高集積・高電力のニーズに応える首都圏屈指の大規模データセンター
オオタニ:まずはIDCフロンティアがこれまで展開してきたデータセンターと比べた、府中データセンターの差別化ポイントを教えてください。
鈴木:やはり規模ですね。今までIDCフロンティアは、首都圏では最大2000ラック規模・低電力のデータセンターしかなかったので、大規模・高集積な案件の場合は、白河や北九州という選択肢になっていました。でも、府中データセンターは首都圏にできた初めての4000ラック規模の最新データセンターなので、それなりにインパクトあると思います。
恩蔵:大規模だからこそ、平均実効で7kVA、最大20kVAの電力を供給できます。最近は機器がハイスペックで、電力消費が大きいのですが、古いデータセンターだと7kVAまでも難しいはず。でも、府中データセンターは4000ラック、50MWレベルの大規模データセンターだからこそ、高集積・高電力のニーズに応えられます。
オオタニ:最近のデータセンターはいわゆるハイパースケーラー向けの大規模・高電力型が多いですが、まさにそのニーズにマッチしますね。
秋田谷:府中データセンターでは、IDCフロンティアとして初めて「データホール」を提供します。サーバールームをまるごと借りたいというお客さまの声にお応えできます。
恩蔵:自前でデータセンターを抱えているSIerはクラウド化の影響でラック単位での契約は減っているにも関わらず、運用コストはかかるので困っています。でも、データホールを利用すれば、DC in DCを構築できます。
オオタニ:建物や設備全体を管理するのはやはり運用コストもかかりますからね。
夏山:あと、IDCフロンティアとして初めての免震構造のビルを採用しているという点もアピールしたいです。過去にお客さまから「耐震構造では要件に合わない」と言われた経験もあるのですが、免震対応の府中データセンターは、今まで使えなかったお客さまにも安心して使っていただけると思います。
利便性とセキュリティを両立する顔認証システム
オオタニ:なにしろ今回は入館管理システムが顔認証というのが斬新です。通常は受付で対面の手続きして、カードや鍵を借りるというのが一般的ですが、文字通り「顔パス」で入れるので楽です。
菅野:入館の際に「急いで入りたいのに、待たされて困る」というお客さまの声はけっこう多かったんです。やはり朝の時間帯は入館も集中しますし、夜間に急いで入る場合でも、紙を書いて、物理鍵をもらうというのは面倒です。一番素早くラックにたどり着けて、なおかつセキュリティや本人認証のレベルを下げない方法を考えた結果、顔認証に行き着きました。
東郷:障害時って入館する予定は当然立たないですし、事前に連絡するところまで頭が働かないですよね。その点、顔認証でスピーディに緊急入館できるのはかなりメリットだと思います。
秋田谷:自分で実際に利用してみても、本当にスピーディに入館できるんですよね。受付で人と対面することもないので、結果的に新型コロナウイルスの対策にもなっています。
オオタニ:確かに非接触&ソーシャルディタンスでした。しかも、データセンターへの入館だけでなく、サーバールームの入館やラックの解錠まで顔認証なんですよね。
恩蔵:1ラックならともかく、5ラックを開け閉めするのはけっこう大変です。でも府中データセンターでは、顔認証でパネルの画面からラックを指定して、まとめて開け閉めできます。いっぺんに開くのを見ると、けっこう感動します。
オオタニ:並んだラックの鍵がカシャカシャと音を立てて開いていくのを見るのは確かに壮観でした。
夏山:データセンターへの入館やサーバールームの入室だけでなく、ラックまで顔認証で開けられるというのはほかのデータセンターにはないと思います。顔が鍵代わりになるので、鍵の渡し間違いもなくなるし、そもそも渡す手間や時間もなくなります。セキュリティ面でもラックの閉め忘れがあると、退室できないようになっています。
オオタニ:単に使い勝手だけでなく、オペレーションやセキュリティの観点でもメリットは大きいということですね。
鈴木:北九州のデータセンターではラックの鍵だけでも数千本もあり、これらを毎日決められた時間に棚卸しする必要がありました。その作業が一切要らなくなっただけでも、運用としては本当にありがたいです。お客さまの「鍵が壊れちゃった」「なくしちゃった」という事態への対応も不要になりました。運用管理の負荷軽減がお客さまへのコストメリットにつながっていると思います。