佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第37回
来年はノイキャン付き完全ワイヤレスが標準に!?
クアルコムチップが標準サポートする「Adaptive ANC」とは?
2020年09月07日 13時00分更新
現在ベルリンで開催中のIFA2020において、クアルコムから新技術「Adaptive Active Noise Cancellation(以下Adaptive ANC)」が発表された。本稿ではクアルコムのブログ情報に基づいて解説する。ANCは、最近高級ヘッドホン・イヤホンで搭載が増えてきた“アクティブ・ノイズ・キャンセリング”技術を示す。
最も求められるのは高音質だが……
まず、クアルコムの調査(2020 state of play)によると71%のユーザーがActive Noise Cancelling技術(ANC)に興味があり、完全ワイヤレスイヤホンを選ぶ際のポイントは音質であると回答している。この結果を踏まえ、クアルコムでは「ユーザーがどんな環境で聞いていても良い音質を得るためのキーはANCだ」と解釈しているようだ。
Adaptive ANCと言う言葉からは、過去にクアルコムが発表した「aptX Adaptive」と混同してしまいそうだが、Adaptive ANCはノイズキャンセリングの適用量を“Adaptive”に調節するのに対して、aptX AdaptiveはBluetooth通信のビットレートをAdaptiveに変えるものと言える。
Adaptiveは“適用性”とも訳されるが、なんらかの条件に応じて、その量や程度を変えていく仕組みを指す。例えば、ストリーミングなどは一般的にAdaptiveで通信する。通信回線の状態がよいときはデータ量(ビットレート)を増やすが、混み具合に応じて、ビットレートを落として、途切れないようにするのだ。aptX Adaptiveは、それと似た仕組みをBluetooth通信で実現したものだ。

この連載の記事
-
第240回
AV
ワイヤレススピーカーを40台スタックしたら夢が広がった、シーイヤー「パヴェ」体験イベント -
第239回
AV
USB/Bluetoothの両刀使い、Astell & Kernの小型アンプ「AK HB1」をレビュー -
第238回
AV
Inter BEEで見つけた注目製品、通信とオーディオの融合に可能性 -
第237回
AV
CreativeのMEMSスピーカー採用イヤホンがついに国内販売、最先端技術に取り組む -
第236回
AV
発売直後、finalの新完全ワイヤレス「ZE8000 MK2」ファーストインプレション -
第235回
AV
Qobuzがようやく国内オープン、単月払いで1480円から -
第234回
AV
元ゼンハイザーのアクセル・グレル氏による新ブランド、実質的なHD 800の後継か? -
第233回
AV
イヤホン選びで最も重視するのは音じゃなかった──クアルコムが全世界で調査 -
第232回
AV
FitEarの本社を訪問、若手開発者の起用は音作りに変化を生むか? -
第231回
AV
秋のヘッドフォン祭 2023開催、各社の新製品をレポート -
第230回
AV
Bluetoothに加え、低電力Wi-Fiにも対応するクアルコムの“S7 Pro” Sound Platform - この連載の一覧へ