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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第584回

性能/消費電力比がCore i9の2.8倍というRyzen 5000シリーズの詳細 AMD CPUロードマップ

2020年10月12日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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性能/消費電力比は、初代Ryzen比で2.4倍
Core i9と比較すると2.8倍

 性能/消費電力比に関しては、初代Ryzen比で2.4倍、Zen 2世代と比較しても1.2倍とされる。ちなみにCore i9と比較すると2.8倍、というのは昨今のインテルの消費電力の多さを考えれば、納得できる数字ではある。

性能/消費電力比の測定はCineBenchのAll Thread実施中のシステム総消費電力だそうだ

こちらもやはりCineBenchのAll Threadでの比較。Core i9-10900Kの場合、PL2が250W、PL1 Tauが56秒なので、CineBenchのAll Threadではテスト中ずっとPL2で動くことになりかねない。それは消費電力が増えるのも当然である。その意味では意地の悪い比較ではあるのだが、元はといえばPL2やPL1 Tauを爆熱仕様にしてしまったインテルのせいでもある

 ちなみにこの1.2倍という数字は、案外に低いな、というのが筆者の感覚ではある。というのは、IPCの向上が19%あり、しかもN7→N7+だと「同一消費電力なら動作周波数が10%向上」だから、トータルで30%位上がっても不思議ではないからだ。

 もっともこれも但し書きを見ると、CPU単体ではなくシステム全体での消費電力比なので、それであれば20%でも納得できる。

11月5日に4製品が全世界同時発売
シングルスレッド性能が大幅に向上

 ということでやっと製品ラインナップの話である。今回発表されたのはRyzen 5 5600X/Ryzen 7 5800X/Ryzen 9 5900X/Ryzen 9 5950Xの4製品。

 表にラインナップをまとめたが、全製品が11月5日に全世界同時発売の予定である。もっとも昨今は(AMDに限った話ではないが)直前に一部SKUのみ延期ということもあるので、まだ油断はできない。

Ryzen 5000シリーズのラインナップ
モデルナンバー Ryzen 9 5950X Ryzen 9 5900X Ryzen 7 5800X Ryzen 5 5600X
コア/スレッド数 16/32 12/24 8/16 6/12
ベースクロック 3.4GHz 3.7GHz 3.8GHz 3.7GHz
ブーストクロック 4.9GHz 4.8GHz 4.7GHz 4.6GHz
3次キャッシュ 64MB 64MB 32MB 32MB
TDP 105W 105W 105W 65W
附属クーラー なし なし なし Wraith Stealth
価格 799ドル 549ドル 449ドル 299ドル

 さて肝心の性能だが、まず大々的に示されたのが、CineBenchの1Tのデモである。ついにシングルスレッドで600の大台を超えたということで、とにかくシングルスレッド性能が(IPC向上のお陰で)大幅に上がったことが大きい。

CineBenchの1Tのデモ。シングルスレッドで600の大台を超えている

 そしてシングルスレッド性能が如実に効いてくるのがゲームである。主要なゲームについて、Ryzen 9 3900XTとRyzen 9 5900Xで比較した結果が下の画像だ。

主要なゲームでのベンチマークスコア。ちなみにビデオカードはGeForce RTX 2080Tiの場合だそうで、GeForce RTX 3080やRadeon RX 6000シリーズを持ってくると差はさらに広がりそうだ

 CPUボトルネックになりそうな、League of LegendsやCS:GOなどでけっこうなフレームレートの向上が見られる。Shadow of the Tomb Raiderでは、実際のフレームレートも紹介された。それだけでなく、Core i9-10900Kとの比較も示されている。

Shadow of the Tomb Raiderでのフレームレート。ここまでのフレームレートが要るか? という話でもあるが、CPU性能の差を見せるにはちょうど手頃ではある

Ryzen 9 3900XTと比べると差は多少縮まるが、それでも全体としては明確にCore i9-10900Kを上回ったとして差し支えない性能といえる

 同様に、Ryzen 9 5950Xの性能も示されている。

こちらはRyzen 9 3950Xとの比較。全般的にやはり大きな性能改善がみられる

こちらはCore i9-10900Kとの比較

 少しおもしろいのがCore i9-10900Kとの比較であるが、2つ前の画像のRyzen 9 5900Xと並べてみると、ややRyzen 9 5950Xの方が下回る結果になっている。1つにはベースクロックの違い(Ryzen 9 5950Xは3.4GHz、Ryzen 9 5900Xは3.7GHz)がありそうだ。

 個人的には、ゲームに最適なのはむしろRyzen 7 5800Xではないか? という気もするが、このあたりはいずれKTU氏がねっちり検証して下さると信じている。

 そのRyzen 7 5800XとRyzen 5 5600Xについては、おまけ的に紹介されている。このあたりは、製品発売の際にはもう少し細かく紹介されるだろう。

Ryzen 7 5800Xの性能

Ryzen 5 5600Xの性能

 なお、1080p Gameは複数のゲームを1080pで実施した際のフレームレートの幾何平均を取って、それを比較したものだ。またシングルスレッド/マルチスレッドはCineBenchの結果だそうである。

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