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営業職からデータストラテジストへ転身、アドビシステムズ前井氏のケース

Tableauを育て、データ主導文化の醸成を担う“ジェダイ”とは

2019年05月20日 07時00分更新

文● 谷崎朋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 2003年創業の米Tableau Software(タブローソフトウェア)は、複雑な操作なしで、誰もが簡単・気軽にデータ分析できるソリューションを提供するBI(ビジネスインテリジェンス)プラットフォーム企業である。昨年から提供を開始したサブスクリプションモデルは、ライセンス売上を84%増で押し上げるなど好調だ。

Tableauが提供するBIプラットフォーム

 そんなTableauが注力する取り組みの1つに、企業や組織における「データドリブンカルチャー」の醸成がある。膨大なデータを正しく読み取り、知見を引き出し、意思決定や新規ビジネスの創出につなげるためには、BIツールのユーザーが“データドリブンのマインド”(データ主導型で思考する姿勢)を培い、さらにはそれを組織全体の文化として根付かせることが重要となる。それを促すため、同社ではユーザーコミュニティの立ち上げや活動を支援しており、グローバルで16万人以上のユーザーが500以上のコミュニティで活動している。日本でも34のコミュニティが立ち上がり、知見の共有を行っているという。

 取り組みの中でも特筆すべきは、日本固有のユーザー認定プログラム「Jedi(ジェダイ)」だ。ジェダイと言えば映画「スター・ウォーズ」に登場する騎士的存在だが、Tableauのジェダイは“データヒーロー”である。最上級ユーザーの「道を極めし者」として、他のユーザーにデータドリブンのマインドを伝授し、Tableauの使いこなしを教え導くのがその使命だ。

 そうした“初代ジェダイ”のひとりが、アドビシステムズでデータストラテジストを務める前井梓氏である。

アドビシステムズ マーケティング本部 マーケティングインサイト&メディアストラテジー データ&ウェブ アナリティクスストラテジストの前井梓氏

 前井氏がジェダイの資格を取得したのは、前職時代の2017年だった。当時所属していた営業部にサーバー型BIツールの「Tableau Server」導入が検討される中で、現場目線のニーズに応えられるかたちでツールを導入してほしいという強い思いがあったという。そんなときに勧められたのが「Tableau Jedi Boot Camp」だ。このブートキャンプは、3か月間のトレーニングを通じてデータドリブンカルチャーを学び、さらにはそれを教え、伝える能力を習得できるものだという。興味を持った前井氏は、思い切って参加を決めた。

 「ブートキャンプでは『データの考え方』といった基本から、ユーザーニーズにマッチしたTableau製品の各種機能の使いこなしまで、幅広く学ぶことができた」(前井氏)。修了後、自社に戻った前井氏は社内向けのTableauトレーニングを実施。3か月後には部内でのTableau Server運用開始にこぎ着けたという。

 このとき、最適なシステムルールやポリシーの設定、APIの選定などで前井氏にアドバイスし、支えたのがコミュニティのメンバーだ。「同様の課題を抱えるメンバーと相談し、先行事例をもつメンバーからは参考になる情報を多く共有してもらえた。その中から、自社にとってのベストプラクティスを導き出せた」と、前井氏は振り返る。

グローバルでは「Zen Master」や「Tableau Doctor」などさまざまなコミュニティが存在し、データドリブンカルチャーの理解や普及に向けて活発に活動している

 現在は、Tableau製品を全社導入するアドビシステムズでデータストラテジストとして活躍し、2つのTableauコミュニティでリードも務める前井氏。「営業職だった自分が、データストラテジストの道を歩むなど想像したこともなかった」と笑う。

 TableauのBIツールについては「初心者にとって使いやすいという側面だけでなく、さらなる知見を掘り起こすための機能が豊富にあって、上級者にとっても便利に使える」と評価する。今後の目標として「“濃厚なTableauファン”であり、アンバサダーでもある105人のジェダイとともに次世代を育て、データドリブンの輪を広げたい」と語った。

データドリブンカルチャーを醸成するには「3つの要素が不可欠」

 このようにデータドリブンカルチャーを広めてくれるジェダイやコミュニティは「大切なパートナー」だと、米Tableau プロダクトマーケティング担当VPのマーク・ジューエット氏は語る。「彼らのフィードバックから新機能を実装した例も多い。多くのユーザーに支えられているTableauは“ピープルドリブンカンパニー”と言えるだろう」(ジューエット氏)。

Tableau プロダクトマーケティング担当バイスプレジデント マーク・ジューエット氏

 ジューエット氏は、企業や組織においてデータドリブンカルチャーを醸成するためには「3つの要素が不可欠」だと述べた。1つは「データを語るための言葉やデータリテラシーを習得すること」。Tableauでは、顧客向けトレーニングプログラムや学生向けアカデミックプログラムを提供することでこれをサポートしている。2つめは「柔軟かつ適応力のある文化」。ここでは、ビジネスや現場のニーズをくみ取り、ガバナンスを遵守しながらセルフサービスでデータ分析ができる環境を構築するための製品/ソリューションを提供している。そして3つめが「互いに学び、刺激を受け、認め合うコミュニティ」である。

 ジューエット氏は「データドリブンカルチャーを醸成する企業は、そうではない企業と比べて成長が数倍も速い」と強調した。Tableauでは今後も、高度なアナリティクス支援機能やデータ管理支援機能、自然言語でデータ分析を実現する「Ask Data」機能のほか、データのプレパレーション機能「Tableau Prep Conductor」(v2019.1で追加)やデータカタログ作成機能(2019年後半に提供予定)などを提供し、そうした企業や組織をサポートしていくと語った。

訂正とお詫び:掲載当初、Tableauの導入数について誤った数字を掲載しておりました。公表されている現在の導入数は「グローバルで8万6000アカウント以上」となります。お詫びのうえ訂正いたします。(2019年5月20日)

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