そして、いにしえ(?)のあの機種
こうしたモジュール交換式DAPは過去にも存在していた。
すべてのハイレゾDAPの元祖と言えるのは、2009年に発売されたHiFiMANの「HM801」だが、これは当初からアンプモジュール交換の仕組みを取り入れた初めてのDAPでもあった。オリジナルのアンプ(HM801アンプ写真の右)は高出力設計で低能率のヘッドホンに向いていたが、高出力設計にするとどうしてもノイズが多くなってしまい高感度のイヤホンで残留ノイズが聞こえてしまう。そこで開発されたのが、GAMEと呼ばれる高感度IEM用の追加モジュールだ。HM801の場合、ドライバーを使用してむき出しの基板を交換するので、やや注意が必要だった。現在のDAPの交換モジュールは、だいたい簡単に取り外しができるので大きな進歩を感じる。
このように、モジュール交換式DAPは音質のアップグレードができるだけではなく、中庸になりがちな設計を「極振り」することも可能だ。また、実験的なモジュールを開発し、市場の反応を見ることもできる。この考えが進めば、逆にボディのほうを交換式にしてしまうのも面白いかもしれない。ディスプレーを廃し、小型に徹して、ストリーミングに特化するとか、カッパーシャーシなど高価な素材でアップグレードする選択肢を加えられるかもしれない。この分野の今後の発展も楽しみなことである。
この連載の記事
-
第275回
AV
ソリッドなステンレス筐体とK2HDサウンド、iFi audioの「Go bar 剣聖」 -
第274回
AV
いよいよSpotifyもロスレス配信か、Redditに解析情報 -
第273回
AV
ソニーが米国で展開し始めた、重低音新シリーズ「ULT POWER SOUND」とは? -
第272回
AV
自然な文章でプレイスリスト作成をうながせる、Spotifyの新機能 -
第271回
AV
音楽生成AIの進化速度に舌をまく、無料でも試せるStable Audio 2.0を使う -
第270回
AV
耳をふさがないイヤホンで高音質を追究したい人に、Cleer Audioがいいぞ!! -
第269回
AV
期待が高まる「Fokus Triumph」の音、NobleのMEMSスピーカー搭載イヤホン第3弾 -
第268回
AV
XPAN技術やWi-Fi 7、UWBなどをAIで統合した、クアルコムのFastConnect 7900 -
第267回
AV
K2HDに対応、個性的な機能備えたiFi audioのスティック型USB DAC「GO bar剣聖」 -
第266回
AV
日本とは異なる趣を持つ、ドイツのヘッドホンイベント“The World of Headphones” -
第265回
AV
Apple MusicとSpotifyの争いが飛び火? 欧州委員会がアップルに制裁金 - この連載の一覧へ