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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第76回

モジュール交換で音質変化が楽しめるプレーヤーの歴史を振り返ってみる

2021年05月31日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 ハイレゾプレーヤー(DAP:Digital Audio Player)は高価なものが多く、なかなか買い換えることが難しい。そこでモジュールを交換することで能力を変えられる「モジュール交換式」のプレーヤーをいくつか紹介していこう。

DAC+アンプを交換するタイプ

 Astell & Kernの「A&Futura SE180」は、最新のモジュール交換式プレーヤーだ。オールインワンモジュールと言って、交換できるのはDACとアンプの両方だ。アンプはDACの特性や音の個性に合わせて作る必要もあるので合理的な方式と言えるだろう。モジュールを本体に固定する方法は2ヵ所で止める(ダブルロック)方式を採用して、ネジ不要で確実な固定を保証している。また、モジュール式にすることで、ノイズを発生しやすい本体側のデジタル回路と電気的に分離可能な点が長所としてあげられているのも興味深い。

 モジュールはSE180に標準で付属する「SEM01」とオプションで購入する「SEM02」が現在のところ用意されている。SEM01はESS Technologyの「ES9038 PRO」を一基搭載している。これはA&Futura SE100に似た構成だが、アンプ部分も進化しているため音質は向上しているだろう。またモジュール分離式によるノイズ遮断効果も期待出来る。SEM02は旭化成エレクトロニクス(AKM)の「AK4497EQ」をLR独立でデュアル搭載。ESSと音色の違いを楽しめる。ともに4.4mmバランス端子を搭載している。

 Cayinの「N6ii DAP」もDACとアンプの両方を載せたモジュールの交換ができる。SE180と似た仕組みだが、Cayinではマザーボード交換式と呼んでいる。Cayinのオンラインショップを参照すると、現在では交換用のマザーボードは「A01」「A02」「T01」「E01」「E02」の5種類があり、それぞれを本体と組み合わされた形で販売している(例えば「N6ii/A02」ならば、N6iiとA02のセット販売)。また、マザーボードはそれぞれ別売りもしている。

 このうち「A02」はAK4497EQをデュアル搭載してデスクトップユースも考慮した設計を採用している。「T01」はPCM1792A DACをデュアル搭載したボードでフルバランス設計のアンプ回路と組み合わせている。「E01」はES9038 PROを採用したモジュールであり、かつアンプのモードをクラスA、クラスABの切り替えができるというユニークな設計を採用している。クラスAモードは高音質だが消費電力が高く、クラスABは高効率で低消費電力としている。ただし、他のモジュールのようにバランス出力は搭載されていない。「E02」ではES9038Q2Mをデュアルで搭載されてフルバランス設計が採用されている。

 なお、N6iiには新モデルの「N6ii Titanium R2R Limited Edition」が予定されており、これには「R01」という新しいマザーボードが付属する予定だ(単体販売も実施)。R01はディスクリート型のR2R DACを搭載するそうだ。

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