Tableauがデータドリブン企業に関する調査を発表、三井住友海上火災保険の事例も
「データドリブンなカルチャー」が危機状況下での企業の命運を分ける
2021年02月18日 07時00分更新
Tableau Softwareは2021年1月20日、日本を含むアジア太平洋地域(APJ)の企業/組織におけるコロナ禍でのデータ活用に関する調査結果を発表した。本調査からは、「データドリブンな企業」(データを資産として大切にし、従業員がデータにアクセスしやすく、さらにデータにもとづく経営判断ができる環境を整えている企業)は、データドリブンではない企業と比較して、危機的状況下にあっても多くの優位性を獲得していることが明らかになっている。
調査結果から読み解く、「データドリブン組織」の強みとは
本調査はTableauが英国の調査会社であるYouGovと実施したもの。アジア太平洋地域の4つの市場(シンガポール、オーストラリア、インド、日本)において、2500人以上の中堅マネージャ以上の役職者またはIT意思決定者を対象に、パンデミック状況下におけるデータ利活用についての調査が行われている。調査対象者の25%は従業員1000名以上の大企業に所属しており、日本企業は520社が本調査に参加した。
以下、Tableau Software カントリーマネージャー 佐藤豊氏による解説をもとに、本調査における日本企業の回答にフォーカスした結果のハイライトを示す。
・「自社がデータドリブンな組織であると思うか」という質問に対し、日本企業の51%が「データドリブン企業である」と回答している。これはAPJ全体の62%、欧州(ドイツ、オランダ、フランス、英国)の56%と比較しても、それほど大きな差はない。
・「データドリブンであることは、パンデミックな状況下で利点をもたらしているか」という質問に対し、日本のデータドリブン企業(前述の51%の企業)のうち75%が同意、一方で非データドリブン企業では33%にとどまった。なお、業界別では通信/メディア/テクノロジや金融サービスなどの業界では「データドリブン企業=データ利活用の優位性」という意識が強く表れた結果となっている。
・「データドリブンであることがどう役立ったか」については「意思決定の迅速化」(39%)、「コラボレーションの改善」(38%)、「コミュニケーションの改善」(36%)、「より高いアジャイル性」(32%)といったメリットが挙げられており、従業員や顧客とのコミュニケーションや迅速な意思決定などに効果があったことがうかがえる。
・「データスキルやトレーニング、開発に投資しているか」については、データドリブン企業の73%が「投資の継続または増加」と回答する一方、非データドリブン企業は50%にとどまった。なお、APJ全体の調査結果ではデータドリブン企業の82%が投資の継続/増加に同意しており、不確実な時代を乗り越えるためにデータスキルへの投資を増やしていく意向を示している。
・「自社のビジネスの将来について前向きか」という質問に対し、日本のデータドリブン企業で「ポジティブな見通しを持っている」と回答したのは28%にとどまる(非データドリブン企業は19%)。この数字はAPJの68%、欧州の68%と比較すると非常に低く、佐藤氏は「今後、日本企業のデータドリブン化を進めていくうえでも考察が必要な数字」と警鐘を鳴らす。
・パンデミックでデータドリブン組織が学んだ教訓としては「データの品質を高める(よりクリーンで正確、タイムリーなデータ)」「データの透明性を高める」「従業員のためのデータスキルとトレーニングに投資する」「変化する需要に対応するためには、よりアジャイルで迅速な対応が必要」などが上位に挙がっている。