続いては軽めのゲームにおけるパフォーマンスをチェックしよう。まずは「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークを利用する。画質は“最高品質”、解像度はフルHDとした。総合スコアーのほかにレポートに表示される最小/平均fpsもチェックする。
こちらはCINEBENCH R20よりも圧倒的に差が小さい。どのCPUもどんぐりの背比べといったところだ。強いて言えばSMTが使えるRyzen 5 3600の方が高フレームレートが出るが、RX 590〜RX 5500XT程度のビデオカードと組み合わせることを考えると、ほぼ違いがないことがわかる。
もう一つ軽めのゲームとして「Fortnite」を試してみた。APIはDirectX12、解像度はフルHDとしたが、画質は“低”&描画距離のみ“最高”さらにレンダースケール100%にしたフレームレート追求型の設定と、画質“高”設定の2通りで試した。モーションブラーはオフにしている。クリエイティブモードでデフォルトのマップで遊んだリプレイファイルを再生させ、その時のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。
CPUの力の差は画質重視設定よりもフレームレート重視設定にした時の方がハッキリと現れる。Ryzen 5 3500とCore i5-9400Fは甲乙付けがたいレベルだが、Ryzen 5 3600とは明確な差が付いている。CINEBENCH R20とは違い、SMTをオフにしたRyzen 5 3600の方が3500より高フレームレートを出しているということは、L3キャッシュの容量差が効いていることを示唆している。
リフレッシュレート144Hzの液晶のポテンシャルを活かしきるならRyzen 5 3600の方が有利だが、程々でよければRyzen 5 3500でも良さそうだ。ただ画質重視設定では各CPUの差がほとんど消失する。これはGPU側がボトルネックになりつつあることを示している。
Fortniteの裏で「OBS Studio」を利用してゲームの模様を録画した際にCPUの差がどう出るかも確認しておきたい。OBSのエンコーダー設定はx264の“Fast”、プロファイルは“High”、ビットレートは5000kbps、録画時の解像度はフルHD@60fpsに設定した。下のグラフはFortniteのフレームレートだ。
スコアーの傾向は録画処理のない時と同じで、L3キャッシュの多いRyzen 5 3600の方が3500よりフレームレートが出ている。このスコアーだけをみれば、Ryzen 5 3500はまずまずの性能といえるが、録画時にフレームドロップが発生していないのはRyzen 5 3600のみ。
しかしながら、Ryzen 5 3600でもSMTを無効にすると激しくフレームドロップするため、CPU側の録画を考えているなら6C12TのRyzen 5 3600以上が必須といえる(無論録画時の画質設定やゲームのCPU利用率によっても変化するが……)。Ryzen 5 3500で録画する場合はGPU側の録画機能、もしくは負荷をオフロードできる外部のキャプチャーユニットなどに頼るべきだろう。
まとめ:ビデオカード必須な点は残念だが、低価格でZen2を使える良い選択肢
Ryzen 5 3500の登場で物理6コアのCPUがさらに身近なものとなった。Core i5-9400Fと比較するとコア数も動作クロックもほぼ同程度だが、より低価格で入手できるとうアドバンテージは後発品ならではといえる。もちろんRyzen 5 3500の性能を十全に引き出すにはDDR4-3200メモリーが欲しくなるため、プラットフォーム全体としての投資はCore i5-9400Fとそう変わらない。
しかし、Core i5-9400Fはアップグレードパスが最大8コアが限度、かつ次世代CPUではチップセットやソケットも変更になる(まだ噂だが)。ソケットはAM4のまま最大16コアのCPUまで選択でき、マザーの選択によっては次世代のZen3まで継承可能、さらにPCI-Express Gen4対応など諸々を考慮に入れると、Core i5-9400FよりもRyzen 5 3500の方があらゆる面で有利だ。内蔵GPUを持たないためビデオカードが必須な点は残念だが、低価格ミドルクラスのビデオカードを組み合わせたゲーミングPCを組むには、Ryzen 5 3500は良いチョイスになるだろう。
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