YouTube Brandcast、オンラインで開催
Googleは12月4日に「YouTube Brandcast」を開催した。
YouTube BrandcastはYouTubeを活用した広告配信の事例や、新サービスなどを紹介する、主に広告関係者に向けたイベント。昨年までは舞浜アンフィシアターや両国国技館を会場としたイベントだったが、今年は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響もあり、オンラインでの開催となった。
はじめに、Google合同会社 執行役員 YouTube日本代表の仲條 亮子氏より、最近のYouTubeに関する視聴者のデータが紹介された。
2005年にサービスをスタートしたYouTube。近年、YouTuberの活躍や、企業の配信プラットフォームとしての活用により、存在感を増し続けているが、現在では、ひと月の視聴者数は20億人、1日の動画総再生時間は10億時間にものぼり、さらに、100万人以上のチャンネル登録者を持つチャンネルも、国内で240チャンネルを超えるという。
仲條 亮子氏は、「開かれた場であること、表現の自由」と「コミュニティを守る責任」を重視し、両者のバランスを大切に運営していると話した。
また、この基本的な理念を維持するために、「Remove(違反するコンテンツを削除する)」「Reduce(ボーダーライン上のコンテンツの拡散を減らす)」「Raise(信頼できるコンテンツを見つけやすくする)」「Reward(信頼できるクリエイターに報いる)」の4つを実践しており、たとえば、今年は新型コロナウイルスに関係する、信頼性の高い動画を、ユーザーが見つけやすいように優先して表示するといった取り組みを実施したことを明かした。
広告プラットフォームとしてのYouTube
2つの新サービスでより強力に
今回のYouTube Brandcastでは、YouTube上での広告に関する2つの新しいサービスが発表された。「YouTube Select」と「YouTubeマストヘッドの料金体系の変更」だ。
YouTube Selectは、従来「Google Preferred」として提供されていた広告配信を再構築したもの。エンターテインメント、ゲーム、スポーツ、音楽など15のカテゴリーで、出稿者の商品やサービスと親和性が高い視聴者に対し、デバイスやアプリを横断した、効果的な広告の配信が可能になるという。
YouTubeマストヘッドは、YouTubeの最上部に表示されるバナー状の広告。従来は掲載期間に応じた価格設定だったが、新たな料金体系では、インプレッション数(ユーザーに表示された回数)に応じた価格設定になる。表示回数の上限や、配信プラットフォームなども出稿者側で設定でき、より費用対効果の高い柔軟な広告配信ができるとした。
合わせて、Google合同会社 執行役員 営業本部長の藤木 貴子氏は、YouTubeを使った広告配信の事例を紹介。
アルバイト情報誌の「タウンワーク」の広告をサンプルに、関東、関西、中京の3エリアでYouTube広告のテストを実施したところ、ターゲット人口に対してのリーチは61%(ターゲットとしていたユーザーの61%の端末に、広告が表示された)にものぼり、テレビ CMと比較して、広告のコストは1/3になったという。
米Google Vice President, YouTube&Video Global SolutionsのDebbie Weinstein氏は、テレビを用いてYouTubeを視聴しているユーザーが増えていることにも触れ、「いまは、企業のメディアミックスにYouTubeが含まれるようになっているが、リーチ力は、テレビと同等か、それ以上に成長している」と述べ、「Google Media Labチームでは、テレビを補完するメディアプランニングを検討している」とも話した。
実際に、テレビCMとYouTube広告をそれぞれ1週間ずつ配信した実験では、YouTubeに広告を出していた期間の方がユーザーからのリーチが速く、その数は、1日目からテレビを上回っていたとする。
YouTube広告、識者も大きく意識
イベント終盤には、広告コンテスト「YouTube Works」の開催も明かされた。YouTube Worksはイギリス、アメリカなどでは開催歴があるが、国内では初の開催。
2020年に取り組んだYouTubeを活用したキャンペーンが対象で、審査員が7部門で受賞者を決定する。Creative Effectiveness 部門(多様化する生活者インサイトを的確にとらえ、クリエイティブとしても優れ、また効果面からも YouTube の特性を活用し、ビジネス成果へと繋げることに最も成功したキャンペーンの表彰)やYouTube Creator / Partner Collaboration部門(クリエイター・パートナーとコラボレーションを実施し、高い効果を獲得したブランドのキャンペーンの表彰)など、部門設定もYouTubeらしく、ユニークだ。
審査員を務める電通 エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/CMプランナーの澤本 嘉光氏は「コロナウイルスの影響で、自分の好きな動画を好きな時に、好きな時間に、誰にも邪魔されずに見られるというYouTubeの存在感が大きくなってきている」とコメント。
同じく審査員を務めるYouTuberのHIKAKIN氏も「僕がYouTubeを始めて9年、YouTubeというプラットフォームも、YouTuberの存在も、大きく変化しました。最近では、広告にも、YouTubeならではの面白いアイディアが溢れてきた」と話した。
グーグルでは、すでにエントリーサイトを公開しているので、応募したい作品がある人、企業の担当者は、ぜひチェックしてみよう。
なお、今回のYouTube Brandcastの配信内容は、専用サイトから視聴できるので、合わせて確認してほしい。