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「OpenShift」のコアビジネス化に向けた取り組みを加速、業種ソリューション提案も強化へ

DX目指す企業に「オープンな組織文化」も提供、レッドハット新年度戦略

2021年04月14日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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DXを加速させるうえでは「オープンな企業カルチャー」も必須

 そして、最後の5つめに挙げたのが「オープンな企業カルチャーへの変革の支援」である。岡氏は、こうした組織文化の変革は企業がDXを加速させるうえで「必須」の取り組みであると強調する。

 「顧客とDXについて議論すると、多くの場合は、社内業務をどう効率化するかという内向きの話か、顧客にまったく新しい製品/サービスをどう届けるかという外向きの話のどちらかになる。しかし私自身は、それらの成功を左右するのは『カルチャーの変革』だと考えている」(岡氏)

 具体的には、「まずはリリースしたうえで、改善を積み重ねる」「俊敏性をもって有機的にビジネス活動を行う」「『誰が言ったか』ではなく『何を言ったか』を重視する」といったカルチャーを醸成することが重要であり、そうした“オープンオーガナイゼーション”という組織文化のDNAを持つレッドハットから、コンサルティングサービスや製品、営業活動を通じて、顧客企業に対して影響を及ぼしていきたいと述べる。

レッドハットがDNAとして持つ“オープンオーガナイゼーション”の組織文化が必要だと強調

顧客企業のカルチャー変革を目指すコンサルティングサービスも人員を強化していると述べた

 もうひとつ、岡氏はレッドハット自身の変革にも注力したいと述べた。

 まずは「まだまだ成長余力がある」と語るOpenShiftビジネスへの注力だ。社内でも、RHELに続く新たなコアビジネスとしてOpenShiftに対する期待が高まっているものの、「アクションにまでは落とし込めていない」。しっかりアクションに落とし込むことで、2つめのコアビジネスとして成長させていく方針を示す。

 また、戦略的重要性の高い顧客に対してリソースを集中配置していく方針もとる。これまでは、同じ業界内の顧客企業に対して“横並び”でリソースを配分していたが、今後は重点顧客にリソースをより集中させていくという。具体的には「すでにDXに舵を切っていて、スピードの速い顧客」に対して重点的なリソース配置を行っていく方針であり、そのための組織再配置などを行っていると説明した。「オープンハイブリッドクラウドを浸透させるためには、かなり差別化をする必要があると考えている」(岡氏)。

 そして3点目として、日本版のオープンオーガナイゼーションづくりに取り組み、働きやすい会社文化を醸成していきたいと述べた。岡氏自身としても、経営判断の背景をしっかりと社内に説明し、透明性をもった経営を行い、間違いがあれば認める、アクセスしやすいリーダーであり続けることが求められると考えているという。

岡氏はレッドハット自身のビジネスや組織、文化の改革にも積極的に取り組む姿勢を示した

5G領域でオープン化を目指すパートナー、NTTドコモとNECもコメント

 説明会では、パートナーとしてレッドハットと協業するNTTドコモ、NECもそれぞれコメントした。

 NTTドコモ CTOの谷直樹氏は、現在同社がサービス展開を加速させている5Gは、DXとビジネスイノベーションに貢献するテクノロジーであり、「あらゆる産業の基盤として進化していくものと期待している」と述べる。それを実現するためには、幅広いユースケース、ニーズ、マーケットに対応できるネットワークと通信サービスを提供することが求められるため、5Gネットワークのさまざまな構成要素を組み合わせられる環境、すなわち「ネットワークのオープン化」が鍵を握っていると説明した。

 そのために今年2月、NTTドコモがグローバルITベンダー12社と共に立ち上げたのが「5GオープンRANエコシステム」である。オープンな5G無線アクセスネットワーク(RAN)をすでに商用運用しているドコモと12社が協力し、海外通信キャリアに対して各キャリアのニーズに応じた最適なオープンRANをパッケージ化、提供することを目指す取り組みであり、レッドハットもパートナーの1社に加わっている。

 ドコモでは、このエコシステムの中でvRAN(仮想化基地局)の商用化に向けた開発に取り組むことを表明しており、レッドハットが提供する仮想化基盤を通じたvRANエコシステムの活性化や、オープンソースコミュニティへの貢献に期待していると述べた。

(左)NTTドコモ 常務執行役員(CTO) R&Dイノベーション本部長の谷直樹氏。(右)5GオープンRANエコシステムで取り組むvRANシステムの概要

 NEC 執行役員常務の河村厚男氏は、社会基盤としての5Gネットワーク実現を目指す同社のビジョンを紹介したうえで、そのポイントは「オープン化」と「ソフトウェア化」にあると説明する。

 NECでは「O-RANアライアンス」に参画しており、マルチベンダー接続が可能な基地局製品をラインアップしている。さらに、基地局やコアネットワークにおいても、コンテナ基盤や仮想化基盤に対応したクラウドネイティブなソフトウェアで実現している。こうした特徴はネットワーク運用の最適化にも寄与するものであり、AI/機械学習やビッグデータ分析といったNECの自社技術と組み合わせて完全自動化に取り組むと説明した。

 NECとレッドハットでは同日、OpenShift上で動作する5Gコア(5GC)ネットワークソリューションの提供を発表している。OpenShiftをCNF(クラウドネイティブネットワーク機能)のインフラとして活用することで、5GCやvRANにとどまらず、エッジコンピューティングやAI/機械学習といった幅広いユースケースへの適用が可能になるとしている。

(左)日本電気(NEC) 執行役員常務の河村厚男氏。(右)NECではOpenShift上で稼働する5Gコアソリューションをグローバル展開していく方針

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