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PCI Express 4.0対応でリード5GB/sはもう古い

リード最大7GB/sの衝撃!待望のSamsung製Gen 4対応SSD「980 PRO」を速攻レビュー

文●ジサトライッペイ 編集●ASCII

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980 PROはSLCキャッシュに対応

 最後に、SLCキャッシュ機能である「Intelligent TurboWrite 2.0」にも触れておこう。前モデルの970 PROでは高速な2bit記録のMLC NANDを採用していたため、必要のなかった機能だ。しかし、980 PROではコストパフォーマンスに優れる3bit記録のTLC NANDを採用したため、同機能に対応した。SLCキャッシュ範囲内でシーケンシャルに書き込める状況であれば、常にベストの速度でデータを書き込める。

Intelligent TurboWrite 2.0の容量と性能

 同じ1TBモデルでも970 EVO Plusは最大キャッシュ容量が42GBのところ、980 PROでは114GBとかなり大きい。標準キャッシュ容量はどちらも同じだが、980 PROは可変キャッシュ容量が108GBと3倍だからだ。念のため、「HD Tune Pro 5.75」で150GBぶんの連続書き込みを行ない、本当かどうか確かめてみた。

980 PROでHD Tune Pro 5.75を用い、150GBぶんのデータを連続で書き込んだ結果

970 EVO PlusでHD Tune Pro 5.75を用い、150GBぶんのデータを連続で書き込んだ結果

 ご覧の通り、980 PROでは公称値通り、114GBほど書き込んだ付近でがくんと速度が落ちた。970 EVO Plusの42GBと比べれば2倍以上SLCキャッシュ内で使える容量が大きいので、年々肥大化しているゲームのフォルダーや高解像度な動画ファイルの移動時に役立つはずだ。

まとめ:980 PROはあらゆる空気を読んでこのタイミングで正式発表したリード最大7GB/sの第2世代Gen 4対応SSD

 以上で、980 PROのレビューは終了となる。時間の制約で実際のアプリでの挙動などは試せなかったのが心残りだが、そもそもNVMe SSDの有用さはPCI Expressのバージョンを問わず、目に見えにくいものである。しかし、先日発表されたNVIDIAの最新GPU、GeForce RTX 30シリーズの機能「RTX IO」に代表される、将来的にPCI Expressの帯域が鍵となる技術も今後どんどん増えることだろう。そこを勘案すれば、今からそんな未来を見据えてストレージ環境をGen 4に整えておくのは無駄ではない。

 現在、デスクトップPCでPCI Express環境をGen 4にするためにはAMDの最新プラットフォームが必要だ。しかし、競合のIntelもノートPC向けの第11世代Coreプロセッサー(開発コードネーム:Tiger Lake)ではGen 4に対応している。ゆえに“ごく近い将来”、IntelプラットフォームのデスクトップPCにおいてもGen 4に対応するのは既定路線であることは明白だ。Gen 4対応SSDの購入に二の足を踏んでいるユーザーも今のタイミングなら買っても、そう悪い投資にならないだろう。

 そして、980 PROはリード最大7GB/sと、これまでリード最大5GB/s程度だったGen 4対応SSDのスタンダードスペックを押し上げる代表SSDと言っていい実力を発揮した。“第2世代Gen 4対応SSD”と呼ぶべきモデルだろう。NVIDIAのRTX IOや市場が大きなIntel製ノートPC向けGen 4対応最新CPUの発表後という、将来的に有用になる要素がたくさん出てきたこのタイミングでの正式発表は、ストレージ業界の巨人たるSamsungらしい、底の深い戦略性がうかがえる。いまだ速度が不明の2TBモデルのリリースも含め、同社の動きに今後も注視したい。

 現在、リード最大5GB/sクラスのGen 4対応SSDの1TBモデルは最安製品になると2万3000円前後から存在する。980 PROの1TBモデルはリード最大7GB/sで、わずか2000円上の2万5000円前後からスタートする見込みだ。おそらくこのインパクトはGen 4対応SSD市場にさらなる低価格化を招くだろう。また、Gen 3対応SSD市場もこのあおりを受けることは間違いない。980 PROがGen 4対応SSD普及の強烈なけん引役になることは必至である。

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