日本でAndroidスマホといったらXperia! というくらい、スマートフォンのブランドとして認知されている「Xperia」。常に最新の技術とスマホのトレンドを取り入れて業界の最先端を走るXperiaシリーズですが、その歴史は決して順風満帆ではありませんでした。これからのXperia、ひいてはスマートフォンの来し方行く末を、ソニー大好きライターの君国氏に写真とともに紐解いてもらう連載です(Xperia 1以降は番外編としてグローバルモデルを紹介しています)。
Xperia NXT seriesの末っ子
「Xperia U」の魅力はスペックではない!
2012年に登場した、Androidスマートフォン「Xperia U」。「Xperia NXT series」として発表されたフラッグシップモデルの「Xperia S」(日本では「Xperia NX」)の兄弟機として、アルミボディーを採用した「Xperia P」そして小型軽量の「Xperia U」として3つのモデルをラインナップしました。Xperia Uのコードネームは「Kumquat」、モデル番号は「ST25i/ST25a」です。カラーバリエーションは、ブラックとホワイトの2色をラインナップ。
スペックを見ると、ディスプレーは3.5型(480×854ドット)のマルチタッチ対応。SoCは「Xperia P」と同じくST-Ericsson製「NovaThor U8500」(1GHz デュアルコア)を採用しているものの、メモリーは512MB、ストレージは8GBとかなり控え目でした。バッテリーはBA600(1290mA)を採用し、背面のカバーをはずすことで簡単にバッテリー交換ができ、SIMカードはスロット式でmicroSDカードスロットは非搭載です。
本体サイズは、約54×112×12mm、重さは110g。手のひらにおさまる最小サイズながら、3モデル共通のフローティングプリズムデザインを採用しています。ただし、「Xperia P」にあったWhite MagicやmicroHDMI端子、NFCといった機能は搭載されませんでした。OSはAndroid 2.3を採用、発売後にAndroid 4.0へとアップデートしています。
メインカメラは約500万画素、フロントカメラには約30万画素のCMOSセンサーを搭載。LEDライトや、物理キーとしてのシャッターボタンも備え、スタンバイから2秒以内ですぐに撮影できる機能がありました。また、「Xperia U」のみ、写真や音楽ジャケットの色に合わせてクリアパーツの色が7色に変化するというギミックがあったのです。
デザイン面で最大の特徴であるフローティングプリズムは、下側にあるパーツの取り外しきせかえが可能で、ブラックの本体にはブラックとピンクのパーツ、ホワイトの本体にはホワイトとイエローのパーツが同梱されており、1台で2パターンのカラーコーディネートを楽しめました。
3機種の中では、スペックや機能は控えめではありましたが、そのコンパクトさとデザイン性の高さを兼ね備えたオシャレなモデルとして注目を浴びたモデルだったのです。

この連載の記事
- 第97回 ソニーの技術力を結晶させた「Xperia PRO-I」は今後のXperiaの方向性を示している
- 第96回 コンパクトプレミアム「Xperia 5 III」はSIMフリーも登場し、シリーズの中核的存在
- 第95回 ミッドレンジXperiaでは初の5G対応「Xperia 10 III」
- 第94回 ソニーの技術を集結! ワンソニーをついに体現できた「Xperia 1 III」
- 第93回 Xperiaで初めて5Gミリ波に対応したプロ向けスマホ「Xperia PRO」
- 第92回 今でも現役で使えるスペック&持ちやすさが魅力の「Xperia 5 II」
- 第91回 トリプルカメラへと進化したミドルレンジXperia「Xperia 10 II」
- 第90回 5G対応でα譲りのPhotography Proモードが初搭載された「Xperia 1 II」
- 第89回 スペックはミドルクラスながらもソニー独自の性能が楽しめる「Xperia 8」
- 第88回 コンパクトな握りやすさとハイスペックを両立させた「Xperia 5」
- 第87回 ターゲットを絞った戦略に舵を取った「Xperia 1 Professional Edition」
- この連載の一覧へ