ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第600回
CezanneはRenoirをZen 3に置き換えただけでなくあちこち再設計されている AMD CPUロードマップ
2021年02月01日 12時00分更新
Zen 4デスクトップに関する考察
最後は余談となる。これでRyzen 5000シリーズは一応ラインナップとしてはそろった(まだデスクトップ向けのRyzen 5000Gは発表されていないが、後追いで投入するとAMDは明言しているので、これは時間の問題である)。
問題は次のRyzen 6000シリーズ(あるいはRadeonと合わせるために6000番台をスキップして7000番台の可能性もなくはないが)となる、Zen 4世代のCPUである。
この世代はDDR5やPCI Express Gen5の対応のために、Socket AM4は使えないことになる。信号的に言えばPGAパッケージでは厳しい領域に入るので、そろそろLGAパッケージに切り替わる可能性もあるのだが、それはともかくとしてZen 3の世代までは下図のような構成だったので、素直に考えればZen 4世代ではその下の図のような構成になると思われる。
ただPCIeはともかくDDR4とDDR5の互換性はないので、ここでパッケージは変更にならざるをえず、AM4のままでは使えないことになる。
ただAMDはこれまで、互換性を非常に重視してきた。もちろんX570チップセットはもう発表からずいぶん経つので、次のRyzenではマザーボード交換もやむなしという判断は確かにあり得る。ただ下表が主要なチップセットと対応製品一覧(△はBIOSアップデートが必要)であるが、これを見るとB550やA520のような製品はもう一世代くらいサポートを継続してもいい気がする。
| AMDの主要なチップセットと対応製品 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Ryzen 1000 | Ryzen 2000G | Ryzen 2000 | Ryzen 3000G | Ryzen 3000 | Ryzen 5000 | |
| X570 | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| X470 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
| X370 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | × |
| B550 | × | × | × | × | 〇 | 〇 |
| B450 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
| B350 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | × |
| A520 | × | × | × | × | 〇 | 〇 |
| A320 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × |
もう1つ、昨年の前半~中旬くらいに言われていたWarholというコード名(Andy Warholから取ったのだろうが、画家ではあっても明らかに毛色が異なる)の製品がZen 3の後継として噂されていた。こちらは引き続きAM4になるという話である。
理由は、まだPCIe Gen5には早い(NVMe M.2 SSDですらまだGen 5対応が間に合っていない)し、DDR5への移行は2022年以降になるので、コンシューマー向けは2021年もDDR4のままである、という話である。このメモリーに関しては微妙なところであって、確かに2021年中にDDR5 Unbuffered DRAMの出荷も始まるだろうが、それほど分量は多くなく、しかも高止まりするだろう。
すると、下図のような構成が当然考えられる。コアがZen 3のままか、それともZen 4かは断言できないが、CIoDは引き続きAM4対応のものを使う、という形だ。これだとDDR4メモリーのままでPCIe Gen4なので、既存のプラットフォームがそのまま使えることになる。
このあたり、今年のCOMPUTEX前後のタイミングでもう少しなにかしら情報が出てきそうではある。今回はあくまで筆者の与太話レベルということで。

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ




