2.5GbEやWi-Fi 6、USB 3.2 Gen2x2といったこれからの時代のインターフェースを全部入りで搭載
この機能、性能なのに価格はアッパーミドル帯。価格/性能比は抜群のマザーボード「Z490 UNIFY」
「Thermal Velocity Boost」有効下のCPUでも安定したVRM温度
Z490 UNIFYのこうした冷却設計、部品選択は何のためのものか。漠然と、熱=PCの敵というのはイメージされているだろう。PCは半導体パーツの集合体であり、半導体は熱によりダメージを受ける。高温下にさらされている時間が長いほど劣化は加速していく。適切に冷やすことはマザーボードの寿命を仕様の最大まで引き出すために重要だ。
また、パフォーマンスを引き出すという側面もある。現在のCPUは熱設計に余裕がある状態で負荷がかかると、その処理を速やかに行なうために自動オーバークロックを行なう。つまり温度に余裕があることが重要だ。VRMが発する熱は、マザーボード上ではPCHと同じ程度に大きなものだ。ただし、CPUクーラーのように直接的にCPUを冷やすものではない。PC筐体内の温度という視点で見れば、VRMの温度も無視はできない。VRMが冷えていればわずかとはいえ筐体内温度の上昇を抑えられる。それは時としてCPUクーラーの冷却効率にも影響し、ブーストの持続時間を延長するといった効果をもたらすこともある。
では、ここでひとつZ490 UNIFYのVRM冷却性能を調査してみよう。検証環境はCPUがIntel「Core i9-10900K」、GPUがNVIDIA GeForce RTX 3080を搭載するMSI「GeForce RTX 3080 GAMING X TRIO 10G」。VRMの冷却、CPUの安定性や性能を見るということで、スコアというよりはHWiNFO 64で取得できる各部の温度を中心に見ていきたい。
まず、CPUベンチマークの「CINEBENCH R20」。Z490 UNIFYでHWiNFO 64を動作させると、マザーボード上のセンサー温度に「MOS」という項目が表示される。これがMOSFET温度になる。CINEBENCH R20実行時におけるMOSの温度は最大58.5℃程度だ。Core i9-10900Kは冷却・電力に余裕がある際、「Thermal Velocity Boost」が効いてくる。温度はCPU側で、今回240サイズの簡易水冷CPUクーラーを組み合わせているため最大71℃とあるように余裕がある。CPU Package Powerは最大208.075Wだった。つまりMOSFETにはかなり負荷をかけていることになるが、60℃以下に抑えられているようだ。
次はストレステストの「OCCT」。テストはLINPACKとし、30分間実行した。CINEBENCH R20と比べるとCPU負荷はさらに高いテストだ。そのため各部の温度もCINEBENCH R20と比べると少し高くなる。CPU温度は最大72.5℃、MOS温度は最大64℃となった。こうした高負荷において注目したいのは温度の推移だ。冷却が十分でなければ右肩上がりのグラフになる。そこで30分間中の後半15分の温度推移をグラフ化してみた。MOS温度に注目してみると、負荷時には上昇するが、負荷が抜けたタイミングでゆるやかに温度が下がっている。これがZ490 UNIFYの大型VRMヒートシンクの効果と言えるだろう。
一般的な(それなりの時間、断続的に負荷がかかるが)テストとしてPCMark 10のExtendedテストも計測してみた。こちらもCPU温度は最大73℃だが、MOS温度は最大53.5℃程度に収まった。CPUはThermal Velocity Boostによってパフォーマンスを最大化しようとし、CINEBENCH R20同様のあたりまで上昇する一方、断続的な負荷となるので負荷と負荷の間にしっかり放熱され、MOS温度が抑えられているようだ。
温度が気になる部分ではM.2 SSDもある。Z490 UNIFYでは最近のM.2スロットではおなじみのM.2 Sheld Frozrヒートシンクを搭載している。今回組み込んでいるのは比較的発熱量の大きいIntel Optane SSD 800p 118GBだ。これのPCMark 10 Extandedテスト実行時の最大温度は55℃。M.2 Sheld Frozrヒートシンクによって十分に冷却できているようだ。なお、今回は最上段のM.2スロットに装着しているが、ヒートシンクの大きさで言えば最下段がもっとも大きい。おそらくそちらのほうが冷却性能がよいだろう。
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