「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食」
松屋
890円 (ライス・みそ汁・生野菜付)
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/news_lp/201027.html
「松屋でトリュフ」の意外な組み合わせ
トリュフといえば高級食材として知られますが、黒トリュフと白トリュフがありまして、今回は黒トリュフ。主にフランス、スペイン、イタリアで生産されています。「truffe」という言葉自体は古代ギリシャから使われていたそうですが、現在の「トリュフ」が人気となるのは14世紀以後だそうです。
高価なトリュフは、主に香り付けとして使われます。今では日本でもおなじみの存在ですが、漫画「美味しんぼ」では、フランス人がトリュフを絶賛しているのに、日本人(東西新聞社のみなさん)が「香りは独特だし、舌触りはジェリービーンズみたいだし」と言って激怒される、というシーンがありました。時代を感じますね。
さて、牛めし・カレー・定食などを販売する「松屋」に「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食」が登場します。10月27日から発売されています。テスト販売で好評だったというメニューが全店で展開。税込890円。
牛肉の旨味をしっかり味わえるという牛100%の粗挽きビーフハンバーグに黒トリュフソースをかけています。付け合わせは北海道産のポテト。黒トリュフソースと絡めればぜいたくな味わいが楽しめ、さらにボリューム満点とうたいます。ライス・みそ汁・生野菜付。
ポテトサラダを付けた「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食ポテトサラダセット」は950円。単品の「黒トリュフソースのビーフハンバーグ」は690円です。
いずれも持ち帰り可能。ただし持ち帰りにはみそ汁は付きません(別途60円)。
発売を記念して、「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食」「黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食ポテトサラダセット」は、11月10日午前10時までライス大盛無料サービスの対象メニューとなります。
ハンバーグは悪くないが、松屋でこれが食べたいかしら
まず、ハンバーグはどうでしょうか。粗挽きであることは伝わりますが、もう少し肉汁があふれてもよい気がします。このあたりは調理の加減なので、店員さんのスキルによるところも……ないか。チェーンのメニューですからね。よくも悪くも普通です。
では、肝心の黒トリュフソースは? やや塩気の強い、クリームソースというべきものです。そして、確かにトリュフの香りはします。松屋だと考えると、意外な驚きはありますよね。
付け合わせのポテトはハンバーグの下に敷いてあるようです。なので、ぱっと見は気づかないかもしれませんが、濃いソースのハンバーグに対する付け合わせとして、ホクホクでおいしいですね。
全体としての評価は……どうだろうな。ハンバーグとしては悪くないです。ただ、めちゃくちゃ高級だな〜と思わせるものもない。以前に出していた「シュクメルリ定食」のような、松屋ならでは! というスペシャル感にも欠けます。
だから、890円(筆者が注文したポテトサラダセットは950円)をこれに払うのか、という問題は出てくると思います。トリュフも使っているから、890円。それ自体はわかる。ただ、松屋に来る人が、890円を払ってトリュフを食べたいか、という疑問は、どうしても。
別に、松屋のメインの客層がどうだとか、消費者の声がどうだとか、安易に決めつけたいわけではない。一方で、素朴に、「松屋でトリュフのハンバーグを食べたいか?」と思ってしまう。
たとえば、今では選べる小鉢で「お肉たっぷり牛鍋膳」が690円で売られています。個人差はあるにしても、松屋に行くとしたら、200円安いこちらのほうが、選ぶ楽しみとコスパで、ワクワクするのではないか?
あるいは、肉をいっぱい食べたいなら、「選べる極旨ソースの牛ステーキ丼」のほうがいいと考える人もいるでしょう。
誰もが、松屋でトリュフのハンバーグを食べたいわけじゃない。もっと、松屋のノウハウを活かした味があるのではないか。「松屋でトリュフを食べられる!」という話題性があるのはわかりますが、このメニューがベストだったのかしら。
無責任ながら、いっそ、1500円ぐらいにして、めちゃくちゃ上等なハンバーグにしてしまいました……というほうがおもしろかったのでは、と思っています。890円です。松屋にしてはちょっとぜいたくなのですけれど、そのぜいたくな付加価値が「トリュフの香り」というのは、弱いかなあと。
価格に見合ったものかと言われると、すこしむずかしい。話題作りにはよいと思いますが、ここでしかないおいしさ、気楽に注文できるコスパ、そういうものがないような気がした……というのが、正直なところでした。現場からは以上です。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。
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