大変難しい問題として注視しているのが、トランプ大統領とTwitterやGAFAプラットフォーマーとの関係です。
米国時間2021年1月8日、トランプ大統領のTwitterアカウントが永久に凍結される出来事が起きました。現職の米国大統領が、SNSのアカウントを凍結される自体はもちろん初めてのことでした。もっともTwitterがサービスを開始した2006年7月以降の米国大統領は、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、そしてドナルド・トランプの3氏しかまだいないのですが。
この直前、1月6日に、トランプ大統領の支持者が米国議会議事堂に乱入する事態が起きました。この混乱を通じて警官を含む5名が命を落としており、米国における誇りとも言える民主主義の象徴であってはならない出来事として、各界から、大統領の責任を問う声が上がりました。1月11日には、2度目となる弾劾決議案が下院に提出され、13日に採決される見通しです(編註:米国時間13日、下院で可決された)。
Twitterはブログでその理由について、トランプ大統領の直近のツイートと文脈を通じて、暴力を美化しており、更に暴力を先導するリスクがあると評価したためとしています。Twitter社内では、「1月20日のバイデン新大統領就任式に出席しない意向」をツイートしたことが、選挙の合法性を否定し、暴力行為を後押しするとの解釈されました。
さらに、トランプ支持者を中心にしてTwitterからParlerというSNSへとユーザーが流れていましたが、こちらは市場を寡占するグーグル、アップルのモバイルアプリストアがそれぞれアプリを削除しました。アップルはParlerに対して、暴力を煽る、過激な投稿をコントロール(Moderate)するよう要請していたとされていますが、これに応じなかったことから、アプリ削除の措置を執りました。
それでもParlerはウェブで利用できる状態でしたが、今度はアマゾンがParlerに対してAmazon Web Serviceの提供を中止したことから、Parlerはサービス自体を提供できなくなりました。
結果的に、トランプ大統領とその支持者は、GAFAと言われる世界的な巨大プラットフォーマーによって締め出される形となった、と見ることができます。それでも、インターネット使用自体が制限されているわけではありませんし、こうした他の企業に依存しない情報発信手段を用意することも可能であると考えます。
裏を返せば、プラットホームの大きさに関係なく、2020年11月の大統領選挙で有権者の半数近くの票を獲得したトランプ大統領の発言力は大きいと見積もることができます。
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