ファーウェイのサブブランドとして展開していたHonor(オナー)が来年から独立し、別メーカーになるそうです。アメリカ政府の制裁を受け、ファーウェイ製品全体の売り上げが減ることが予想される中で、小売り業者などを守るためにサブブランドを別会社にするという決断です。Honorブランドの製品はファーウェイ全体の1/4程度と見られています。2019年のファーウェイのスマートフォン販売台数は2億4000万台だったので、Honorだけで6000万台に達します。
Honorは中低価格モデルだけを展開するのサブブランドではありません。今やハイスペックなチップセット「HUAWEI Kirin 990」を搭載するハイエンドモデル「Honor 30」シリーズもラインナップされており、ファーウェイとは完全独立した別ブランドとして、独自の展開を行っています。Honorは若い世代をターゲットにしており、ゲーミングユーザーや動画配信を行うKOL(キーオピニオンリーダー、インフルエンサー)など高性能なスマートフォンを求めるユーザーに対応した製品も出しているのです。
しかしファーウェイから独立するとなると、今後はチップセットの選択もKirin以外、クアルコムのSnapdragonの採用も視野に入ってきます。すでにHonorの5GスマートフォンはMediaTekの5Gチップセット「Dimensity」を採用したモデルも存在します。
現在のHonorはハイエンドのHonor 30シリーズ以外に、「X10」シリーズ、「Play」シリーズ、そして数字1桁のモデルなど複数のポートフォリオを持ちます。しかし、今後独立してファーウェイを含め全メーカーがライバルになるのであれば、よりキャッチーなモデル名をつける必要もあるでしょう。特にフラッグシップモデルにはわかりやすい名前が欲しいところです。
Honorのハイエンドモデルはモバイルゲームを意識した製品もあります。現在ゲーミングスマートフォンはASUSの「ROG Phone」、レノボの「Legion Phone」のように、PCメーカーがゲーミングPCと同じブランドで展開しているものがあります。一方、シャオミ系の「Black Shark」、ヌビアの「Red Magic」はスマートフォンメーカーによる独自ブランドです。
Honorはスマートフォン以外にノートPC「MagicBook」も展開していますが、今年9月にはキーボードがカラフルに光るゲーミングノートPC「Hunter V700」を発表しました。最上位モデルは第10世代のインテル i7-10750Hプロセッサーを搭載し、GPUはGeForce RTX 2060、16GBメモリーに512GBのSSDを搭載します。初のノートPCがゲーミングPCとは、若者向けスマートフォンを展開していたHonorならでは。ですが、明確なターゲット向けに「売れる」製品を作ることが、今後のHonorのスマートフォンにも求められるでしょう。
ゲーミングPCのブランドに「Hunter」の名前を付けたことから、Honorは今後ゲーミング特化のスマートフォンも同じブランドをつける可能性も十分考えられます。つまり「Hunter Phone」が出てくるかもしれません。Hunter V700が取り入れた「X」型のロゴもとてもカッコよく、ハンターという名前もいい響きです。「新生Honor」を印象付けるには、Hunter Phoneはいいアピールになると筆者は思います。
いずれにせよ、独立したHonorは「Honorならでは」の製品展開をいままで以上に強化していかなくてはなりません。特にスマートフォンの外観デザインはここのところ各社似通ってしまっています。「この製品はHonorだ」とわかるような製品そしてブランド展開が、Honor成功の鍵となるでしょう。
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