応答速度1msのIPSパネル採用にも注目
「ROG Swift 360Hz PG259QN」は、パネルサイズ24.5インチ、解像度フルHD(1920×1080ドット)で、本体サイズはおよそ幅557×奥行247×高さ379~499mm、重量は約7.1kgと、大きさや解像度においては一般的な競技向けディスプレーのスペックを踏襲している。チルト、スイーベル、高さ調整が可能で、縦配置にも対応できる柔軟性はあるものの、スタンドの足が前側にやや長めで、設置するデスクによっては置き方を工夫する必要があるかもしれない(省スペースではあるのだが……)。
加えてこうした製品にはありがちだが、スピーカーは内蔵していない。ゲームの際はPC、もしくは「ROG Swift 360Hz PG259QN」に用意されたイヤホンジャックに、ヘッドセット、あるいは別途用意したスピーカーをを装着する必要があるので、その点は注意が必要だろう。
映像入力インターフェースは、HDMI 2.0×1、DisplayPort 1.4×1の2系統とシンプル。なお規格の都合上、360Hzの表示に対応を実現するのはDisplay Port接続時のみで、HDMI接続時は最大240Hzまでの表示となってしまう。最大のメリットがスポイルされてしまうので、基本的にはDisplayPort入力で運用するもの、と考えてしまっていい。
何度も述べているが、液晶パネルは最大リフレッシュレート360Hzに対応。一方、こうした高速なゲーミングディスプレーとしては珍しく、パネル方式はIPSで、色再現性や視野角に優れる。さらに応答速度は1ms(GtG)で残像感が抑えられており、HDR 10(最大輝度400nit)の表示にも対応可能。競技向けとはいえ、実際に映した映像はかなり綺麗に見えるため、その点は嬉しいポイントだろう。
そのほか、NVIDIA製GPUに対応するディスプレー同期技術「G-SYNC」、ブルーライトカット、ゲームのモーションブラーを軽減する「NVIDIA Ultra Low Motion Blur」、といった、近年のゲーミングディスプレーでしばしば採用される機能もしっかり揃えている。総じて、突出しているのはリフレッシュレートの高さだが、それ以外のスペックもある程度しっかりしており、取り立てて欠点が見当たらないのは好感が持てる。
実際に、GeForce RTX 3090を搭載したPCでフレームレートを計測してみた。「レインボーシックス シージ」や「VALORANT」といった人気のシューター系タイトルでは、容易に平均フレームレートが360fpsを超え、極めてなめらかさに表示される画面を確認できている。また、単になめらかなだけでなく、競技向けながら表示自体がかなり綺麗であることも本製品の特徴と言えそうだ。IPSパネルの採用による色再現性の高さ、応答速度1ms(GtG)による残像感のなさといった付加価値により、カジュアルにゲームを楽しみたい場面でも気持ちよくゲームに集中しやすい。同じく競技向けの「フォートナイト」や「Counter-Strike: Global Offensive」といったタイトルでも、本製品の高いリフレッシュレートを存分に発揮できるだろう。
もう一つ、「Dota 2」や「リーグ オブ レジェンド」といった軽負荷ながら競技性の高いMOBA系タイトルでも、本製品の強みは活かしやすい。どちらのタイトルも多くのキャラクターが画面内でわらわらと動き回るため、ディスプレーによってはやや見づらさを感じることもあるのだが、そんな場面では本製品の表示の明瞭さの恩恵をしっかりと感じることができた。確かに解像感ではWQHDや4Kディスプレーに敵わないかもしれないが、あまりになめらかですっきりとした表示は、清々しささえ感じるほどだ。
こうしたタイトルを真剣にプレイしており、PCスペックにも投資する余裕があるのであれば、「ROG Swift 360Hz PG259QN」は迷うことなくオススメできる。投資額は決して安くないが、「ほんの一瞬だけ敵を早く視認できるかもしれない」という可能性に妥協しないのであれば、本製品はその助けになってくれるはずだ。