M.2ストレージはすっかり普及しており、たとえば直近に登場したZ590マザーボードにはM.2スロットが3つ用意されているものが多い。またNVMeストレージについてもバリエーションが増えており、システム用だけでなく、アプリケーション用のスペース、もしくは仮想記憶ディスク用といったこともやりやすくなった。
というわけで、現環境からスピンドルをなくしてみようと、M.2ストレージを求めて某PCショップへ立ち寄ったところ、なじみの店員が「これですよね?」と何も言っていないのに見せてきたのが「AORUS Gen4 7000s SSD」だった。そして、気がついたら購入していた。「最新、爆速、ヤッター!」といったコトダマを聴いた覚えはあるのだが。ヤッター!
AORUS Gen4 7000s SSDは2つのモデルがあり、ビジュアルは同じ。「GP-AG70S1TB」が1TBモデル、「GP-AG70S2TB」が2TBモデルだ。以下の表のように実効性能のほか、容量やDRAM容量などは2TBモデルが高くなっているが、シーケンシャルリードについては、どちらも7GB/sだ。
性能重視からすると2TBモデルとなるのだが、一般的な用途だと性能の違いを強く体感できるケースは少ないので、単純にお財布の中身と相談して選ぶのが妥当だろう。今回購入したものは1TBモデルの「GP-AG70S1TB」だが、ほどよく編集部に2TBモデルの「GP-AG70S2TB」があったため、本稿では2TBモデルを中心にチェックしていく。
| AORUS Gen4 7000s SSD スペック表 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 型番 | GP-AG70S2TB | GP-AG70S1TB | ||||
| 容量 | 2TB | 1TB | ||||
| コントローラー | PHISON PS5018-E18 | |||||
| NANDフラッシュ | 3D TLC | |||||
| キャッシュ | LPDDR4 2GB | LPDDR4 1GB | ||||
| シーケンシャルリード | 7000MB/s | |||||
| シーケンシャルライト | 6850MB/s | 5500MB/s | ||||
| ランダムリード | 65万IOPS | 35万IOPS | ||||
| ランダムライト | 70万IOPS | |||||
| 動作温度 | 0~70°C | |||||
| 平均消費電力 | リード6.6W、ライト6.5W | リード7.6W、ライト8.4W | ||||
| 平均故障間隔 | 160万時間 | |||||
| 総書込量 | 1400TBW | 700TBW | ||||
| 保証期間 | 5年 | |||||
AORUS Gen4 7000s SSDは、新開発のヒートシンクを採用したモデルになり、コントローラーはPHISON PS5018-E18となる。PS5016-E16の後継となるもので、プロセッサーにARM Cortex R5を採用している。TSMCの12nmプロセスになったことでM.2ストレージの課題となっている発熱量の低下を期待する読者もいるハズだが、チャンネル数が増えて性能は向上したものの、PS5016-E16と似た発熱傾向にある。よってヒートシンクレスでの運用は現実的ではなく、このあたりは他のPHISON PS5018-E18搭載製品と変わらない。
まず取り付けから見ていこう。サイズは80.5×11.4×23.5mmになっており、マザーボードに取り付けられているM.2スロット用ヒートシンクよりも1.5mほど背が高くなりやすい。現行のマザーボードの多くが、巨大化したビデオカードで隠れやすい位置にM.2スロットを用意しているが、ビデオカードとの干渉はまずなく余裕がある(テスト環境はGIGABYTE X570 AORUS MASTERとRadeon RX 6900XTのリファレンスモデル)。
ヒートシンクは側面のネジ×4を外すだけでいい。基板を見ると両面実装、サーマルパッドでサンドイッチしてヒートシンクに熱を逃がすスタンダードな作りだ。ヒートシンクは溝が深く、また表面にナノカーボン・コーティングを施したことで放熱面積を最大化しているという。底部はアルミ製ベースプレートとあるだけで、特別な処理は施していない模様。
NANDフラッシュはMicron IA7BG64AIA。PHISON PS5018-E18搭載製品の多くと同じNANDフラッシュであり、DDR 4もSK hynix製だ。そのため、細かい素性については別段触れる必要はないほか、性能的にも当然似ている。
注意点はX570チップセットの場合、CPU接続とチップセット接続ともPCIe Gen4 x4になっており、カタログスペックに近い性能を引き出したい場合はCPU接続を選ぶ必要がある。チップセット側でも十分に高速だがランダム性能が大きく低下しやすい。
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