Apple M1搭載で大幅性能アップの「iPad Pro」&カラフル7色「iMac」特集 第31回
M1搭載iMacの「電源コネクター」まったく新しい機構の秘密
2021年05月25日 12時00分更新
以前のモデルと共通する雰囲気を残しつつも、近未来的な新しさが感じられるモダンなデザインに生まれ変わったiMacには、注目すべき点が数多い。ここでは、その中から通常は無視されてしまいがちだが、実はまったく新しい機構を採用した部分に注目する。それは電源コネクターだ。
有線LAN接続用コネクターを兼ねた電源コネクター
以前のiMacは、家庭用のAC電源からDC電源を得るためのスイッチングレギュレーターを本体内に内蔵しており、本体の背面に直接AC電源コネクターを接続するようになっていた。それは長年慣れ親しんだものだったが、いったん新しいiMacを見てしまうと、なんだか無粋に感じられる。
あたかもデスクトップ版iPadのように薄くなった新しいiMacでは、そもそもAC電源用のレギュレーターを内蔵することは難しく、ほぼ必然的に電源部は外付けとなる。Macのデスクトップモデルとしては、初期のMac miniと同様の措置だ。しかもiMacの場合には、本体が薄い分だけ、DC電源の入力コネクターにも工夫が必要となる。以前のように背面のスタンドの下からDC電源を供給するためには、本体側のコネクター自体も薄型にする必要がある。
そこで新しいiMacが採用したのは、以前のMacBookシリーズが採用していたMagSafe電源コネクターを円筒形にしたような、磁力で吸着するタイプのDC電源コネクターだった。これについては、すでにこの春のアップルのイベントで発表されていた。
実際に使ってみると、この磁力による吸着はなかなか強力で、いったん接合するとかなり強い力で引かないと外せない。少なくともケーブルをちょっとひっかけてしまった際に、簡単に抜けるようなものではない。いったん設置すれば、めったに抜き差ししないであろうコネクターにわざわざマグネット吸着機構を採用したのは、抜けにくくするという以外にも理由がありそうだ。それは「向きを揃える」ためだと思われるが、それについては後で改めて述べる。
このコネクターは薄いだけでなく、1つの重要なしかけを内蔵する。それは、コネクター内部にEthernetポートに相当する電気的な接点を設けていることだ。それによって、従来のiMacでは本体背面に取り付けられていたEthernetポートを、外部の電源アダプターに移動するためだ。このような構成についても、上で述べたオンラインイベントで、すでに発表されていた。ただし、それがどのような仕組みで実現されているのかについては、現物を手にするまで不明だった。
そこで本稿では、iMacの背面のDC電源コネクターに的を絞って、その構造と仕組みをピンポイントで解説する。
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