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誰でもAIが使える!「Azure Cognitive Services」をみんなで学ぶ 第1回

AI活用の高いハードルを引き下げるコグニティブサービスについて学ぼう

AIと「Azure Cognitive Services」の基本を理解する

2021年04月07日 08時00分更新

文● 三木拓海/FIXER 編集●大塚/TECHASCIIjp

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Azure Cognitive Services(コグニティブサービス)

 Azure Cognitive Servicesとは、Azureで提供されている「学習済みモデル提供サービス」です。

機械学習の高いハードルを引き下げるには?

 先に「機械学習は機械が自分で学習する」と書きましたが、機械に学ばせる仕組みは人間が用意しなければならず、初心者がゼロから機械学習に取り組むにはとても高いハードルがあります。プログラミングのスキルはもちろん、統計やアルゴリズムといった数学的な知識も必要とします。

 そのハードルを引き下げるために、Azureでは「Azure Machine Learning(Azure ML)」のような機械学習をサポートするサービスを用意しており、比較的簡単に、自分で新しいモデルを作成することができます。

 しかし、機械学習で精度の高いモデルを作成するためには、もう一つの関門があります。それは膨大な量の学習データです。機械学習で作成するモデルの精度は学習データの量に大きく影響されます。学習させたい内容にもよりますが、一般的には精度を高めたければ、より多くのデータが必要になります。

 たとえば、いろいろなモノが写っている画像の中から正確に「プリン」を見つけ出すモデルを作るためには、さまざまな種類、さまざまな大きさのプリン画像を数千、数万枚と用意しなければなりません。また、人の話し声をテキストに変換する音声認識モデルを作成する場合でも、人それぞれ声質や発声は異なるため、数百人、数千人分のデータを用意する必要があります。こうした大量のデータは収集するだけでも困難です。

 また、学習させるデータの良し悪しも関わってきます。たとえばプリンの画像を大量に集めることができたとしても、ものすごく偏りがあったとしたらどうでしょう。極端な例ですが、変わり種の抹茶プリンの写真ばかりを学習して「プリンは緑色」だと学習してしまう可能性すらあります。

精度の高いモデルが用意されたコグニティブサービス

 こうした工程を一つひとつ苦労して行うよりも、あらかじめ学習済みの精度の高いモデルがあるならば、それを使うほうが便利ではないでしょうか。そこで、Azureではコグニティブサービスが用意されています。

 コグニティブサービスは、マイクロソフトがAzure上に蓄えた膨大なデータで学習させた精度の高いモデルを用意し、それを使いやすい形で提供するクラウドサービスです。「コグニティブ(Cognitive)」という言葉は「認識の~、認知の~」という意味で、人間が持つ視覚や音声の認識能力を再現したAIが、精度の高い認識能力を提供します。

Azure Cognitive Servicesは“人工知能パーツ群”

 コグニティブサービスでは、REST APIとクライアントライブラリSDKが提供されており、あらゆるプログラミング言語から“人工知能パーツ”として呼び出して利用することが可能です。さらに「Microsoft Power Apps」や「Azure Logic Apps」といったノーコード/ローコードのツールと連携させて利用することもできます。

 たとえば、写真の中から人の顔を検出して年齢を推定したり、文章を品詞分解したり、音声をテキストに変換したりするなど、学習済みAIが備える高度な能力を簡単に呼び出し、今すぐアプリケーションに組み込んで使うことができるのです。

コグニティブサービスのAI機能をさまざまなアプリケーションに組み込んで活用できる

次回から実際にコグニティブサービスを使ってみましょう

 今回はAIをまったく知らないという方にも興味をもっていただけるよう、現代のAIを学ぶにあたっての背景やキーワードの紹介をさせていただきました。次回以降は、Azureのコグニティブサービスがどのくらい簡単に使えるのか、実際に試していきたいと思います。どうぞお楽しみに!

■今回のポイントまとめ!

  • AIは人工知能の略称であり、人間の知能をコンピューターで再現したものの総称
  • 今ブームになっているAIのほとんどは機械学習のことを意味している
  • 機械学習とは、機械がデータを学習して予測や識別のためのモデルを作る技術
  • モデルを使うことで新たなデータから推論ができる
  • Azureコグニティブサービスは学習済みモデルを提供するサービス
  • さまざまなプログラムに高度かつ精度の高いAIの能力を簡単に組み込むことができる

FIXER Inc. 三木 拓海

 FIXER2020新卒の三木拓海です! 東京工業大学院でCGの研究室に居ました。
 芝居とお酒が好きです。

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