3D格闘ゲームもプレイできなくはない
高性能な内蔵GPUを搭載
「ZenBook 14 UM425IA-AM016TS」に搭載されるCPUは、可搬性に優れるモバイルノートPC向けの“U”シリーズの3番目に高性能なRyzen 7 4700Uであり、仕事や動画視聴などのエンタメが快適に行なえる、メインPCになり得る性能が期待できる。
別途GPUを搭載するゲーミングを謳う製品よりはグラフィックス性能が劣るものの、内蔵GPUのRadeon Graphicsの性能はライバルであるIntelの現行機に搭載されるIce Lake世代のGPUよりも高い性能を誇り、一般的な写真や動画の変換、軽いゲーム用途なら十分な性能を持つ。
そのため、実際にどれぐらいの性能なのか、定番ベンチマークソフトなどを使って計測してみた。AMDのHPでは「ZenBook 14 UM425IA-AM016TS」初期出荷時よりもバージョンの高いドライバーがダウンロードできたが、購入者がすぐに使う環境にそろえるため、あえてアップデートせずに計測。使用したドライバーバージョンは「10.19.40016.0」。
まずは、CPUの定番のベンチマークである「CINEBENCH R20」で性能を計測。マルチコアのスコアーは2531pts。PC構成にもよるが、4コア/8スレッドのIce Lake世代のUシリーズのCPUのスコアーが2000pts前後くらいなので、モバイル用途のCPUとしてはかなり高いスコアーであることが分かる。
3DMarkの結果は上図の通り。さすがにdGPUを搭載するゲーミングデスクトップ向けのFire StrikeやTime Spyは低めのスコアーだが、GPU内蔵CPU向けのDirextX 12ベンチマーク「Night Raid」は、1万超えのスコアーに。Graphics test 1のフレームレートが55.92fps、Graphics test 2が76.53fpsと高く、軽いゲームによっては、一般的なゲーム機が出せる最大60fpsで遊べる余地がある。
お次はPC性能チェックには必ずといっていいほど登場する定番実ゲームベンチ「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」でスコアーを確認。解像度はフルHD(1920×1080ドット)とHD(1280×720ドット)の2パターン、描画品質は最高品質と高品質ノートPCとし、その組み合わせで全4パターンで計測した。
dGPUを搭載していないにも関わらず、評価が設定見直しではなく、フルHDでも「やや快適」となっていたのは立派。「快適」評価のフルHD+最高品質でも遊べないこともないだろうが、人が多く集まるレイドなども考慮すれば、HD+高品質ノートPCでなら、より快適にプレイできそうだ。
今度はジャンルを変えて、最大60fpsまでで、60fpsを切ると快適ではないという評価になる「STREET FIGHTER V ベンチマーク」でスコアーを使用。解像度はHDで、画面品質はデフォルト設定の全項目「中」、スケーリング解像度は100で計測した。
平均フレームレートは59.35とほぼ60fpsで快適にプレイできるという結果に。本ベンチマークでは、数fpsでも落ちると設定の見直しを求められるが、見事遊べるという評価を獲得。dGPUなしでも2D格闘ゲームは、遊べるタイトルは多いが、3D格闘ゲームも遊べるというのは嬉しいところだ。
2年前のハイエンドノートPCよりも
クリエイティブにも強く、無線LANも高速!
ゲームは軽いゲームならプレイできることが分かった。では、次にクリエイティブ性能について調べていきたい。写真編集では定番の「Adobe Lightroom」にて、解像度6000×4000ドットの132枚のRAWデータを写真を追加して全て読み込まれるまでの読み出し時間と、品質100%のフルサイズJPEGファイルに書き出した際の時間を計測。今回は、CPUが第8世代Intel「Core i7-8650U」(4コア/8スレッド、1.9~4.2GHz)、GPUがGeForce GTX 1060、16GBメモリーを搭載する、筆者がずっと2年間メインPCとして使用している15インチの「Surface Book 2」と比較。
「Surface Book 2」は筆者が購入してから2年間、ずっと使用していたので、その分性能が落ちている、ということもあるだろうが、それでもZenBook 14 UM425IA-AM016TSの方が、倍近い早さで書き込みが終わっている。
次によくAMDの発表会でも使われる定番の無料動画変換アプリ「HandBrake」を使い、動画の変換速度を比較。4Kで録画した約5分のゲームプレイ動画をプリセット「YouTube HQ 1080p60」を使い、H.264とH.265の両方で出力した際の処理時間をそれぞれ計測した。
動画変換も倍とは言わないが、かなりの差が生まれた。H.265の変換で言えば、ZenBook 14 UM425IA-AM016TSの方が、10分近く早く処理が終わっている。
本機は最新のRyzen 4000シリーズのCPUを搭載するだけでなく、無線LANも普及が急速に進んでいるIEEE802.11ax(Wi-Fi 6)に対応している。実際にIEEE802.11ac(Wi-Fi 5)対応のIO DATA「WNPR2600G」(4×4、規格値1733Mbps)と、バッファロー「WSR-5400AX6-MB」(4×4、規格値4803Mbps)のルーターに接続し、まずはリンク速度を確認。個人所有のためルーター2製品のメーカーが異なるところはご容赦願いたい。
通信速度がWi-Fi 5ルーターとの接続の場合は866.7Mbps、Wi-Fi 6ルーターとの接続の場合は2.4Gbps。つまりは、160MHz幅2ストリームに対応していることが確認できた。
そこで、ギガビットLAN接続したデスクトップPCとフォルダー共有を行ない、jpegとRAWデータが連続する69枚の写真データ約1GBを転送して速度を比較。Wi-Fi 6接続時は約13秒とWi-Fi 5接続時の28秒よりも倍ほど早い結果となった。
ZenBook 14 UM425IA-AM016TSは、8コア/8スレッドとコア数の多い最新のRyzen 4000シリーズのCPUを搭載。アルミニウム合金製の天板を備え、薄型ながらMIL規格に準拠した耐久性を持つ、長く快適にビジネス用途や自宅でのメインPCとして使えるスペックを有したモバイルノートPCだ。
同じようなスペックの製品も多く販売されているが、ZenBookシリーズに踏襲された落ち着いたデザインに心惹かれた人にはオススメ。
Microsoft Office Home & Business 2019も付属し、今や仕事には欠かせないスマホと接続し、通知&連絡も逃さない同社の独自アプリをプリインストールするなど、この先まだまだ続くリモートワークにも活躍してくれる。実売価格14万4800円前後と、それなりの価格となっているが、Officeを付属しないUM425IA-AM008Tが11万9800円前後なので、高性能なビジネスモバイルとしてはコスパはまずまず。
Ryzen 4000シリーズは、一歩先をいく7nmプロセスルールで製造され、コア数が多いだけでなく、数年前の高性能なビジネスモバイルに搭載されていたCPUよりも消費電力が少なく、シングルコアのパワーも向上している。
それにより、製品によっては写真や動画変換もより処理が高速化し、趣味で写真や動画を扱う人にも魅力的な1台となっている。
(提供:日本AMD)