2020年4月22日、エクイニクスはメガクラウドを運営するハイパースケーラー向けのデータセンターを国内で開設すべく、シンガポールの政府系ファンドであるGICと10億ドル超規模の合弁会社(JV)を設立した。4月28日に開催されたプレス向けインタニューでは、同社のアジア・パシフィック地域プレジデントのジェレミー・ドイチュ氏がハイパースケーラーでの需要やプロジェクトの意義について説明した。
増え続けるハイパースケーラーの需要に応えるキャパシティ
エクイニクスは従来、「International Business Exchange(IBX)」のブランドでデータセンターのホールセールを展開してきたが、ハイパースケーラー向けの「xScale」データセンターは電力供給や接続性など特定のハイパースケーラーの要求に応えられるスペックを持つ。ここで言うハイパースケーラーとは、Alibaba Cloud、Amazon Web Services、Google Cloud、IBM Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructureなどのメガクラウドを運用するサービス事業者を指す。
昨年、エクイニクスは今回と同じGICと協業し、ヨーロッパ地域でxScaleデータセンターを開設してきたが、同じフレームワークで日本でも拡大するハイパースケーラーの需要に応える。「日本は経済大国であり、クラウドを活用したいという企業も多い。ハイパースケーラーの需要に対して、供給が大幅に不足している」とドイチュ氏は語る。
今回発表された合弁事業では、GICとエクイニクスはそれぞれ80%と20%の比率で資本持分を保有し、東京に2箇所、大阪に1箇所の計3箇所のハイパースケーラー向けのxScaleデータセンターを開設する。東京で1つ目のxScaleデータセンターは「TY12x」と名付けられ、2020年第4四半期にフェーズ1をオープンし、最終的には5525ラックを想定する。大阪の「OS2x」もほぼ同等規模になる予定だが、東京の2つ目のデータセンターは詳細が明らかにされていない。
xScaleデータセンターの最大の特徴は、電力供給量になる。「ハイパースケーラーの関心の大半はどれくらいの電力が供給できるかという点だ。既存のIBXデータセンターが13.5メガワットなのに対し、xScaleデータセンター(TY12xの場合)では45メガワットだ」とドイチュ氏は語る。東京・大阪で3つのデータセンターをフル稼働させると、合計138メガワットの電力供給になるという。