3歳児くんの保護者をしています盛田諒ですこんにちは。3歳児くんと言っているとおり、子は男性器をもつ男子です。先日やまもとなおひでさんの絵本「おちんちんのえほん」を読んでから、子は「ちんちん見せたらダメなんだよね」と言いながらちんちんを出すようになりました。ダメの意味わかってますかあなた。
乳児のころは性別なんてあってないようなもんだった子ですが、発達にしたがい、趣向にはわかりやすく男子的なものがあらわれてきました。3歳になって突如特撮ヒーローが好きになり、3歳半を過ぎると今度は恐竜の話ばかりするようになりました。1歳で電車、2歳でクルマ、3歳で特撮そして恐竜ですよ。もはや染色体に組み込まれてるんじゃないかってくらい男子丸出しでびっくりです。
私自身、幼少期に男子としてそこまでのめりこんだ記憶はないものの、ミニカーは集めていたし、曲竜類のアンキロサウルスを愛していたので似たようなものかもしれません。それでもゲーム漬けになった10代のころグランツーリスモやモンスターハンターにははまらなかったので、こういう性別的な傾向は幼少期にのみあらわれ、消えてしまうものなのかもしれません。不思議なものです。
新型コロナの影響で行けなくなりましたが、児童館で遊んでいるときも女子との違いは明らかでした。女子たちがおままごとをしている隣で、子は大量のトミカを自作の立体駐車場に並べます。子どもというのは想像以上に性別による趣向の偏りが大きいものなんだなと感じたもんです。
ただそれはあくまでも偏りで、子どもがいわゆる「男の子らしくない趣向」を示すこともありました。子は以前、保育室の工作でピンク色のウサギのお面を作りました。そのときに他の子から「男の子なのに変なのお」と言われ、モジモジしてしまったそうです。すごく素敵なお面だったので「すごくいいね、似合ってますね」と伝えると、本人はうれしそうにしていたのですが。素敵なお面は子どもの大事な宝物として工作箱にしまってあります。
今はジェンダーフリーの時代で、男の子らしいとか女の子らしいといったラベルづけは嫌われる傾向にあります。イギリスの老舗百貨店ジョン・ルイスが3年前、子ども服売り場から「男の子」「女の子」のラベルをなくしたことも話題になりました。ただ、パステルカラーのフリフリワンピと、恐竜柄の原色カットソーを「子ども服」として並べて売ることはできたとしても、幼少期の子どもが「男の子らしい服」「女の子らしい服」を好む傾向は変わらないんじゃないかと思うんですよね。
一方、逆に売り場にない服を子どもが欲しがったら、こっちとしては「子どもが『自分向け』の服を知ってるのか」と感激すると思うんですよ。好きな服が買えなければ子ども用の服をこしらえることもできるし、それこそピンク色のウサギのお面みたいに素敵なものができたら宝物のような経験になるんじゃないかと。要するに幼少期において性別ごとに偏りがちな趣向と、子ども自身の趣向とは両立できるんじゃないかと思うんですよね。あなたは男か女であらわされることがあるけど、大切なのは、あなたは自分が好きなものでできているということなんだよと。
進化心理学者のスティーブン・ピンカーはかつて、著書『人間の本性を考える』で、フェミニズムの信条と、男女が心理学的に同一でない可能性は両立できると主張しました。書籍自体は賛成できないところもありますが、子どもの性別と趣向について考えるとやや似た視点を感じます。
まあ子どもは現時点で映画「カーズ」のライトニング・マックイーンが描かれた真っ赤なTシャツを「かっこいい服」、ブルーとイエローの補色でギラギラになったハイテク系スニーカーを「かっこいい靴」と呼び、インスタ完全無視コーデで楽しそうに保育園へと走っていっているわけですが。そうですね、それが今のあなたを作っているものなんですからね。でももうちょっと落ち着いた色は?ええダメですよね、わかっていますとも。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。3歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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