A4000とA3000が取り入れた新しい概念とは?
両製品の特徴は、まず先に挙げた新しい評価法だ。これは決まった音圧で固定して、評価する従来のテストではなく、様々な音圧や音楽など、多角的な基準から試験し、実際のリスニングシーンに即した評価をするものだそうだ。例えば、「スローリスニング」という、長時間使用を想定した評価法が用いられている。
好評を得た「E3000」は、店頭で軽く試聴するだけでは、地味な音であり、同価格帯(数千円台)のイヤホンのようなドンシャリ系で、ユーザーにアピールしやすい音ではない。そんなE3000が好評を得たのは、長期間使用したユーザーの高評価が、SNSを通じて広まった結果であるとfinalは考えた。いわば「本物」を作るための製品開発の評価法とも言えるかもしれない。
音の要であるドライバー部分には、自社設計で直径6mmの「f-CORE(エフコア) DU ダイナミックドライバー」を採用している。これは海外に新たな拠点を設けた上で新設計したもの。部品だけでなく、生産機器から起こしているという。
f-CORE DUのドライバーフロントハウジングの素材は、一般的なアルミニウムよりも磁力の影響を受けにくく、かつ比重の高い真鍮を使用。振動板の時間応答性能を高めるために、ボイスコイルに30μmの超極細CCAWを使用。最小限の接着剤で組み立てることで、可動部を徹底的に軽量化している。さらに振動板は、通常の1/3程度の小ロットで丁寧にプレスすることによって、圧力の偏りを最小限に抑え、歪みがなく均一な振動板の成形を実現している。低価格製品でも精密かつ丁寧に製作されていることがわかる。
ハウジングはABS樹脂製だが、接触面積を限定する形状により、圧迫感のない装着感を目指している。一見丸みを帯びている方が装着しやすいようにも思えるが、両モデルの角ばった筐体は装着性にも配慮して決められたデザインなのだ。
この連載の記事
-
第277回
AV
スマホがLE Audioに対応していなくても、なぜAuracastを使えるのか? -
第276回
AV
Amazon Musicも生成AIを使ったプレイリスト作成機能提供、あいまいな指示に応える -
第275回
AV
ソリッドなステンレス筐体とK2HDサウンド、iFi audioの「Go bar 剣聖」 -
第274回
AV
いよいよSpotifyもロスレス配信か、Redditに解析情報 -
第273回
AV
ソニーが米国で展開し始めた、重低音新シリーズ「ULT POWER SOUND」とは? -
第272回
AV
自然な文章でプレイスリスト作成をうながせる、Spotifyの新機能 -
第271回
AV
音楽生成AIの進化速度に舌をまく、無料でも試せるStable Audio 2.0を使う -
第270回
AV
耳をふさがないイヤホンで高音質を追究したい人に、Cleer Audioがいいぞ!! -
第269回
AV
期待が高まる「Fokus Triumph」の音、NobleのMEMSスピーカー搭載イヤホン第3弾 -
第268回
AV
XPAN技術やWi-Fi 7、UWBなどをAIで統合した、クアルコムのFastConnect 7900 -
第267回
AV
K2HDに対応、個性的な機能備えたiFi audioのスティック型USB DAC「GO bar剣聖」 - この連載の一覧へ