チップセットはハイエンド、低価格でもゲームは快適
性能面でも非常に特徴的な要素を備えている。というのもRAMは8GB、ストレージは128GBなのだが、国内投入されたスマートフォンとしては初めて、チップセットに「Snapdragon 870」を搭載しているのだ。
これは「Snapdragon 865 Plus」の強化版という位置付けで、最新の「Snapdragon 888」より性能は落ちるものの、2020年に発売された多くのハイエンドスマートフォンが搭載していた「Snapdragon 865」より高い性能を誇る。実際にベンチマークを試してみたところ、Snapdragon 888搭載機種より低いとはいえ、かなり高いスコアを記録していた。
さらに「PUBG MOBILE」のグラフィック設定を確認すると、「FHD」でフレーム設定を「ウルトラ」まで上げることが可能。「原神」の画質設定もデフォルトで「中」と、ミドル~ミドルハイクラスの端末と比べれば明らかに性能が高いことが分かる。
そうしたことからゲームプレイには申し分ない性能を持つといえるが、それに加えてmoto g100は、ディスプレーのリフレッシュレートを90Hzにまで上げることができる。ハイエンドモデルの多くが対応している120Hzではないのがやや惜しいが、価格も安いだけに、ゲームを楽しむことを重視する人にはかなり適しているといえそうだ。
バッテリー容量も5000mAhと、本体が厚く重い分かなりの大容量。急速充電の「TurboPower」にも対応しているので、バッテリーの減りが気になる長時間の外出や、ゲームプレイ時も安心感は高いだろう。
もう1つ、性能面の特徴として挙げられるのが5Gなのだが、moto g100は主な対応周波数のうち、3.7GHz帯のn77/n78には対応しているが、4.5GHz帯のn79には対応していない。そうしたことからドコモの回線で5Gを利用する場合、エリア面で制約が出てくる点に注意が必要だ。
ちなみにSIMはnanoSIM×2のデュアルSIM構造。ただし5Gに対応するのはそのうち一方のみとなるようだ。
大画面でさまざまな機能が使える「Ready For」の実力
moto g100はスマートフォン単体で利用する機能だけでなく、新たに「Ready For」という機能にも対応したのが大きなポイントにもなっている。これはディスプレーに接続することで、パソコンのようなデスクトップ画面で作業したり、大画面で動画やゲームなどが楽しめたりするという機能だ。
この機能を利用するには、ディスプレーとUSB Type-Cケーブル、またはUSB-C-to-HDMIケーブルで接続する必要がある。接続すると自動的にReady Forの画面が現れるので、後はmoto g100をタッチパッドとして操作することで、好きな機能やアプリを利用することが可能。もちろんマウスやキーボード、ゲームコントローラーなどを接続して利用することも可能だ。
同様の機能はサムスンやファーウェイのハイエンドモデルにもあったものなのだが、Ready Forがそれらと違う点は、ビデオ電話サービスを利用する際に顔をトラッキングしてくれる機能を備えていること。2つのフロントカメラを搭載していることを生かし、一方のカメラで全体を捉え、もう一方のカメラでその中から顔の部分を追従してくれることから、たとえば何らかの作業をしながら、ビデオ電話で会話をするような時に便利だ。
ただこの機能をうまく利用するには、moto g100を固定しておく必要がある。専用のクレイドルは国内では販売されていないので、別途三脚などを用意し、ディスプレーの近くに固定しておく必要があるのに注意が必要だ。
実際にReady Forで色々なアプリを試してみたのだが、デスクトップでパソコンのように便利に活用するには、ある程度使いやすいようアプリや設定を整える必要があり、準備にやや時間をかける必要がある印象だ。またゲームに関しては、そもそもコントローラーやキーボード・マウスによる操作に対応していないものが多く、大画面で表示はできてもプレイ自体がしづらくなってしまうケースが少なからずあった。
こうした課題は必ずしもReady Forに限ったものではないのだが、スマートフォンをパソコンのように大画面で活用するにはやや工夫と努力が必要なことは覚えておきたい。
【まとめ】重さと厚さはデメリットだが特徴が際立つ面白いモデル
moto g100はハイエンドモデルに匹敵する性能を備えながらも、液晶ディスプレーの採用など随所でコストを落とすことで、公式オンラインストアのMOTO STOREでの価格は5万8800円と非常に低価格に抑えられていることから、ゲームや動画などを安価で快適に楽しむ上ではオトク感が非常に高い。Ready Forはやや利用シーンを選ぶ印象もあるが、フェイストラッキングなどは活用の仕方次第で化ける可能性もあるだろう。
もちろんスマートフォン単体で利用することを考えると、本体の厚さと重さが気になるというのは正直な所。だが非常に際立つ特徴を多く備えているだけに、ハマる人にはかなりハマるモデルとなりそうだ。
モトローラ「moto g100」の主なスペック | |
---|---|
ディスプレー | 6.7型液晶(20:9) |
画面解像度 | 1080×2520 |
サイズ | 約73.97×168.38×9.69mm |
重量 | 約215g |
CPU | Snapdragon 870(オクタコア) |
内蔵メモリー | 8GB |
内蔵ストレージ | 128GB |
外部ストレージ | microSDXC(最大1TB) |
OS | Android 11 |
対応バンド | 5G NR:n1/n3/n5/n7/n8 /n28/n38/n41/n66/n77/n78 LTE:1/2/3/5/7/8/18/19 /20/26/28/38/40/41 W-CDMA:1/2/5/8 4バンドGSM |
DSDV | ○(5G+4G) |
対応ネットワーク | ドコモ/au/SB |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
カメラ画素数 | 64メガ(標準)+16メガ(超広角) +16メガ(マクロ)+2メガ(深度)+ToF イン:16メガ+8メガ(超広角) |
バッテリー容量 | 5000mAh(20W急速充電対応) |
FeliCa/NFC | ×/○ |
生体認証 | ○(指紋) |
SIM | nanoSIM×2 |
USB端子 | Type-C |
イヤホン | ○ |
カラバリ | イリディセントスカイ |
発売時期 | 5月28日 |
価格(税込) | 5万8800円 |
この連載の記事
-
第516回
スマホ
カメラやAIの性能に違いはあるのか? Xiaomi 14Tと14T Proを使い比べてみた -
第515回
スマホ
日本発売が決定した可変絞りカメラ搭載のハイエンドスマホ「nubia Z70 Ultra」速攻チェック -
第514回
スマホ
2人同時に音楽を楽しめる青春スマホ「nubia Music」に新しい可能性をを見た -
第513回
スマホ
4万円で買えるゲーミングスマホも! コスパに優れたデザインスマホ「realme 13」シリーズがアツイ! -
第513回
スマホ
100倍望遠が実用的なスマホ「vivo X200 Pro」はカメラ性能が変わらず最強だった -
第512回
スマホ
ツァイスカメラ搭載のスマホ「vivo V40」は可変色LEDライトでポートレート撮影も得意 -
第511回
スマホ
価格も性能も妥協したくない人にオススメの王道ハイエンドスマホ3選 -
第510回
スマホ
スマホは高くない! 2万円台で買えるオススメ格安エントリースマホ4選 -
第509回
スマホ
着せ替えスマホ「CMF Phone 1」はカスタマイズが楽しいが実用面での弱点もあり -
第508回
スマホ
たたんでも極薄9.2mm! 世界最薄折りたたみスマホ「HONOR Magic V3」を試す -
第507回
スマホ
シャオミの「Redmi Note 13 Pro+ 5G」は2億画素カメラに防水防塵など必要な機能が揃って6万円以下 - この連載の一覧へ