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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 第48回

【前編】声優・緒方恵美さんロングインタビュー

緒方恵美さん「逃げちゃダメだ」――コロナ禍によるライブエンタメ業界の危機を語る

2021年04月24日 17時00分更新

文● 渡辺由美子 編集●村山剛史/ASCII

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すでに主催者も政府の支援・補助が必要な状況

―― ここでランティスさん側の視点も伺ってみたいと思います。緒方さんから、「地方のお客さんが来ない」「チケットが売れない」というお話がありましたが、現在のアニメ音楽業界の状況をお聞かせ下さい。

吉江 地方の方々が現地会場に来られないというのは、どこも似た状況ではあります。通常ならのべ4万人来場する大規模イベントでも、今年はトータルで4000人だったという話も聞いています。まだお客さんの抵抗感や心理的な壁は大きいなと思います。もう少し状況が変わってこないと難しいのかなというのが正直なところですね。

現在、さまざまな施策を打ち出しながら模索中だという。後編では吉江プロデューサーにその施策の一部をご紹介いただく

緒方 とあるライブでも、5000人キャパの会場で、1200~1300人入れる予定だったのに、現地チケットが600枚しか売れなかったという話も聞きました。マジか、とびっくりしました。配信でペイ(回収)できたのかもしれないけれども。

吉江 そういう話は枚挙にいとまがないというか……。僕らも、少しでもアーティストさんや音楽スタッフに還元したいので、配信や物販、感染対策など実施しつつ、模索中です。

 緒方さんには「模索している間にライブがなくなっちゃう」と言われてしまいそうですが、でも何もしないよりはよいので、トライ&エラーを繰り返しているところですね。

緒方 どこの会社も企業努力はし尽くしていると言ってよいほど努力しています。けれども、現状のままだと、もう限界ではないかなと思います。

 私も、11月には参議院議員の藤末健三さんに、ライブエンターテインメント業界の危機についてお話をさせていただきました(コロナ禍における音楽・エンタメ業界の状況を聴かせていただきました」2020-11-09)。

 これ以上はもう、政府の支援や補助がないと、音楽業界は潰れてしまう。お客さん向けの施策に留まらず、主催者側も支えていただかないと、本当に厳しいなと。

―― ありがとうございました。次回は配信のマネタイズなど具体的なお話を詳しくお伺いしたいと思います。

<後編はこちら>

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