実際に各種アプリを動かしてみた
ざっと動かしてみて気がついたことだが、Windows側でディスプレイの倍率設定が推奨値になっていない場合、かなり小さなウィンドウで表示されてしまう。
扱いとしては、Windows XP時代の高DPI非対応アプリケーションと同じである。アプリケーションの設定で大きなフォントなどを使うことは可能だが、今のところWSL2側で表示倍率の設定などはできなさそうだ。というのも、Linux GUIの表示関係のプログラムは、システムディストリビューション側にあり、WSLディストリビューションからは制御できそうにないからだ。このあたり、もう少し研究してみたい。
LibreOfficeにはWindows版もあるが、Linux版と同時に起動して、ドローイングデータをコピー&ペーストした。これだと、LibreDrawの図形データは、画像として貼り付けられてしまう。
Windows版LibreOffice(写真左上)でコピーした図形(シェイプ)は、Linux版(右下)に貼り付けると画像(Image)になってしまう。シェイプは単独で選択できるのに、貼り付け先では全部が1つの画像になっている。これはクリップボード経由でネイティブのデータ形式を交換できないからだと考えられる
つまり、クリップボードのうち、標準的なデータ形式の貼り付けには対応しているものの、独自形式での貼り付けまでは変換してくれないようだ。逆に言えば、テキストや画像といった標準的な形式のデータであれば、クリップボードを介して、コピー&ペーストは可能である。最低限のところはカバーしているということか。
GUIアプリは動いたけど、さてどうする?
LinuxのGUIアプリに対応しているOSには、ChromebookのChromeOSがある。しかし、WindowsとChromebookでは大分事情が違う。Chromebookの場合、独自アプリを断念した状態で、現在主要アプリケーションはAndroidアプリとLinuxアプリしかない。このため、LibreOfficeのようなウィンドウ表示に対応したLinux GUIアプリケーションを動作させることには意味がある。
しかし、LinuxやUnixに起源を持つGUIアプリケーションのうち、主要なものは、Windowsへの移植も進められている。また、Windows側のアプリケーションは、WSL2側のファイルシステムにアクセスが可能である。そう考えると、同じGUIアプリケーションがWindows側で動作するなら、なにもわざわざわWSL2側で動かすこともないとも感じられる。
もちろん、Windowsには移植されていないGUIアプリケーションも多数ある。あるいは、企業などで開発した独自アプリケーションも存在するだろう。こうしたものを動かすことには意味がある。しかし、一般ユーザーから見れば、Linux GUIアプリケーションへの対応は、見た目の派手さとは裏腹にあまり必要がないのかもしれない。もっとも、WindowsでLinuxといった時点で一般ユーザーには興味のないことかもしれないが。

この連載の記事
-
第508回
PC
Scalable Vector Graphics(SVG)そもそも何なのか? -
第507回
PC
Windows 11の「開発者モード」とは何か? -
第506回
PC
Windows 11は早くも来秋登場の26H2プレビューの準備が始まる -
第505回
PC
結構変化しているWindows 11のエクスプローラーの基本設定を見直す -
第504回
PC
新しいOutlookとOutlook Classic、そろそろ古いOutlookとExchangeの組み合わせは引退の頃合いか -
第503回
PC
機能が増えたこともあり、寄せ集めから統合化に進むWindowsの便利ツール「PowerToys」 -
第502回
PC
Windows 11でBluetoothのオーディオ新規格「Bluetooth LE Audio」を試す -
第501回
PC
Windows 11 Ver.25H2での変更点、新機能を整理する -
第500回
PC
Windows 11 Ver.25H2が完成した -
第499回
PC
Windowsでの致命的だが回復可能なエラーに備える手段を2つ紹介 -
第498回
PC
Windows Terminalの安定版V1.23が公開 設定UIが改良される - この連載の一覧へ












