ウィズコロナ時代、急速に注目を集める業務効率化アプリ「Qasee」とは
The JSSA MeetUp Vol.28のピッチコンテストで優勝
The JSSA MeetUp Vol.28がオンライン開催
一般社団法人 日本スタートアップ支援協会の主催するビジネス交流会「The JSSA MeetUp Vol.28」が開催された。
従来はホールで開催されていたコンテストだが、コロナ禍の影響もあり、LiveYourDreamsの技術協力を受けて、オンラインでの開催となった。
プログラムにおいても時世の影響が大きく、「ウィズコロナ」や「アフターコロナ」をテーマとしたトークセッションやセミナーが中心となった。また、オンライン会議システム「Zoom」を活用したオンラインのネットワーキングも開かれた。
優勝企業はゼロフィールド
注目された理由とは
プログラム内のピッチイベントには、優勝出資賞金として1000万円が贈呈されることで、大いに注目が集まった。
優勝したのは業務生産性可視化ツール「Qasee(カシー)」を開発するゼロフィールドだ。
代表取締役CEOの村田 淳氏は「社員から業務の状況をヒアリングして、利益を疎外している問題や、業務の効率化について考えようとしても、うまくいかないことがある。
この大きな原因は、ヒアリングしてつかんだ『感覚値』と『実態』が全然異なっていることであり、経営判断を誤りかねない」と話す。
Qaseeの主な機能は「AIによる業務状況のレコメンド」「生産性/業務内容/チーム比較の可視化」「負荷状況のヒートマップ化」だ。また、外部のカレンダーアプリと連携し、出張や会議などの予定を可視化することも可能。社員がどの業務にどのくらいの時間を割いているのか、非効率化していないかといった情報が、グラフ化できるのだ。
導入は、社員にアプリをインストールしてもらうかたちで比較的容易であり、進捗や工数を口頭や対面で確認する手間が大幅に削減できるメリットがある。
村田 淳氏が「システムから問題や課題を教えてもらえる。人が管理業務に長い時間を使う必要がなくなる」と話すように、これまでは管理者やマネージャーが都度確認していた工程を自動化できる点が魅力。
同社の調べによれば、企業が抱えている悩みとして、主に「労働時間適正化が進んでいない」「辞めてほしくない人が辞めた」「人事制度評価に満足できない」といった声が挙げられるという。
Qaseeがリリースされたのは2019年の10月となり、リリース時は「生産性視点の組織力強化システム」と銘打たれていた。リモートワークやフリーアドレスといったテーマはコロナ以前からホットトピックだったが、コロナの影響で急速にリモートワークを導入する企業が増え、Qaseeの注目度も大きくアップしたと言えるだろう。
日本スタートアップ支援協会では、ゼロフィールドの選出理由を「PC内の『働き方』を見える化させることで、社員1人ひとりの意識と行動改革を促し、組織の問題点課題点を浮き彫りにさせることで強い組織へと変革をもたらすサービスです」と述べている。
ウィズコロナ、アフターコロナで必要とされるサービス
国内の状況として、主に総務省が主体となって、政府は以前からテレワークを推進しているが、コロナ禍の影響によって、今後もテレワークを促進したり、日時や業務内容に応じて、部分的にテレワークを取り入れる動きは続くだろう。その変革がどのようなスピードで進むのかは未知数だが、フレキシブルな働き方が増えていく中、Qaseeのようなサービスの価値が高まることは明白だ。
今回のピッチイベントでファイナリストに選出された企業は、ハイマネージャー(代表取締役CEO 森 謙吾氏)、メンタルコンパス(代表取締役 伊井 俊貴氏)、Engo(代表取締役社長 藤井 友輝氏)、そしてゼロフィールド(代表取締役 村田 敦氏)の4社だった。
ハイマネージャーはリモートワーク向けの音声雑談サービス「RemoRoom」、メンタルコンパスはコロナ対策、働き方改革、人材育成を掛け合わせたテレワークによる「心の柔軟性」のトレーニング/セラピー、Engoは塗料販売店向けの販売管理SaaS「Paintnote」をそれぞれ紹介。
いずれも事業の効率化や社員のケアといったテーマに関するソリューションであり、Qasee同様に、これからの時代でニーズが増えていきそうなサービスだった。