得するためには、現在の自分の英語力と、それに合わせた最適な学習内容を考えることが大切だ。スタディーハッカーは、学習者のレベルに合わせた最適な学習方法を提案するために、外国語を習得するメカニズムを科学的に研究する「第二言語習得研究」の知見に基づいた「英語力マップ」を作成したという。英語力マップでは、学習者のレベルを次のフェーズ0から8に分け、各フェーズの英語力と学習方法を定義している。

フェーズ0:基本文法・基本語彙(基礎知識)

フェーズ1:ゆっくり読めば理解できる(リーディング)

フェーズ2:すばやく読める(リーディング)

フェーズ3:音声知覚ができている(リスニング)

フェーズ4:理解の処理がすばやくできる(リスニング)

フェーズ5:記憶にとどめておける(リスニング)

フェーズ6:正確に話し、書くことができる(スピーキング・ライティング)

フェーズ7:流暢に話し、書くことができる(スピーキング・ライティング)

フェーズ8:複雑に話し、書くことができる(スピーキング・ライティング)

 

 英語を効率よく身につけるためには、自分のレベルに合わせてフェーズ0から順に学習していくのが最も近道だという。下のフェーズを習得しないまま次のフェーズに進んでも英語学習の効果が薄かったり、遠回りになったりしてしまうわけだ。

 例えば、英語でプレゼンをしたいと思って英会話教室に通い、いきなりネイティブスピーカーと会話の練習をする人もいるが、英語力マップを見ると、スピーキング力が身につくのはフェーズ6以降だ。文法や語彙などの基本的な知識がないフェーズ0の状態でいきなり会話の練習をしても、かえって習得に時間を要してしまうことが、英語力マップを見るとわかる。

 「海外で商談をしたい」や「英字新聞を読めるようになりたい」など、英語を学習する動機は人によって異なるが、一見役立ちそうなスピーキングやリーディングの練習だけをいきなり始めるのではなく、現在の英語力を見極めた上で、どのフェーズから学習をすれば良いか考えることが大切だ。

「ゆっくり読めば理解できる」状態を目指す
フェーズ0→1の学習カリキュラム

 今回は、フェーズ0から1へ進むために必要な学習カリキュラムを解説していく。フェーズ0は、中学や高校で学んだ英語の文法や語彙などの基礎知識をかなり忘れてしまっている人を指す。中学や高校卒業以降、英語の勉強をしておらず、社会人になってから久しぶりに再開すると、フェーズ0という状態の人も多いのではないだろうか。

 ENGLISH COMPANYなどに通うと、トレーナーがマンツーマンで英語力チェックを行い、自分がどのフェーズにいるかを診断してくれるが、自己学習をする場合は、自分でフェーズ0かどうかをセルフチェックする必要がある。今回取材したスタディーハッカーの田畑翔子氏は、「TOEIC L&Rのリスニングパートの英文スクリプトを文字で読んでみて、内容をあまり理解できないという人は、まずフェーズ0から始める方が良いでしょう」と話す。 

株式会社スタディーハッカー 常務取締役 兼コンテンツ戦略企画部部長 田畑 翔子氏

単語は繰り返し覚えて定着させる

 それでは、フェーズ0の具体的な学習方法を解説しよう。英語力マップでは、主に「語彙」と「文法」の2つを学習ポイントとして挙げている。

 語彙に関しては、市販の英単語帳を購入して地道にインプットしていく。フェーズ0の人は、中学や高校で学習した英単語もあまり思い出せていない状態なので、最初は日常英会話で頻出する1000~2000単語を目標に覚えていく。同じく話を伺った同社コンテンツ戦略企画部の堀氏によると、2000語を覚えれば日常英会話の9割程度をカバーできると言われているそうだ。

 なお、最終的には4000語を覚えるとTOEICのテストで登場する単語の95%程度をカバーできるそうだが、最初からそこを目指すと挫折してしまうので、まずは、1000語や2000語をターゲットにすると良い。もちろん英語学習を続ける限り、単語は覚え続ける必要がある。フェーズ1以降でも、それぞれの学習と並行して単語の練習も続けながら、語彙力を増やしていこう。

株式会社スタディーハッカー コンテンツ戦略企画部 堀 登起子氏

 単語を覚えるというと、1日10個や20個など、少ない数を確実に覚えようとする人もいるが、堀氏によると、50語や100語の単語を一気に繰り返し学習する方が定着しやすいという。また、一度に5回程度繰り返すようにすると定着率がグッと上がるそうだ。

 「人は繰り返し反復して学習しないと、その場では覚えたと思っても、頭に定着せず、どんどん忘れてしまいます。そのため、1日100語単位で繰り返しチェックし、翌日や3日後、1週間後などに、もう一度学習するサイクルを繰り返すのが理想的。その際、たとえ思い出せなくても、思い出そうとする行為自体が、記憶を定着させる上では大切です」。その日に100語学習したら、翌日にもう一度同じ単語を確認して覚えているかチェックしてから、新しい100語の学習に取り組むというサイクルで、同じ単語に繰り返し触れる機会を増やす方が、効率的に覚えられる。

 さらに、単語を覚える際には「音」を意識することが重要だと堀氏は話す。「学習方法の大前提として、英単語も口に出して発音しながら覚えましょう。市販の単語帳に付属している音声データを聞きながら同じように発音すると、より身に付きやすくなります」。

 また、英語を日本語訳だけで覚えようとせず、イメージもセットで覚えることが理解を深めるための手助けになる。例えば、「apple」という単語を見たときに、「りんご」と日本語訳を思い浮かべるのではなく、りんごの絵を頭に思い浮かべる訓練をすると効果的だと堀氏は話す。もちろんイメージすることの難しい抽象的な単語もあるので、その場合はその単語が使われる場面をイメージするなど、可能な範囲で構わない。日本語だけで覚えないように意識することが重要だ。

文法の「コアイメージ」を理解する

 文法についても、フェーズ0の人は、中学や高校用の文法ドリルを用意して、基本的なことから押さえていく。なお、文法を覚える際には、「コア」(共通しているイメージ)を意識すると理解が深まり、定着しやすいと田畑氏は話す。「それぞれの文法事項のコアイメージを知り、日本語訳に頼らず理解するクセをつけると、丸暗記することも減り、応用が効きやすい知識になります」。

 例えば、中学1年生なら「have」という単語を初めは「〜を持っている」と覚えるが、学習が進むにつれ、同じhaveでも現在完了の「have+過去分詞」や助動詞の「have to」など、使い方や意味の異なる文法事項がどんどん登場し、覚えることが膨大に増えたとうんざりした人もいるだろう。しかし、haveの「Aを持っている」というコアイメージは、どの文法にも共通して応用できる。そのため、現在完了形の場合は「完了した状態をhaveしている」と、英語のままのイメージで理解できるわけだ。この感覚が根底にあれば、他の単語を用いた文法も理解が早まる。

 このコアイメージを掴むためにオススメの教材が、認知文法をベースにした文法ドリルだという。スタディーハッカーのコンテンツ開発にも携わっている時吉秀弥氏の「英文法の鬼100則」(明日香出版社)や「ハートで感じる英文法 決定版」(大西泰斗、ポール・マクベイ著:NHK出版)など、認知文法をベースにした文法教材はいくつかあるそうなので、書店などで探してみよう。

 文法のコアイメージを理解したら、頭の中で意味内容や情景をイメージしながら繰り返し音読をして定着させよう。このときに、「パターンプラクティス」を意識して、覚えたい文法表現が入った例文を少しずつ変えながら音読を行うと良い。この練習を続けることで、実際に英文を見たときに、理解のスピードが速くなり、英文をなるべく英文のままで意味に直結させられるようになる。英語を聞いて日本語訳に変換してから理解していると、特にリスニングなどではとうてい理解が追いつかず、実際に英語を使いこなすには難しいという。

 文法についても、語彙と同じように音読を交えながら覚えよう。「覚えた文法を実際に使えるようになるためには、音読の練習も大切です。将来的なスピーキング練習や実践も見据えてフェーズ0の段階から文法の例文を実際に音読するなど、音もセットで意識して定着させましょう」(田畑氏)。

 今回解説した学習を行い、冒頭に紹介したTOEICのリスニングスクリプトなどで理解度をチェックした上で、次のフェーズ1に進もう。もし、フェーズ1の学習をした上で、フェーズ0の理解度が不足していると感じたら戻っても構わない。重要なのは、自分がどのフェーズにいるのかを理解することだ。今回は、フェーズ0→1について紹介した。次回は、フェーズ1→2の段階へ到達するための、効率的な学習方法を解説する。

■関連サイト
株式会社スタディーハッカー

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