ソニーは、全米最大級のビジネスイベントである「SXSW(サウス バイ サウスウエスト)2018」に3月10日から出展。会場では「WOW Studio」(ワオスタジオ)と題して、同社の最新技術やプロトタイプを活用した研究開発段階のプロジェクトなどを紹介していた。
米国初お披露目のアイボ新型
「AI×ロボティクス」の取り組みの例として、エンタテインメントロボット「aibo(アイボ)」が展示されており、触れ合うことができた。日本では予約販売済みだが、米国では初お披露目となる。
蚊や蝶のビジュアルをデジタルに体感
ソニーは、コンピュータ技術で人間の感覚に介入したり、人間の知覚を接続することで、工学的に知覚や認知を拡張、変容させる研究テーマとして「Superception」(スーパーセプション)に取り組んでいる。
同研究の一環として、人間ではないさまざまな生物の知覚世界をパーソナルプロジェクションマッピングによって体験できるシステム「Head Light」を展示していた。
蝶やコウモリなどが見ている世界、時間間隔の移ろいを、頭に装着したプロジェクターが映し出す。たとえば蚊であれば、大きな雨粒やモノの速度間、二酸化炭素を知覚して生きている世界を目の前に再現する。
開発を担当した株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 アソシエイトリサーチャーの笠原俊一氏は、「人間の能力を拡張するという試みはよくあると思うが、人間意外の生き物が持っている能力を人間にインストールしたらなにが起こるのか。本システムを通して確かめていきたい」と語っていた。
テーマパーク利用に注目のSonic Surf VR
テーマパークなどでの利用に大きく期待できる音響サービス「Sonic Surf VR」もおもしろかった。
Sonic Surf VRは、音場を自由に作るアルゴリズムを開発して、スピーカーといっしょに製品化したものだ。音場を作り出している一定エリアの中に立つことで、音が自分のうしろに回り込んだり、耳元を通ったりするといった迫力ある音響体験を味わえる。
さらにインタラクティブな展示に利用できるだけでなく、音場を作ることで美術館などで同じ絵を見ながら多言語で解説するといった活用も可能だ。
B2Bでのイベント向けソリューションとして、6月に正式展開予定とのこと。
また、Sonic Surf VRを利用した光と音の回廊「音響回廊 “Odyssey”(オデッセイ)」も展示していた。計576個のスピーカーがつくりだすトンネル状のもので、光のインスタレーションとともにダイナミックなサウンドが全身を駆け巡った。
以下、Odysseyの体験している様子を動画に収めたので、すこしでも気分を味わってみてほしい。
五感を刺激するアトラクションとサッカーVR
「Interactive CUBE」は、五感に訴える体験型のエンターテインメントステージだ。透明のスクリーンを含む2枚のスクリーンを立方体に組み込み、プロジェクター映像を投射。立方体に入ることで、あたかも空間に映像が浮遊しているような感覚を得ることができる。
たとえば、大きな球の中に入って坂を転がり落ちていくコンテンツでは、ユーザーの動きによって転がる方向をコントロールしたり、球が飛んだり跳ねたりするのに合わせ床が振動。全身を使って楽しめる。
「サッカー VR」は、ソニー・ミュージックコミュニケーションズと体験型VRコンテンツのプロデュースを手がけるハシラスが共同開発したものだ。
サッカー漫画「キャプテン翼」とコラボレーションしており、プレイヤーはストライカーとなって、天才ゴールキーパー「若林源三」と1対1のPK勝負に挑む。
プレイヤーがタイミングよくシュートを打つことで、ボールの威力が最大50倍になるスーパーシュートが発動。VRならではの超人的なサッカー体験と、ゴールキーパーとの駆け引きが楽しめる。