Azure事業戦略の最重点分野「アプリの変革」促す施策、パートナーと提供する新プログラムも
日本MS、アプリ開発やデータ分析の内製化を「並走」して支援
2021年02月03日 07時00分更新
データ分析/AI活用も「並走」から始め「自走」できるよう支援
もうひとつのデータ分析/AI活用基盤の構築についても、まずは顧客とマイクロソフトが「並走」し、ゆくゆくは顧客自身で「自走」できるようにしていくというアプローチだという。
「継続的なエンゲージメント向上、収益増大、コスト削減をもたらすアクションを行うためにデータから洞察を得ることが必要になっているが、残念ながらほとんどの企業はまだそこまでのアクションを起こせていない。そこには『やってみたいがわからない』『知識不足』『データ人材がいない』といった理由があるが、先ほど紹介したLight-upのように『まずはスモールスタートでやってみましょう』というのが、非常に有効的かつ満足度の高いアプローチになると考えている」(坂田氏)
現在、データ分析市場には多数のツールがあふれかえっているが、Azureのデータ分析サービス群は「シンプルかつエンドトゥエンドのエクスペリエンスを提供するのが売りになっている」と坂田氏は説明する。データの取り込みから保存、準備、提供、レポート/BIまで、それぞれに特徴を持つサービスを展開しており、「すべてエンタープライズグレードのセキュリティとSLAを付加して提供している」点も特徴だと語る。
今回の説明会では、この中からデータの提供を行うクラウドデータウェアハウス(DWH)の「Azure Synapse Analytics」を取り上げて、詳しく紹介した。
Azure Synapse Analyticsは、2020年12月に一般提供開始したクラウドDWHサービスである。従来提供していた「Azure SQL Data Warehouse」をベースに、データの統合やビッグデータ分析、「Apache Spark」インタフェースなどをひとつに統合していると説明する。ペタバイトクラスのデータでも高速に分析できるスケーラビリティ、データの準備/管理/DWH設計といった機能を包含した統合エクスペリエンス、多様なサービス群との簡単な連携、自動データマスキングや常時暗号化などの機能が実現するセキュリティ、という4つの特徴を優位性として挙げた。
坂田氏はもうひとつ、データ管理/ガバナンスサービス「Azure Purview」(現在プレビュー提供中)も注目度が高いソリューションとして紹介した。Purviewは企業内にある多数のデータソースからメタデータを収集し、多様な視点からのデータ検索やデータカタログの機能を提供する。また、データごとに「秘密度ラベル」を適用することでアクセス制限をかけることができ、「コンプライアンスを守りながら誰でもデータを活用できる」(坂田氏)。
データ分析/AI活用の取り組みにおいてマイクロソフトが「並走」し、内製化を進めてきたものとして、坂田氏はFranfrancの事例を紹介した。同社では顧客行動のデータ分析に取り組もうとしていたが、顧客層が非常に幅広く、またリアル店舗/オンラインでデータがサイロ化されていること、社内にデータ人材もノウハウもないなど、課題が山積していた。
そこでマイクロソフトでは、同社のデータサイエンティストやアーキテクトが顧客企業に参加して一緒に分析プロジェクトを行う「Data Hack」の取り組みを提案。Francfrancでは「Azure Machine Learning」やノーコード分析ツールなどを活用して、独自の分析体制を構築することができたという。実際に優良顧客の購買特徴をあぶり出し、ECアプリ会員数を大幅に増やすことに成功している。
なお日本マイクロソフトでは、2月10日に「Azure Cloud Native Day」を、また2月26日に「Azure Data and Analytics Day」をそれぞれ開催する(いずれもオンラインイベント、参加無料)。