コロナウイルスのニュースが気になるなか
我が家のテレビが壊れてしまった
本連載の2020年一本目に「公衆衛生」について書きました(「テクノロジーと公衆衛生」)。その時言いたかったことは、サイバーセキュリティなども公衆衛生として対処した方が良いのではないかという話ですが、その後、生徒1人1台を実現するギガスクール構想が持ち上がり、うがい・手洗いと同様に、セキュリティも小学校で教えたら良いのではないか、と思った次第です。
しかしこの「公衆衛生」は、意外な方向で注目されることになります。新型コロナウイルスのCOVID-19です。中国では、原稿執筆時点ですでに7万人を超える感染者と、2000人を上回る死者数を数え、依然として拡大が続いている状況です。
しかも、日本国内での感染者の経緯を見ると、1月初め、あるいは昨年のうちにすでに日本に新型コロナウイルスが入っていた可能性もあり、インフルエンザシーズンへの警戒やうがい・手洗いの習慣で、感染拡大が鈍っていたのかもとすら思えるほどです。それでもかかってしまう人がいるわけですから、やはり脅威は続きますね。
ふと、1月の原稿を読み返すと、年明け4日間高熱で寝込んでいた筆者がいました。しかも病院でインフルエンザ検査をしたら陰性。通常の風邪として解熱剤が渡され、経過観察として家に返されました。そのタイミングでは新型コロナウイルスは未知の状態で、指定感染症でもありませんでしたから、その対応で間違い無いのでしょうが、今同じ状況なら即入院だったのかもしれません(現在は非常に元気ですが、花粉症で鼻水と涙がひどいことになっています)。
さて。
身近にある当たり前だったものが突然壊れると、いろいろ考えさせられます。単純に「買い替え出費」に頭を抱えるものもありますし、その一方でそのものと過ごしていた時間、それがあった空間などの意味も変化していきます。
筆者の家にあったテレビが壊れてしまって1週間。テレビはリビングルームの壁際にあり、その正面にソファがありました。ソファに座ってテレビを見るというありがちなセットアップでしたが、テレビがな無くなると、自然とソファに座らず、ダイニングテーブルで過ごす時間の方が増えました。
ケータイ/スマホが主たるメディアであることは間違いありませんが、テレビも大好きなのでバラエティ番組も少なからず観ますし、Amazon Primeビデオ、Netflixなどのストリーミングも大画面で見るのが基本です。
おりしも、新型コロナウイルスの情報が刻々と伝えられる中で、情報手段の一つであるテレビがまったく使えないのは痛い……。テレビのいいところは、つけっぱなしにしておいて、他の家事や作業をしながら、気になる話題だけ気に留めるという使い方ができる点でした。
テレビの音が無い、とにかく静かな日常にも価値がありますが、やはり寂しいものです、いつもあったものが無くなるというのは。
応急的な処置としての
スマートスピーカーやタブレットの小画面
テレビのニュースが流せなくなって、特に朝の時間家事をしながらの情報収集に活用し始めたのが、スマートスピーカーです。正確にはAmazon Echo Showという画面付きのAIデバイス。これにラジオをストリーミングできるRadikoスキルを追加して、NHKラジオを聴く、という方法で、台所でのニュース手段を手に入れました。
スマートスピーカーはラジオのほかに、Podcastも再生できます。音声コンテンツは耳だけ傾けていれば成立するので、台所や家事のお供にはぴったりではあるのですが、混み入った話の場合、スマートスピーカーからオープンエアに流すよりは、家の中でもAirPodsを装着していた方が快適かも知れません。
では完全に映像を諦めたのかと言われると、そうでもありません。
機能として存在しているのは知っていたけれど、実際にはさほど使っていなかったのが、iPadの小画面機能です。仕事の大半をiPadで過ごしていて、便利なのは複数のアプリを整然と同時利用できる点。
今もそうですが、テキストエディタ+メモで画面分割をしながら、右側の画面の端から右にスワイプして、参照ページが開いてあるウェブブラウザを表示させる、といった方法を駆使しています。ここまでで、同時に3つのアプリを扱えるのですが、実はiPadは第4の窓を出すことができます。それが、ビデオストリーミングです。
ビデオを見ている時に他のアプリに切り替えたり、小画面(ピクチャーinピクチャー)ボタンを押すと、画面の好きな位置に、ある程度自由度を持ったサイズで、ストリーミングを表示できます。これはほかの画面分割アプリに関係なく再生でき、作業中に音楽だけでなく映像も「ながら視聴」ができます。
これらの方法を駆使することで、テレビが壊れていても、ながら視聴の環境は手に入れることができました。ただ、ストリーミングのコンテンツって基本的にみたい番組を再生するので、内容が気になって、ながらにはなかなかならないものです。
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