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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第52回

この価格では「ありえない音」をアピール、finalのA4000/A3000の実力は?

2021年02月01日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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価格差による上位・下位ではなく、傾向の違いで選ぶべき

 A4000/A3000のパッケージは、ほとんど同一であり、筐体デザインもほぼ同じだ。見た目では、A4000は青みがかったカラーリング、A3000は黒という違いだけに見える。

 さすがに本体の質感は価格なりという印象だが、付属品は十分に添付されている。ケーブルを丸めて手軽に収納することができるシリコン製キャリーケースとケーブルタッチノイズを解消するためのイヤーフック(ロック機構付き)も付属する。ケーブルは柔らかくて取り回しがしやすく、イヤホン本体も軽くて装着感がいい。長時間装着していても特に気にはならないだろう。

シリコン製キャリーケース

 まずA3000の方の音質だが、たしかに音は一流だ。細かい音の再現力が高く、歪み感の少ない端正な音である。

 楽器音の歯切れが良く、価格から想像できないほど解像力が高い。ソロバイオリンが鮮明で美しく、伴奏のピアノのタッチも明瞭にわかる。高域は澄んで美しくボーカルも綺麗で、低音はたっぷりとしつつパンチがあって引き締まっている。

A3000はリケーブルに対応する(A4000も対応する)

 3000の型番から想像できるように、全体に音のバランスは悪くないが、低音に関してはやや大きすぎるかもしれない。やや音場は狭い感じではあるが、そのぶん音がまとまって、塊になったように聴こえる。ダイナミックドライバーらしい迫力もある。また、A3000はやや能率が低い。A4000と比較しても低く、やや暗い音に聞こえる。ジャンルで言うと、低音のパンチのあるロックが似合う。また楽器のキレが良いので、ジャズのピアノトリオとか、クラシックなら四重奏がよい。歌ものよりはどちらかというと器楽曲に合うと思う。

A4000のパッケージに含まれるもの

 次にA4000を聴いてみる。A3000より能率が高いため、同じ音量ならボリューム位置がより低くて済む。
全体のトーンバランスは良好で、低音はやや抑えめだが、パンチはほどほどにある。安いイヤホンに多い、ぼわっとした緩んだ低音表現ではない。どちらかというと帯域バランスはA4000の方が整っていて、強調される帯域は特にないように思える。ただ、A3000と比べるとやや中高域に寄ったバランスに聞こえる。こちらの方が、いわゆる日本人好みのする音のように思える。

 A4000ではボーカルが特に良い。A3000よりもボーカルが前に来るようで、ソプラノが高く伸びる感じが感動的だ。合わせるジャンルは、やはり声を中心とした曲で、アニソンなどにも良いだろう。楽器よりも、歌に注力して聴きたいイヤホンだ。クラシックでも器楽曲はA3000の方が鮮明に楽しめると思うが、オーケストラものだとA4000の方がスケール感を楽しめるように思う。

 A3000とA4000を比較して言うと、A3000のサウンドはやや暗めで落ち着いた感じに聞こえ、より重厚なサウンドだ。A4000は能率の違いもあるが、やや明るい音に感じられる。いうなればより華やかで軽快だ。

 音の明瞭感はどちらかというとA3000の方がくっきりとしているが、音の広がり感はA4000の方が奥行き感があって広い感じがする。A3000/A4000ともに躍動感があって、音の歯切れがよい。

 価格は安くても、A3000の方がハイエンド機向けで解像力の細かさを堪能できると思う。いわば「マニアのサブ機」のようなものだ。ハイエンドプレーヤーを買ったらお金がなくなって、見合うイヤホンが買えなくなったという人も大丈夫だ、とりあえず1万円ちょっとでA3000を買えばいい。一方、スマホや低価格DAPなどと組み合わせるなら、鳴らしやすいA4000の方がいいと思う。広がりのある音場/高音質を手軽に楽しめる。A4000は、LightningアダプターなどでiPhoneに直差しするのが似合う。

A3000をリケーブルし、Lightningアダプタを付けたところ

 このように、A3000とA4000のどちらを選ぶかの基準は、どういうプレーヤーやアンプを使うかということと、聞くジャンルだろう。A4000の方が高価だけれども、A4000の方が上位機種というわけではないと思う。そこはいったん価格差を忘れて考えた方がいいだろう。

 また、両者とも価格に対してポテンシャルが高いので、購入したらリケーブルしてみてもより楽しめる。ただし2ピンの端子形状は溝が付いて引っ込んでいるタイプとなる。極性間違いがないという利点がある一方で、使えるケーブルを選ぶ面もあるので注意が必要だ。なお、どちらかというとA3000は標準ケーブルとの相性がよく、A4000はリケーブルに向いているように感じた。

 名称の由来として、A4000はA8000の半分。A3000はE3000から連想されるものを想定しているそうなので、サウンドキャラクターをそこから想像してみても面白い。

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