好調な日本市場では「サブスクリプションモデルへの移行が顕著」
ピュア・ストレージ、最新版Purityと第3世代「FlashArray//C」発表
2021年03月22日 07時00分更新
ピュア・ストレージ・ジャパンは2021年3月16日、NVMeストレージ「FlashArray」とファイル/オブジェクトストレージ「FlashBlade」の各OS(Purity//FA、Purity//FB)において、それそれ最新バージョンを発表した。合わせて、低価格なNAND QLCフラッシュメモリを採用した「FlashArray//C」もエントリー製品ラインを強化している。
サブスクリプション売上が32%増、今年度は2桁成長狙う
記者発表会冒頭、同社 代表取締役社長の田中良幸氏が、2021会計年度(2020年2月~2021年1月)の決算ハイライトを紹介した。
グローバルでのピュア・ストレージの2021年度売上高は、前年比2%増の16億8000万ドルだった。田中氏は「(コロナ禍の影響で)チャレンジの多い年だったが、業界で高い評価をいただいた」と語る。顧客数は8000社を上回り、顧客ロイヤルティを示すネットプロモータースコア(NPS)はB2B企業の上位1%にあたる「83.5」に到達した。
中でも、第4四半期(2020年11月~2021年1月期)にサブスクリプション(「Pure as a Service」)売上が前年同期比で32%増で成長したことを強調した。「新規顧客はもちろん、既存顧客もサブスクリプションに移行している」(田中氏)。8件あった1000万ドル超の大規模案件でも、そのうち1件はPure as a Service案件だったと明かす。
また2月にスタートした2022年度については、「復調の兆しを感じており、大手顧客もあるので2桁成長の見通しを出している」と述べた。
Pure Storageでは、今後10年間のデータプラットフォームを「モダン・データ・エクスペリエンス」だと提唱している。創業時からフラッシュストレージ分野にフォーカスしてきたが、ここ数年はプライマリストレージにも拡大。調査会社Gartnerのプライマリ・ストレージ・アレイ部門のマジッククアドラントでは、リーダーに位置付けられている。
製品面での最新動向としては、Kubernetes向けデータストレージ/データ保護ベンダーPortworxの買収を2020年9月に発表している。Portworxの展開は日本でもすでに開始しているという。
日本法人単体でもビジネスは好調だ。IDCによるとエンタープライズストレージ市場は昨年第4四半期にマイナス7.8%の落ち込みを見せたが、ピュア・ストレージ・ジャパンは24.9%のプラス成長を記録した。2020年通年でも、市場全体の前年比マイナス5.4%に対して同社は13.3%増だったと、田中氏は胸を張った。
コロナ禍を受け、同社では新規顧客に対してPure as a Serviceを3カ月間無料にするなどのプログラムを提供してきたが、これは今後も継続するとしている。
「FlashArray//C」シリーズでより商用量のローエンドモデルを拡張
同日発表された新製品は「Purity 3.2 for FlashBlade(Purity//FB 3.2)」および「Purity 6.1 for FlashArray(Purity//FA 6.1)」、そして第3世代の「FlashArray//C」である。
Purity//FB 3.2について説明したエマージング・テクノロジー・ソリューション・セールス データ・アーキテクトの城野英彦氏はまず、FlashBladeが重要な製品である背景から説明した。
各種予測では、2025年には生成されるデータの約8割が非構造化データになると言われている。そうすると、従来のようにさまざまなストレージアーキテクチャを使うのではなく、よりシームレスに管理できるデータストレージが重要度を増す。それを実現するのが「統合型高速ファイル/オブジェクトストレージ」という意味のUFFO(Unified Fast File and Object)であり、Purity//FBによってFlashBladeはUFFOプラットフォームとして活用できるという。
城野氏は、単一プラットフォーム上でファイル/オブジェクトデータを同様に扱える独自アーキテクチャ、ファイル/オブジェクトプロトコルへのネイティブ対応、大規模に分散されたキー・バリュー型ペアデータベース、可変ブロックエンジンといったFlashBladeの特徴を紹介した。
最新版であるPurity//FB 3.2の最大の特徴は、SMBプロトコルのネイティブサポートによるパフォーマンスの強化だ。これにより、Windows環境と親和性が高いSQLのバックアップや、医療用画像管理システムのPACSといったユースケースが広がると、城野氏は説明する。
このほかスパース・ファイルのサポート、オブジェクト・ストレージの機能強化が加わった。また、リアルタイムでFlashBladeの使用状況を管理したり洞察を得られるようになった。
Purity//FA 6.1の新機能について、同社 プリンシパル・システムズ・エンジニアの岩本知博氏は、ActiveClusterでイーサネットに加えてファイバチャネルでも同期レプリケーションができるようになったこと、NVMe over Ethernetを補完するFC-NVMeにより全体でNVMeがもたらす低いレイテンシを享受できるようになったことなどを挙げた。なお、Purity//FA 6.1の紹介においても、PACSは重要な新ユースケースとして取り上げられた。
Purity//FAyとPurity//FBの共通機能として、ランサムウェア攻撃対策も目玉だ。岩本氏は、スナップショット/レプリケーションの作成後に管理者ですら消去できないようにするSafeMode機能を紹介した。「ランサムウェア対策をすべてのレイヤーで行う。特に、ストレージはデータの終着点であり、最後の砦になる」(岩本氏)。
なおPurity//FA 6.1はすでに提供を開始している。Purity//FB 3.2は第1四半期中の提供開始予定。
FlashArray//Cシリーズは、2019年から展開する低価格なオールQLCフラッシュストレージだ。FlashBladeとともに第4四半期の好業績を牽引した製品で、同社の主戦場をこれまでのオールフラッシュから拡大する契機となっている。
今回は3世代目となる「FlashArray//C60 R3」と「FlashArray//C40 R3」を最新製品として発表した。これまでのラインアップは実効容量366TB~1.8PBの//C60のみだったが、新ライン//C40は247TB~494TBと、さらに小容量のニーズに応える。「コントローラーのスペックも落とし、求めやすい価格になっている」(岩本氏)。
このFlashArray//Cも、3年に一度最新コントローラーへの交換が受けられる永久保証プログラム「Evergreen」の対象であり、これを利用して//C60から//C60 R3への移行、//C40から//C60への移行などが可能だという。