このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第76回

モジュール交換で音質変化が楽しめるプレーヤーの歴史を振り返ってみる

2021年05月31日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

そして、いにしえ(?)のあの機種

 こうしたモジュール交換式DAPは過去にも存在していた。

 すべてのハイレゾDAPの元祖と言えるのは、2009年に発売されたHiFiMANの「HM801」だが、これは当初からアンプモジュール交換の仕組みを取り入れた初めてのDAPでもあった。オリジナルのアンプ(HM801アンプ写真の右)は高出力設計で低能率のヘッドホンに向いていたが、高出力設計にするとどうしてもノイズが多くなってしまい高感度のイヤホンで残留ノイズが聞こえてしまう。そこで開発されたのが、GAMEと呼ばれる高感度IEM用の追加モジュールだ。HM801の場合、ドライバーを使用してむき出しの基板を交換するので、やや注意が必要だった。現在のDAPの交換モジュールは、だいたい簡単に取り外しができるので大きな進歩を感じる。

HM801

右側がオリジナルのアンプ

 このように、モジュール交換式DAPは音質のアップグレードができるだけではなく、中庸になりがちな設計を「極振り」することも可能だ。また、実験的なモジュールを開発し、市場の反応を見ることもできる。この考えが進めば、逆にボディのほうを交換式にしてしまうのも面白いかもしれない。ディスプレーを廃し、小型に徹して、ストリーミングに特化するとか、カッパーシャーシなど高価な素材でアップグレードする選択肢を加えられるかもしれない。この分野の今後の発展も楽しみなことである。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン