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Apple M1搭載で大幅性能アップの「iPad Pro」&カラフル7色「iMac」特集 第32回

M1搭載「iMac」は24インチで4.5Kという実に「ちょうどいい」サイズ

2021年06月02日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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5月21日に販売を開始した、24インチの新iMac

 M1チップを搭載したiMacについては、すでに筆者としてのファーストインプレッションの記事を掲載させていただいた。そこでは、驚くほど高音質な内蔵スピーカーの話から始めて、特に印象に残った部分についてだけかいつまんで取り上げた。今回は、そこから一歩踏み込んだ製品レビューをお届けする。

24インチで4.5Kというちょうどいいサイズ

 今回の24インチiMacが登場する直前のiMacのラインナップは、大きく分けると21.5インチと27インチという2種類の画面サイズのシリーズとなっていた。ディスプレーにだけ注目すると、前者の解像度は1920×1080の「いわゆるフルHD」、後者は5120×2880の5Kで、画面の物理的な寸法以上に解像度の差は大きなものだった。今回の24インチモデルの最大解像度は4480×2520となっていて、寸法も解像度もこれまでのモデルの中間に位置する。ただし、iMacのラインナップが3種類になったわけではなく、新しい24インチモデルが、21.5インチモデルを置き換えることになるはずだ。現状では、21.5インチも1モデルだけが辛うじて残っているが、おそらく在庫限りのものとなるだろう。

 新しい24インチモデルの4.5Kというサイズと解像度は、これまであまり一般的なものではなく、やや中途半端にも感じられる。とはいえ、実は24インチで4.5Kという解像度は、27インチで5Kという組み合わせと、ピクセルの密度という点ではほぼ同じ。これで小さい方のiMacも、iMacのRetinaディスプレーとして標準的なピクセル密度になったと言える。

 そしてこの24インチというサイズは、実は大きすぎず小さすぎず、実に「ちょうどいい」と感じるユーザーも多いと思われる。これまでの21.5インチでは、ちょっと小さすぎて窮屈だし、27インチは、表示可能な情報量としては申し分なくても、特に日本の一般家庭の住宅事情を考えると、やはり大きすぎると感じていた人も多かったのではないか。Macに限らず、液晶モニターの単体製品としては、23〜24インチあたりがほぼ標準的なサイズと考えられるが、ベゼルも細いiMacの24インチモデルは、正面から見たサイズ感として、同サイズクラスの液晶モニターとほとんど変わらない。それでいて、横から見た厚みは、ほとんどの液晶モニターよりもはるかに薄い。約4.5kgという重量も、同サイズの液晶モニターとあまり変わらないか、むしろ軽い場合さえある。この薄さと軽さによって、机の上での取り回しは非常に楽になった。

 サイズは変わっても、iMacとしての基本的なデザインは、これまでのものを踏襲している。スタンドも含めたこのタイプの本体は、前後(上下)方向の画面の角度の調整が楽にできるというメリットを持つ半面、高さ調整ができないという欠点もある。今回のスタンドも、基本的には同じ仕組みで、これまでの利点と欠点をそのまま受け継いでいる。

 また、これは薄さを優先した結果と思われるが、液晶画面の下には、左右と上辺とほぼ同じ幅の見かけのベゼルに加えて、「本体」としての出っ張りがある。白く縁取られたベゼル部分から、さらに下に55mmほど突き出している。結局その分だけ画面の高さが高くなるのは避けられない。iMacを置いた机の面から本体上辺までの高さは、画面を垂直にした状態で、実測約462mmある。これは、24インチの画面サイズにしては、一般的な液晶モニターと比べて高い方だ。

 小柄なユーザーの場合、机に対してちょうどいい高さに椅子を調整すると、じゃっかん画面を見上げる感じになるかもしれない。それでも、27インチモデルの場合には、同様に測って上辺の位置は516mmの高さがある。それに比べれば、5cm以上(54mm)低い。この差は数字で示すよりも大きく感じられる。それも含めて、24インチモデルの方が扱いやすいサイズに収まっているのは確かだ。

カメラのレンズは、本体の上辺中央にある

 本体の高さは、画面だけでなく、画面の上辺中央に位置するカメラの高さにも影響する。ちなみに、カメラは上辺の白いベゼル部分の左右、上下方向とも中央に取り付けられている。レンズの中央の卓上面からの高さは、約455mmだ。24インチクラスの液晶モニターに外付けのウェブカメラなどを取り付ければ、ほとんど同じ高さのレンジに入るだろう。

 この位置でも多少高いと感じられる人もいるだろう。しかしカメラは、下から見上げるよりは、上から見下ろす方が、落ち着いた感じの画像になるため、問題とはならないはず。ただし、当然ながら画面とカメラが一体なので、画面を見やすい角度に向けると、それに応じてカメラの画角が変化してしまう。テレビ会議などの場合には、カメラの画角を優先して角度を決めるといいだろう。何しろ角度調整は1本の指で押したり引いたりしてもできるほど容易なので、臨機応変に調整して使えばいい。この角度調整のしやすさは、従来からiMacの大きな利点だ。

 念のために、角度の調整によって映る範囲がどれだけ違うかを調べてみた。人間を写す場合には、机や椅子の配置、体格などによってかなり撮れる範囲が異なるだろう。そこで、読者の手元で容易に再現でき、なるべく客観的な比較ができるような方法を考えてみた。iMacを壁から50cm離して壁に向けて置き、そこで画面の角度を振って、上下方向に写る範囲を比べる。範囲は、iMacのスタンドを置いた床面からの距離を壁に添わせたメジャーで測る。アプリはFaceTimeを使い、接続前の自映像の確認画面に映ったメジャーの範囲を読み取る。

本体を下向きにセットして、本体カメラで撮影した。だいたい定規の15〜51cmあたりが撮影範囲

本体を上向きにセットして、本体カメラで撮影。だいたい定規の38.5〜89.5cmあたりが撮影範囲

 iMacの画面は、垂直位置よりもやや下向きにも振れる。あまり正確な測定ではないが、下向きの最大角度は約-3度だ。上向きには、かなり大きく傾けることができ、垂直に対して約23度ほどまで角度を付けられる。下向きでは、だいたい15〜51cm、上向きでは、ほぼ38.5〜89.5cmの範囲を撮影できている。

 ここで、上向きの方が範囲が広くなっているのは、もちろんカメラの焦点距離が変化しているからではない。上向きになることによって、カメラが壁と並行ではなくなり、斜めに撮影することになるからだ。いずれにしても、上向きにはかなり大きな角度が付くので、机においたiMacを座って使うには、どう見ても上向き過ぎる。これは、普通の高さの机の上に置いたiMacを、その机の前に立って使うことを想定した角度調整範囲なのだろう。

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