サムスン電子の2020年秋冬フラッグシップモデル「Galaxy Note20」「Galaxy Note20 Ultra」が各国で発売になっています。ビジネスユースもターゲットにしたこの2つのモデルは、Note20のミスティック・グリーンとGalaxy Note20 Ultraのミスティック・ブロンズが代表カラーとして大きくアピールされています。それぞれ他に2色ずつ、合計3色ずつのカラバリ展開となります。
ところが韓国ではGalaxy Note20にキャリアごとの限定カラーが3色登場しています。SKテレコムがミスティック・ブルー、KTがミスティック・レッド、LG U+がミスティック・ピンクで、この3色はグローバル向けには発表されていません。サムスンは昔からカラバリを後から増やすことが多く「女性向けにピンクを追加」や「冬にレッドを追加」のケースがよく見られました。しかし、今回は韓国キャリア限定でブルー、レッド、ピンクを最初から追加しているのです。
LG U+のプレスニュースを見ると、ピンクカラーが女性向けのイメージで紹介されています。他のキャリアも女性ユーザー獲得のためピンクを出したいところですが、この色はLG U+限定なのです。
韓国では3キャリアが熾烈な争いをしていますが、ドコモ的な立ち位置のSKテレコムが常にシェア半数をとっています。2019年4月に開始した5Gサービスでもその傾向は変わりません。2020年6月末時点の韓国の5G総加入者数は687万人。携帯電話・スマートフォンの総加入者数が6943万人なので、5G普及率は約10%となります。そのうちSKテレコムは45.3%、KTが30.1%、LG U+が24.5%という順位です。
つまりKTとLG U+は魅力的な端末で加入者アップを図りたいと考えているわけです。1年前にKTが「Galaxy Note10」のレッドカラーを投入し他社との差別化を図りましたが、このカラーは大人気となりました。レッドはKTのコーポレートカラーでもあり、その色を配した深紅の端末を冬に投入して一躍注目を集めたのです。それを見たシェアトップのSKテレコムは負けじとブルーの限定モデルを投入。青は韓国を代表する色でもあります。
この2キャリアが限定カラーを展開したことからLG U+も追従を行いましたが、同社のコーポレートカラーは親会社LGのロゴと同じ赤系統。とはいえKTと同じレッドを出すわけにはいきません。そこでサムスンが韓国で過去に限定カラーを展開し、好評だったピンクを採用したと思われます。コーポレートカラーではないものの、女性受けしそうなピンクを採用したことは悪くはないでしょう。
ということから韓国ではGalaxy Note10からブルー、レッド、ピンクモデルがキャリアごとに登場したのです。SKテレコムのウェブを見ると、Galaxy Note20の代表カラーがちゃんとブルーになっており「SKテレコム限定」の文字も見ます。
さてGalaxy Note20またはGalaxy Note20 Ultraは日本でも発売されるでしょう。日本に来るモデルは背面のロゴが「Samsung」から「Galaxy」に変わりますが、キャリアのロゴも入ります。ドコモとauで展開色が違うこともありますが、基本的にはグローバル展開の色を採用します。色の差別化はできているものの、消費者にとってはその差はわかりにくいものです。
韓国ではLGの「VELVET」がやはり3キャリア向けにブルー、レッド、ピンクを展開しています。サムスンだけではなくLGもキャリアの要望に応えた色を投入しているのです。つまり韓国ではキャリアが「自社限定色」を決め、その色を見るだけでどのキャリアのモデルなのかがわかるように仕向けているわけです。
日本でもキャリアを超えて同じメーカーのスマートフォンを出すことは当たり前になりましたが、これからはキャリアの独自カラーモデルを出して差別化するのというのはどうでしょうか? たとえばドコモなら赤いカラーのモデルを各社に出してもらう、といった具合です。
標準カラーとして白や黒は必要なのでしょうが、もはや誰もがスマートフォンを使う時代になり、ベーシックな色だけでは新しい感動を提供できません。キャリアの限定カラーモデルを展開することでキャリアのイメージをより強く印象付けることができれば、5G時代に他キャリアからのMNPを促すこともできるかもしれませんね。
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