生き残りをかけて模索するファーウェイだが、ネットワーク機器と端末、ともに苦しい状況が続いている。米大統領がバイデン氏に確定したとしても、米中関係がすぐに好転する保証はない。そんな中、ファーウェイは11月17日、以前からの憶測どおりにHonor事業を売却することを発表した。
ファーウェイのスマートフォン事業の15%を占めるHonor
価値は152億ドル?
「コンシューマー事業は大きな圧力にさらされている」。11月17日、Honor売却を発表したファーウェイの声明文はこの表現で始まる。圧力の元は言うまでもなく米国だ。
米国が進めてきたファーウェイ包囲網は、最初はネットワーク機器事業だった。自国事業者に対して5Gネットワークでファーウェイ製品を採用しないようにするとともに、同じことを同盟国にも呼びかけた。そして2019年5月には、エンティティリストにファーウェイを入れる。これにより許可なく米国製品の輸出と再輸出ができなくなった。2020年5月にはさらに厳しい措置をとり、海外メーカーが米国の技術を用いて製造した半導体や汎用品も対象になった。ファーウェイは半導体の供給が絶たれ、在庫が尽きれば終わりという危機的な状況だ。なお、5月には日本経済新聞などが、ファーウェイは2年分の半導体在庫を確保していると報じている(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59678910Y0A520C2FFE000/)。
今回売却が発表されたHonorは、シャオミはネット上でのフラッシュセールで若者に人気を博したのを受けて、ファーウェイが立ち上げたブランドだ。そのため端末の価格帯はミッドレンジが中心で、若者を狙ったラインになっている。当初は中国本国でのインターネット販売のみだったが、日本を含む世界で展開しており販路も拡大、店頭にも並んでいる。年間の出荷台数は7000万台。2020年第3四半期にファーウェイが出荷した5170万台のスマートフォンのうち、Honorは26%を占めている。低価格帯が中心であるため売上に占める比率となると15~17%という。
そのHonorの新しい持ち主になるのは、Shenzhen Zhixin New Information Technologyという企業だ。売却金額などの詳細は不明。Reutersなどの報道では、Honor事業は152億ドル規模と見積もられていた。
ではそのZhixin New Information Technologyとは?
今回登場したShenzhen Zhixin New Information Technologyとはなんなのか? 共同声明によると、Shenzhen Smart City Technology Development Groupを中心に、Honorブランドを取り扱う30以上の代理店が共同で立ち上げたコンソーシアムという。「Honorの産業チェーンを守る目的で、マーケット主導で投資をする」としており、Honorユーザー、販売チャネル、サプライヤー、パートナー、従業員にとって最善の策としている。一方で、新しい所有者の下でもHonorの開発方向性、幹部や人材の安定は変わらないとしている。
ファーウェイはこのコンソーシアムに出資せず、事業面のマネジメントや意思決定にも一切関わらないとしている。
合わせて、Honorに関わっていた8000人のスタッフも移管する。同日中国メディアのGlobal Times(環球時報)の英語版は、Honorの現CEO、Zhao Ming氏が新しい親会社の下でも続投すると報じている(https://www.globaltimes.cn/content/1207059.shtml)。
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