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モーダル小嶋のTOKYO男子めし 第24回

富士そばで「ふぐ」を食べた不思議な思い出

2020年11月07日 11時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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「天然輪島ふぐ唐揚げ丼セット」
名代 富士そば
780円
https://fujisoba.co.jp

もう発売が終わったメニューの話です

 ダイタンフードは「名代 富士そば」(以下、富士そば)全店にて、石川県輪島市とのコラボにより実現した「天然輪島ふぐ唐揚げ丼セット」を提供していました。10月16日〜11月5日の期間限定です。

 そうなんです、この記事が公開されている頃には食べられないメニューの話です。申し訳ない。でも、あの不思議な存在は、記事に残していく価値があるかと思い、キーボードを叩いている次第です。

これだけ見たら親子丼セットかな? と思います

 天然ふぐ漁獲量の日本一をほこるという石川県輪島市とのコラボ企画により、丼とそばがセットで780円という、なかなかお手頃な価格で提供されたものです。

 提供されたメニューは、「天然輪島ふぐ唐揚げ丼(ミニ)かけそば(うどん)セット」が780円、「天然輪島ふぐ唐揚げ丼(ミニ)単品」が480円。

こちらは普通のかけそばです

 ふぐ、というと、みなさんはどのような想像をされるでしょうか。ふぐ刺しでしょうか? てっちりでしょうか? いずれにしても、高級な食材、ぜいたくに味わいたい、というイメージがありますよね。

これが、富士そばのふぐです

 富士そばの場合、唐揚げです。白身魚の唐揚げというのはよくあるものでして、淡白な白身と衣の味の相性はよいのですけど、高級感という点に関しては、それほどではなかったかもしれません。なにしろ、卵とじにして、丼になってしまったので……。

“ふぐ”であってもミニ丼はサブポジション

「富士そばでふぐが食べられるなんて!」という驚きの外見……ではないかな

 どうして、富士そばでふぐを食べるのか。それはもう、富士そばで「いつもと違うものを食べたい」という、気持ちの変化がほしいからです。セットにすると780円で、富士そばのメニューにしては安くないのですが、目の玉が飛び出るほど高いわけでもないですし。

 とはいっても、「もう、めちゃくちゃぜいたくしたな〜」というほどのリッチ感ではない。ここがポイントです。そもそも、そういう感情を持って富士そばには行くことはありませんし。むしろ、いつもと同じようなものを食べたな、とさえ思ってしまう。

唐揚げになっています

 それはなぜか。やはり、味付けでしょうか。まあ、白身魚の唐揚げですよね。そんなご無体な、と言われそうですけど。醤油味の割下で煮込み、卵でとじているので、どんな白身魚でも同じ味になってしまうといえば、そうなんです。白身魚の唐揚げ丼。それ以上でもそれ以下でもない。

白身魚の淡白な感じ

 そこに、富士そばの味が濃い目のつゆで食べるそばが、なんともいえない風情をプラスしてくれます。ふぐの繊細な身の味が消えていく。ふぐを食べているのではなくて、あくまで、そばのセットのミニ丼を食べている、という気分。

 ここに富士そばの主従関係があります。あくまで、そばがメイン。たとえそれが“ふぐ”であっても、ミニ丼はサブポジションなのです。ゴージャスでもないし、チープといえばチープなんですが、食べているのは、ふぐ。このアンビバレンツな感情に、なんと名前をつけたものでしょうか。

味が濃いつゆのそばが風情をかもし出す

 ぜひとも復活してほしいかと言われると、失礼ながら、そこまでのインパクトはないんです。「富士そばでふぐが出ていたときがあったんだよ」「マジで! ふぐ刺しみたいな?」「いや、唐揚げなんだけど……」と、思い出話をするような。

 なんだか、不思議な存在でした。このふぐが食べたくて、足しげく通うということではなかった。食べてみて「ハズレだわ……」というほどでもなかった。ただ、「富士そばでふぐが食べられる」という、妙な感慨があったことは、忘れずにいようと思います。


モーダル小嶋

 

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。

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