今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、様々なイベントがオンライン開催へと舵を切った。その中、四国クラウドお遍路2020は、四国4県にサテライト会場を設けてオンラインとオフラインのハイブリッド型で開催された。筆者も久しぶりのリアル会場参加を求めて、徳島までクルマを走らせた。
四国お遍路ロードトリップ From 千葉 To 徳島
2020年春以降、イベント取材は基本的にオンライン化していた。しかし筆者はいまいちオンラインイベントになじめずにいた。イベントオンライン化について記事を書いてしまうくらい、現地取材に飢えていた。気分を切り替えるために四国クラウドお遍路2020のサテライト会場に乱入しようかなと、ふと思いついて、軽い気持ちでFacebookに投稿した。すると、大量のコメントがついたのだった。
現地で会うということに飢えていたのは、筆者だけではなかったのだと思う。深夜までコメントに返信したりメッセンジャーに対応したりしていたのを覚えている。そんなやりとりの中に、不穏なものが混じっていた。JAWS-UG名古屋の川路 義隆さんとJAWS-UG関西の山田 真也さんのコメントだ。
クルマで移動するので、人数が増えたところで交通費が大きく変わることはない。クラウドお遍路2020の前日、筆者は名古屋で川路さんと、大阪で山田さんと合流し、3人で徳島へと向かった。
助手席では川路さんが淡々と缶ビールを片付け、後席では山田さんが登壇用資料を作成するというフリーダムな車内。あれやこれやとよもやまな話をしながら、楽しい道中となった。いつもは自由ながら孤独な移動時間を楽しんでいるが、たまには誰かと一緒の旅もいいものだ。普段は取材当日までひとりで過ごし、前夜祭に参加するということもない。飲み過ぎて取材当日の体調に影響することを避けるためだが、今回は道中からテンション高く、そのまま3人で飲みに行ってしまった。
6名が集まった徳島サテライト会場など4会場をオンラインで結んで開催
2020年11月7日、土曜日。徳島サテライト会場であるあわぎんホールに集まったのは、6名。そのうち3名が、県外から押しかけた筆者たちなので、現地参加者は3名ということになる。
他県の様子はというと、愛媛会場が最も多く8名、高知会場には6名、うどん県開場には4名が集まっていた。愛媛会場は徳島と同じく、他県からの参加者が数名いたようだ。もちろん、それ以外にオンライン参加者が全国にいた。
各会場をオンラインで結んでの開催なので、基本的にはプロジェクタで映し出された画面と、マイクスピーカーを通したやりとりになる。オンラインイベントとあまり変わらない体裁ではあるものの、数名とはいえ同じ場所に集まって参加することでイベントへの没入感は大きく変わるのだった。
サテライト会場をオンラインで結んで開催する上で、いくつか工夫されていた点があった。そのひとつが、休憩時間。リアル会場であれば、休憩時間には参加者同士で雑談に花を咲かせることもできるが、会場が4つに分かれていると会場を超えてのやりとりは難しい。それを解消すべく、休憩時間のたびにご当地うまいもの自慢をしあうなど、オンラインで雑談が繰り広げられた。雑談の効用については昨今あちこちで取り上げられているので今更ではあるが、あるとないとでは大違いだと感じた。
なお、各セッションについては本稿では紹介しない。筆者が気になったものをピックアップして別途レポートするので、しばしお待ちいただきたい。
クラウドお遍路2020は、懇親会までサテライト開催
楽しい時間というのはあっという間に過ぎてしまうもので、LTも終わって時刻は18時。各県の参加者たちはイベント会場をあとにして、懇親会の場へと移動した。そして、こちらでも各会場はオンラインで結ばれた。
同じ部屋にいるのは数名だが、PCの画面を通して他会場の雰囲気がなんとなく伝わってくる。歓声が上がると、画面に目を移して他県の会場の様子を見る。大きな声があがったときというのは、たいていうまそうな料理が出てきたときであり、「こっちはこんなうまいものが出てきた」と自慢しあう。数名の飲み会とも、自宅でひとり参加するオンライン飲み会とも違う、ゆるい広がり感が新鮮だった。
勉強会は懇親会が本番、なんて人もいる。筆者はそこまで極端ではないが、やはり勉強会の後に親睦を深める場はある方がいい。それも、できれば気軽に声を掛けられるよう、同じ部屋で。勉強会で登壇した人にこぼれ話を聞いたり、背景を聞いて理解を深めたりという時間は貴重なものだ。この日も美波町から参加した大地 辰也さんの話に興味深く耳を傾けた。そして徳島の夜は更けていったのだった。