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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第563回

Ampere採用GPU「A100」発表、Titan Aが発売される可能性も NVIDIA GPUロードマップ

2020年05月18日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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テクスチャーユニットが存在することから
PCIeタイプのビデオカードは可能

 最後に少し、ビデオカードの可能性について触れておきたい。最初の画像に出てきた、A100を囲む4つの金色のモジュールであるが、これはおそらくVicorのMCD4609と思われる。

A100を囲むように配置されている4つの金色のモジュールは、おそらくVicorのレギュレーター「MCD4609」

 このMCD4609、ちょうど基調講演の公開に合わせて米国時間の4月18日にアナウンスされたものだが、これは要するにチップに対して連続で最大650A、ピークで1200Aまでの電力を供給するレギュレーター(VRM)である。

 従来Vicorは、チップの上に搭載するVRMを提供してきたメーカーだが、さすがにA100ではチップの上に載せる場所がなかったというあたりかと思う。

 問題はこのVicorのVRMは、48V DCを前提にしていることだ。つまりPCI Express系の12Vでは足りないことになる。

 電圧を高くするのは損失を減らすためである。SXM4モジュールのTDPは400Wだが、これを48Vで供給すると、電流はたかだか8.3A程度である。

 ところが12Vにすると33Aを超える計算になる。電流が増えるほど、電源ラインの引き回しに起因する損失が増えるので、可能なら電圧は高くした方が好ましい。

 ただ従来は48Vをいきなり1Vまで落とすと効率が悪化するという問題があったが、Vicorはここに関してノウハウを持っており、効率よく変換が可能なVRMを提供できるため、無理なく400Wでの稼働が可能になった、ということと思われる。

 ただこの方法は48Vを供給可能な場合にしか使えない。ではPCI Expressカードタイプは? というと、NVIDIA A100と同時に発表されたのがEGX A100である。

EGX A100。後端が丸く切り取られているのは、ここに冷却用ファンが来ることを想定していると思われる

 こちらはGA100チップに加えてMellanoxのConnectX-6DXという200G Ethernet/Infinibandコントローラーまで搭載したEdge AI向け製品であるが、こちらは従来と同じVRMを搭載しているのがわかる。

 おそらくTDPはPCI Expressカードの上限である300W以下に抑えられていると思われ、ということは動作周波数も相応に下げられた(1GHzくらい?)形での投入となるだろう。

 したがって、フォームファクターおよび電源の観点で言えば、PCI Expressタイプのビデオカードは可能である。そしてSMの内部構造を示す画像をもう一度見ていただくと、一番下に4つのテクスチャーユニットが存在しているのがわかる。

SMの内部構造

 そもそもテクスチャーユニットはグラフィック表示を考えなければ要らないものであって、これがあるということは少なくとも表示のことは考えていると見なして良いと思われる。

 構成図にそれらしいものがない、と思われるかもしれないが、実はVoltaの構成図にもやっぱり出力部は入っていないあたり、単に省いただけだろうと思われる。

Ampereの構成図

Voltaの構成図

 以上のことから、Titan Vの後継としてTitan Aのような製品を作ることは不可能ではない。不可能ではないが、やるかなぁ? というのはよくわからない。

 それこそRadeon Pro VIIへの対抗で少量生産するくらいのことはあるかもしれないが、そうなった場合の価格はさぞかし素敵なものであろう。

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