2021年3月10日、エクイニクス・ジャパンは3月1日にオープンした最新データセンター「TY12x」の開設発表会を開催した。AWS、Azure、Google Cloudなどハイパースケーラーの需要を約4割を満たすエクイニクスとして、拡大を続ける国内のクラウド需要にも応える。
ハイパースケーラーとは一心同体 4割を占めるエクイニクス
冒頭、登壇したエクイニクス・ジャパン代表取締役社長の小川久仁子氏は、データセンター、顧客やパートナーをつなぐインターコネクションやクラウド接続、エッジプロダクトなどのサービスをオーケストレーションする同社のビジョンについて説明。20年を超える実績、パートナーを巻き込んだエコシステムとあわせて「PLATFORM EQUINIX」として提供するという。
主力事業のデータセンターに関しては、現在26カ国、63メトロ(都市)において227のデータセンターを展開している。日本では東京に12拠点、大阪に1拠点のデータセンターを抱えており、最新の12番目のデータセンターが「TY12x」になる(関連記事:エクイニクス、ハイパースケーラー向けデータセンターを東京・大阪に開設)。
TY12xの「x」は「xScale」というハイパースケーラー向け大規模セータセンターを指しており、リテール向けのIBX(Internet Business Exchange)データセンターと異なるブランド展開となっている。現在、エクイニクスはハイパースケーラー向けデータセンターのおよそ4割を供給しており、割合としてはAWSが41%、Azureが48%、Google Cloudが42%、Oracleが52%となっているとのこと。
こうしたハイパースケーラーが必要とする電力容量や規模、接続の密度を満たすための専用データセンターがxScaleデータセンターとなる。小川氏は、「世界的に見れば、ハイパースケーラーとエクイニクスは一心同体である。ハイパースケーラーのサーバーファームを置く場所としてxScaleを建てていく」と語る。
従来から展開してきたリテール向けのIBXデータセンターと比較したxScaleの最大の違いは供給する電力容量。IBXの約4kWに対して、xScaleは8kW以上を提供する。また、IBXではラックやケージ単位だが、xScaleでは部屋まるごとのデータホールで提供。一方、スマートハンズやインターコネクションなどのサービスが用意されたIBXデータセンターに対して、xScaleではシンプルなスペースと電力の提供になるという。
xScaleに30億ドルの投資 旺盛なハイパースケーラーの需要に応える
今回開設されたTY12xは、千葉県印西市に建てられた5階建ての免震対応ビルに構築されている。安定した地盤で自然災害リスクも低い印西は、電力インフラに恵まれたデータセンターの集積地として知られている。初期フェーズでは960ラックだが、最終フェーズでは約6500ラック、約1万7300㎡がコロケーションスペースとして提供される。IT電力は1データホール当たり2MW、全体で54MWが供給されることになる。
エントランスにおいては友連れなどを防ぐ「サークルゲート」が採用され、各種の入退室には複数の生体認証が用いられるという。また、データホールは壁一面にファンが設置された「ファンウォール」を採用し、IT機器を効率的に冷却する。
データセンター内には特高受変電設備、データホール単位での無停電電源装置(UPS)、ディーゼル方式での非常用発電機なども用意され、安定した電力供給や停電対策が行なわれる。備蓄燃料は48時間分となっており、複数からの供給契約体制をとっている。カスタマーラウンジやカンファレンスルーム、フレックスオフィスなども完備されているという。
TY12xは、拡大を続ける国内のクラウド需要に応える。すでに第一フェーズの全キャパシティ、第二フェーズの大部分で、すでにテナントへの提供が予定されているとのこと。
現在、日本ではTY12x含めて3つのxScaleデータセンターが予定されており、今回開設されたTY12xに加え、2021年第4四半期には大阪の「OS2x」がオープンする予定。東京にはさらにもう1つxScale作られる予定で、最終フェーズで138MWがハイパースケーラーに提供される見込みとなっている。グローバルではxScaleの構築に30億ドル(約3200億円)の投資が実施されており、欧州では6つ、南米でも1つのxScaleデータセンターが建設中・稼働中となっている。