最後まで見逃せないストーリーにも注目
アランウェイクのもう1つの魅力は、ぐいぐいと引きこまれるストーリーだ。謎の失踪をとげた妻を捜索するうちに、田舎町の裏に隠された秘密に巻き込まれていくという展開は、どことなくアルフレッド・ヒッチコック監督のミステリー映画や、ホラー作家の帝王ことスティーブン・キングの小説(および原作映画)などを連想させる。「アメリカの田舎町=世にも奇妙なミステリーの舞台」というイメージを具現化したようなストーリーをゲーム内で味わえるのがポイントだ。
そのうえ、本作にはアメリカの田舎町を舞台にしたミステリー映画、ドラマ、小説のお約束がこれでもかと詰まっている。奇妙な住民に田舎町特有の怪しさ、闇が深い秘密などなど……。そういう作品が好きなファンは間違いなくハマるだろうし、初めて触れる人は先が見えない謎に引きこまれるだろう。
個人的によいと感じた点は、海外ドラマでよく見かける「前回のあらすじ」が導入されていることだ。本作は海外ドラマの作りを意識しているため、エピソード形式でストーリーが進行する。次のエピソードが始まる前に「これまでのアランウェイクは……」とナレーションが必ず入り、前回のエピソードのダイジェスト映像が挿入される。海外ドラマファンにはたまらないお約束的なネタをちゃんと用意しているあたりに好感を抱いた。
また、本作は闇への恐怖心を煽る演出も際立っており、人によっては暗闇が恐怖の対象になるかもしれない。暗闇の中に何かが潜んでいたら……と考えるだけでゾッとする感覚を助長させる恐れがあるので、本作をプレイする際は多少の覚悟が必要になるだろう。暗闇なんてへっちゃらなホラーゲームファンは、部屋を暗くしてプレイすることを強くおススメしたい。
そのほか、登場人物たちと対話したり、ステージ内に隠されている「小説」のページを回収したりすることで、ストーリーの考察を深められる。何度も周回プレイをして世界観の深みに酔いしれてもよし、実績解除に励んでもよしといった楽しみ方もできる。このように、ゲームプレイとストーリーの没入度を高める要素はかなり盛りだくさんなのだ。「わかってるねぇ大将!」と膝を叩きたくなるぐらい、Remedy Entertainmentのサービス精神は旺盛すぎる。
10年という長さを一切感じさせない傑作ADV
久しぶりにアランウェイクをプレイしてみたが、10年経っても光と闇の戦いは面白いどころか、新鮮なプレイフィールをもたらしてくれた。プレイ中、「そうか、本作がリリースされてから10年経ったのか…」と感慨深い気持ちに浸る瞬間もあったうえに、10年前に気づけなかった新たな発見もあった。1500円台だから懐に余裕があればぜひ購入してもらいたい。
余談だが、本作と少しだけ関連があるCONTROLもかなり面白い。8月27日より、本作のDLC第2弾「AWE」が配信された。本コンテンツはアランウェイクとクロスオーバーした作品で、CONTROLファンはもちろん、アランウェイクのファンもドハマりすること間違いなしのストーリーを堪能できる。全DLC2本を収録した「Control Ultimate Edition」が販売中なので、気になる人はこちらもあわせてチェックしてほしい。
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