世界最大級のテクノロジーカンファレンス「Web Summit」が2022年に「Web Summit Tokyo」として東京で開催されることが正式発表された。2020年12月はじめにオンライン開催された「Web Summit 2020」では、デジタル改革担当大臣を務める平井卓也氏と東京都知事の小池百合子氏が登場した。
平井氏は、新設のデジタル庁と「GaaS(Goverment as a Startup)」を中心に話をした。
まず、新型コロナウイルス感染症の影響の1つとして、「公共分野におけるデジタル化の遅れが明るみにでた」と認めた。そして、「新型コロナをDXの真の進化につなげるチャンス、全ての人がより良い生活につながるチャンス」にできると続ける。
日本のデジタル化の遅れは「明白」とする平井氏、具体的にはデジタル情報のプロセスが省庁間で縦割りであり、国と地方自治体の間でも分断があること、企業もレガシーシステムが残っていること、古い法律(”IT基本法”こと「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」)がデジタル化の進展を阻んでいること、などを挙げた。自身が率いることになるデジタル庁は、これを変革すべく、「DXを国の最優先事項とする組織」として立ち上げると続けた。
そこでのコンセプトが、「GaaS」だ。「新しい組織(デジタル庁)の構築プロセスがスタートアップのように動き、アジャイルで急成長する。これによりDXを進化させる」(平井氏)。
準備段階にあるデジタル庁については、「若くモチベーションのある人が官民から集まるような魅力的な場所」にしたいと述べたほか、「スクラッチからスタートするので、前例のない政府組織をつくることができる。予算もあまりないし、少人数でスタートする。これまでの省庁が挑戦していない問題に取り組む」とも述べた。「デジタルを使っていることを認識せずとも、全ての人がデジタル技術の恩恵を受けることができるデジタル社会」に向けて活動することを約束した。
最後に、平井氏は自身もメンバーとなって進めている「デジタル・ニッポン2020」で打ち出す「デジタル田園都市国家構想」を紹介した。
着想を得ているのは、1978年から80年まで首相を務めた大平正芳氏が掲げた「田園都市構想」だ。「都市に自然をもたらし、地方に住む人にチャンスをもたらすことを意味していた。素晴らしい目標だが、正しいツールがないために成功しなかった」と平井氏、オンラインミーティング、VR/ARなどのツールがある現在、実現可能だと考えているという。
「今我々が抱える課題は、より良い世界へとつながるソリューションをつくるチャンスだ。このジャーニーを一緒に進んでいきたい」と平井氏、「日本のDXに期待して欲しい」と語りかけた。
なお、スタートアップへのメッセージとしては、「日本は規模が大きく、洗練された市場。魅力的な環境とワクワクする文化がある。日本の大学や研究所は世界最先端の研究に取り組んでおり、大企業がスタートアップと積極的にコラボレーションするなどスタートアップのエコシステムも改善されている」と述べ、「世界のスタートアップが日本と関係を持ち、コラボレーションしてほしい」と訴求した。
東京都知事の小池氏は、「東京はビジネスを長期的に開発するのにベストな都市」と述べ、「スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム」を紹介した。東京都が事務局となり、「民間団体、企業、大学が密に協業してイノベーションを促進する」と小池氏。
東京がスタートアップにとって魅力的でエコシステムハブとなり、社会全体に貢献できる都市として訴求できるためには、「様々なプレイヤーがやりとりし、もっと多様な都市にならなければ」とコンソーシアム立ち上げの背景を説明した。
Web Summitについては、「Web Summitは、世界中のさまざまなプレイヤーが関わり、新しいものを生み出す重要な場」と期待を語った。
Web Summit 2020の報告会をオンラインにて実施
2020年12月21日(月)、オンライン開催となった「Web Summit 2020」の報告会を横浜のYOXO BOXからオンライン配信する。参加者と視聴者によるパネルディスカッションも予定しているのぜひチェックしてみてほしい。
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