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満漢全席を食らえ!JAWS DAYS 2019レポート 第14回

1年前のセッションを蔵出し コロナ禍の今だからこそ働き方を問え!

“いとみやび”な日本の働き方、私たちは、組織はどう変わっていくべきなのか?

2020年06月05日 11時40分更新

文● 青木由佳 写真●米田真治、平野文雄 編集●大谷イビサ

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 2019年のJAWS DAYSでは、技術そのものについてだけでなく様々な幅広いテーマでセッションが行われた。今回は「働き方」をテーマにした「エンジニアが正しく成長するための、脱昭和&平成ワークスタイル」のセッションレポートを掲載する。

<登壇者紹介>
【パネラー】沢渡 あまね(Amane SAWATARI)さん

 日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社などに計16年勤める。経験のキーワードは「ITと広報」。情シス畑が長く、ヘルプデスク、認証基盤のSE、グループ内広報なども携わった。プロジェクトの炎上やデスマなど「現場の闇の部分」も多く経験しており、業務プロセスを通して行う「成長できる組織づくり」を啓蒙している。趣味はダム巡りで、ダム際でも仕事を行う「アウトドア系引きこもり」。ITILなどのフレームワークやDevOpsなどエンジニアのカルチャーを使って世の中を良くすることと、ITエンジニアが正しくリスペクトされて正しく活躍できる世界を目指している。

【パネラー】黒須 義一さん

 このイベント時には、みずほ銀行で個人のお客様向けの金融サービスマーケティングを担当する部署に所属していた黒須さん(現在は違う会社に所属)。マーケティングデータベースに関わるにあたりクラウドとは「切っても切れない」関係であるが、クラウドを導入しようとすると全社的な取り組みとなる、ということで、バーチャルな組織「CCoE※Cloud Center of Excellence」を率いている。

 金融機関で働くことに対するネガティブなイメージについて、「働きにくいだろう業種No.1代表としてここに呼ばれているいるのかもしれない」と笑いつつ、こんな風に日々過ごしているというリアルな話を届けたい、と語るその眼光は鋭い。世間の想像通りなのか「闇だらけです」という銀行のITにおいて、その闇を楽しむ力を持っている人は強いし、自身は楽しめる方であり、楽しめるように自分でマインドを変えていくことができたらいい、苦しんでいる人もたくさんいると思う、とねぎらった。

 なお、モデレータはJAWS DAYS 2019実行委員の山﨑 奈緒美さんが務めた。今回はいくつか事前にトピックを用意し、それについてお二人に語っていただくというスタイルでセッションが行なわれた。

JAWS DAYS 2019実行委員の山﨑 奈緒美さん

働き方改革ってぶっちゃけどうなの?昭和&平成の働き方とは?

 ニュースでもネットでも「働き方改革」という文字を頻繁に見かける今。2019年4月1日からは働き方改革関連法案の一部が施行され、企業は働き方に対して様々な対策や見直しを行っている最中であろう。

 政府が掲げるそんな「働き方改革」について、沢渡さんは「うーん、ごっこ遊びでは?」と一蹴。「政府としては、働き方が変わったということにしたい。しかし、実際に働いている現場の人たちからすれば「改革」なんて大袈裟なこと言っていないで、まずは決裁やら稟議やら、紙ベースの煩雑な事務作業やらをどうにかしてよー、という感じで誰も得しない状態」とバッサリ。

 黒須さんも「働き方改革担当って、何をやっているかが不明」と素直な感想を口にする。「働く人たち個々の働き方はもう既に変わっている。もう変革は起こっている。企業が起こすものではなく、変わっていく働き方にアジャストするものだと思うという。

 リモートワーク、在宅勤務制度などの働き方を変えるルールを導入した事例は各企業から発信されており、すでに改革はある程度済んでいるとも言える。

 日本企業での新入社員向け研修で多く行われているであろう、マナー研修。筆者も例に漏れず、新卒で入った会社では電話の取り方、名刺交換の仕方、お茶の出し方、など様々なマナーについて学んだものである。こういった研修で習う内容について沢渡さんが「平成どころか、平安かよ!」とツッコミを入れる。

 「名刺の交換の仕方、とか、エレベーターの乗り方、とかもはやこれは”みやび”の世界。」「ハンコ文化は弥生文化、何ならメソポタミア」。では、物理ハンコではなく、電子的なハンコなどのクラウドサービスを使っている場合は?と尋ねると「邪馬台国2.0」と切り返した。

みやびな働き方はいまも

 また、マナー研修の中でもよく見られる「電話」について、「一番若い人、職位の低い人が電話を取る、というのがあるでしょ。あれはダメ」と沢渡さんは言う。日本の職場ではよく見られる光景だが、沢渡さんは「これをすることで情報共有の階層化が起こる」と断言する。確かに、電話は新入社員や若手が取るもので、組織からの情報や決定事項は”必ず”上から下へ伝えられるもの、と刷り込まれてしまっている。

NEXT平成の働き方とは

 これから先「マインドの変革がどこかで起こる」と予言する黒須さんは、その変革にアジャストできる組織がどれだけあるか、がキーだという。黒須さんが転職したばかりの頃、職場でのメールは旧式のオンプレ型のソフトウェアを使っており、300MBしか容量がなかったため、出社するとまずはやる仕事はメールのアーカイブ作業だった。しかし「それは与えられた武器。それで闘えばいいだけ。慣れてくるとささっといける」とポジティブに笑う。

 たとえば、「サーバーワークスさんは他の国にも負けない働き方をしている。」と働き方の変革を実践した事例を挙げた。

【参考記事】トイレの空き状況をSlackのプッシュ通知で把握 社内メールを使わない、サーバーワークスの働き方改革(logmi)
https://logmi.jp/business/articles/320179

【参考記事】サーバーワークス 東京オリンピック期間中の休暇取得を奨励
https://ascii.jp/elem/000/001/953/1953611/

実際に「NEXT平成」を体現している会社や組織は、もう出始めているのだ。

本セッション(JAWS DAYS 2019 働き方セッション「エンジニアが正しく成長するための、脱昭和&平成ワークスタイル」)には、多くの参加者が詰めかけた。

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