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ASCII STARTUP イベントピックアップ 第75回

「500 KOBE ACCELERATOR デモデイ」レポート

AI×ヘルステックでの事例が多数 神戸発国際アクセラレーション

2020年04月30日 09時00分更新

文● 野々下裕子 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

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認知のゆがみによるうつ症状を解消するスマホアプリ
株式会社キママニ

 薬を使わずアプリやゲームで治療するメンタルケア向けデジタルセラピーアプリを開発しているキママニ。同社が提供する「KibunLog」は、認知のゆがみによるうつ症状を解消するスマホアプリ。自分の今の気分を選んで感情を書き出し、分析画面で可視化できる機能があり、毎日の生活で生じる感情の起伏をログに残すことで対処方法を見つけ、感情コントロールができるようになる。

 認知行動療法の1つであるエクスプレッシブ・ライティングがベース。グローバルでの精神薬の売上は年間約6400億円だが、半分は薬が効かない・または効きにくいため、デジタルセラピーの開発は世界でも進められており、効果に対する期待も高まっている。

 シンプルで使いやすいユーザーインターフェイスは女性を中心に利用者を延ばしており、5万以上ダウンロードされ、月間の記録ログ数は2万以上。それらのデータからも精神疾患に効果があると医薬会社から認められており、今後はその他の症状についても開発を進めるとしている。

音声対話のAIセラピスト
HoloAsh, Inc.

 音声で対話ができるAIセラピストにより、いつでもどこでもメンタルヘルスサポートを提供する技術を独自に開発している。医療コミュニケーションの「動機づけ面接(Motivational Interviewing)を活用し、声の抑揚にあわせてストレスや不安を和らげるよう適切な応答ができるという。

 テキストを使うチャットボットや、人間が対面で行なうビデオチャットとは異なり、声だけを使うので話しやすく、対話療法の効果が得られやすくしている。対話数は月次で100%以上伸びており、月10万件近くになると予想されている。音声認識技術の精度から、まずはセラピストのニーズが高いアメリカおよび英語圏での展開を進めていく。

血管の詰まりを簡易に計測するデバイス
NephTech

 人工透析による血管の詰まり=血管狭窄(閉塞)を診断できるシステムとデバイスを開発するシンガポールの会社。透析患者の60%は血管の詰まりを経験しているが診断が難しく、重症化すると手術が必要になり、それらによる損失は年間で300億ドルにもなるという。

 早期かつ簡単に閉塞の重症度を特定する必要があり、同社はAIを使い血管に当てるだけで診断できるシステムとデバイスを開発した。ポータブルでどこでも置けるサイズになっており、非侵襲型なので使い方も簡単だ。現在3つの特許を申請しており、シンガポール、マレーシア、ベトナムで700人以上の治療に使われている。今後は日本市場への展開を目指しており、すでに医療機関への紹介などが始まっておりビジネスが一歩進んだと話している。

血管の詰まりを計測するデバイスの実機が展示されていた

インド発の遠隔診療アプリ
I Online Doctor Inc

 医師のオンライン相談サービスのマーケットプレイスを提供するインドの会社。専用のスマホアプリを使った安全性の高いビデオチャットで遠隔診療ができる機能により、医師が少ない地域はもちろん、医師が不在の深夜や休日でも診察が受けられるようになる。さらに自分が受診したいスキルや言語で対応できる医師を検索できる機能も用意されており、将来的には世界中で使用できる遠隔診療サービスをワンストップで提供することを目指している。

 サービスの登録は簡単にできることから、2000人以上の医師が登録しており、12000件以上の診療実績を持っている。遠隔診療の市場規模はインドだけで290億ドルあり、今後も成長が見込まれている。日本に向けては海外からの旅行者や、外国語に対応できる医師を探しているユーザーに向けたサービスを計画している。アプリの日本語化も予定しており、小さな診療所も登録できるようにしていく予定だ。

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