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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第121回

マジックみたいにビデオ会議映えするホワイトバランス

2020年07月28日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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WBとはホワイトバランスのこと

 ビデオ撮影やカメラ撮影で大切なのは、ピント(フォーカス)と明るさ、それにWB(ホワイトバランス)です。「いつも撮影はオートモード!」という人、「ホワイトバランス? 聞いたことはあるけど、調整したことは……」という人も多いかもしれません。

 下の画像はビデオ会議を想定したワンシーンです。夕方なのでやや全体がオレンジがかった色合いになっています。ASCII.jpだとページの背景色が白なので、少しクラシック調というか、温かみのある色合いに感じる方もいるでしょう。

夕日の影響でオレンジがかって見えるビデオ会議画面

人間の眼や脳は、ホワイトバランスを無意識に自動調節している

 ところが、人間の眼や脳はとても良くできていて、周囲の色合いに合わせてホワイトバランスを自動で調整しています。つまり、部屋に夕日が入っている環境で見ると、ごく普通の色合いに感じます。

 実験として同じ写真をオレンジ色で縁取りしてみます。そうすると、カラーバランスが自然に見えるはずです(筆者の胸元のTシャツの白や、肌の色の見え方を比較して見てください)。つまり、筆者本人は、ビデオ会議時にはWBが合っていないことが気がつけない……というわけです。

オレンジで縁取ると眼や脳がホワイトバランスを調整する

 ビデオ会議では、相手がどんな環境で画面を眺めているのか不明なので、ホワイトバランスは適切にしておかないと不自然な画像に見えます。下の画像はホワイトバランスの違いによる見え方です。

調整による画像の変化。中央が明るく鮮明に好印象に見える

 中央に比べ、左右の画像もそれほど不自然に見えないかもしれませんが、左端は歯やTシャツなどが黄ばんで不衛生に見え、右端は肌の色が不健康に見えます。

 ちなみに、ホワイトバランスでは、全体が暖かくオレンジっぽい場合に「色温度が低い」、青みがかった場合に「色温度が高い」と表現されることがあります。自動車が好きな方は、ヘッドライトの電球の色合いも同じ表現なので馴染みがあるかもしれません。

眼と脳がだまされる「ウォーターカラー・イリュージョン」

 下の画像は「ウォーターカラー・イリュージョン」と呼ばれる目の錯覚です。どこかの半島の地図のようで、線で囲まれた内側部分が薄い黄色で塗られているように見えます。しかし、内陸の色は、本当は白で着色されていません。

 これは、線の色が内部ににじんだように錯覚することから「ウォーターカラー(水彩絵の具)イリュージョン(錯覚)」と名付けられました。ホワイトバランスを眼と脳が自動調整する現象とは微妙に違う錯覚ですが、本当の色と人間が感じる色が異なることが良くわかる例でしょう。このコラムでもたまに紹介しますが、人間の錯覚を利用して奇妙な現象を見せるのは、マジックも同じです。

簡単にホワイトバランスを調整するには

 話を戻して、ビデオカメラのホワイトバランスを調整する一番簡単な方法は、「WB調整用のグレーカード」を利用することです。

 ビデオ会議前にグレー面がカメラフレームの全面になるように持ち、オートモードにせず、カメラのWB調整ボタンを押すことでホワイトバランスが自動調整されます(詳しくはお持ちのカメラの「ホワイトバランス調整」をご覧ください)。カメラがグレーカードの色を基準として、ホワイトバランスを設定してくれるのです。

 筆者は、WB調整ボタンをビデオカメラのファンクションキーに登録することで、ワンプッシュで自動設定するようにしています。

 グレーカードはさまざまなタイプがあり、持ち運びに便利なポケットサイズから、筆者が使っているA4サイズまでいろいろとあります。プロのカメラマンが使う、シルクスクリーン印刷されたグレーカードは若干高価ですが、使わないときは光に当てないなどの注意を守れば、あまり退色せず数年使うことができます。

シルクスクリーン印刷によるグレーカード。筆者が購入時には、A4サイズ2枚入りで1000円ほど

 PCの内蔵カメラや外部接続のウェブカメラなどWB調整ボタンがないカメラをお使いの場合、「WebCam Setting(Windows)」などのフリーソフトでもホワイトバランスの調整が可能です(一部のカメラ機種は非対応)。同様にmacOS版の「Webcam Settings」などもありますが、筆者の環境(macOS High Sierra 10.13.6 iMac Retina 5K, 27-inch, Late 2014)ではアプリの動作が安定せず使用できませんでした。若干、筆者の機種が古かったのかもしれません。

 すこしお金をかけられるとしたら、自然光に近い照明機材をそろえるのもいいでしょう。筆者がビデオ会議用に買い足したのは「C-PLUS LED Area Light 55」。小型で軽く、光量が調整できるのも気に入っています。

ビデオ会議用に買い足した「C-PLUS LED Area Light 55」(手前)価格は1万5000円前後

少しお金をかけた(汗)、筆者のビデオ会議の機材

 筆者はウェブセミナーなどを手がけていることもあり、テレビ会議機材にはややお金をかけています。これは、企業から講演料をいただく有料のセミナーなので、なるべく高品質の画像と音声を届ける必要があるからです。音声については本連載の第120回「ビデオ会議の音声が悪い。それはアンビエンスのせいかも?」で解説しています。

筆者のビデオ会議(ウェブセミナー)の環境。2つのカメラ+外部マイクを使って発信をしている

 もしビデオ会議が社内向けのみであれば、ここまでの機材は少し大げさすぎで、場所を取りすぎるかもしれません。あぁ、ハンサムに生まれたかったなぁ……。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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