連日ニュースで報じられている、中国発のコロナウイルス感染拡大。武漢にいる日本人がチャーター機で帰国し、感染が確認されたほか、WHOが国際的に拡大している感染症として「緊急事態」を宣言しました。
この原稿を書いている時点での傾向として、2日ごとに死者数が2倍になっています。そのため、近いうちに中国での死者数が1000人を超える可能性もありそうです。すでに店舗の休業や旅行、出張などの自粛が起きており、アジアの経済にも影響を与えるだけでなく、世界の工場としての役割を持つ中国。春節明けの製造計画も含めて、世界中の企業にも影響を及ぼしそうです。
東京の街に出てみると、確かに消毒ジェルがドラッグストアから消えたり、マスクが品薄になってはいるのですが、風景としては例年の冬から春にかけてのものと大きく変化はありません。街の人たちはみんなマスクをしているからです。
最近、スポンジタイプのものや、カラフルな色が付いているモノなど、バリエーションも増えてきました。インフルエンザシーズンから花粉シーズンまで着けるとしても半年間はあります。あるいはいろいろな理由で1年中マスクをする人も少なくないため、ファッションの一部として捉えられても不思議ではありません。 ちなみに、個人的に気になっているマスクメーカーがVogmask(https://www.vogmask.com)。マイクロファイバーもしくはオーガニックコットンの下地に3層のフィルターを重ねた構造で二酸化炭素と湿気を排出するバルブが付いたデザイン。製造から3年、使用し始めてから6ヵ月で交換するとのことなので、日本だと1シーズン使えます。価格は1枚33ドル。
しかしウェブサイトにアクセスすると、一番上の部分に「現在新規オーダーの受付を取りやめている」という残念なお知らせが……。おそらく今回のコロナウィルスの影響でマスクが品薄になっている中で、Vogmaskも例外ではなかった、ということでしょう。
やはり世界の中でもマスク大国の日本
個人的な経験からも、やはり日本はマスク大国だと思います。
東京はマスク励行が最も進んでいる都市で、人が非常に過密な環境で1時間程度の通勤をしている人々が、インフルエンザや花粉への対策としてマスクをするのはもはや当たり前になっています。
またマスクをしていると、通勤電車の中でもちょっと油断できますよね。口を開けて寝ていてもわからないし、あっかんべーをしてもバレません。いや、する必要はないのですが。これも、通勤の時にマスクをしていて快適に感じる理由だと思いました。
日本衛生材料工業会の統計データによると(http://www.jhpia.or.jp/data/data7.html)、2018年度のマスク製造数は国内製造と輸入を合わせて55億3800万枚。この数字がぐっと増えたのは2012年で、東日本大震災の原発事故が関係していると考えて良いでしょう。
しかし米国で暮らしていると、マスクをしていることは奇異の目で見られることに気づかされます。「何か、重大な病気なんじゃないか」と言う目で見られ、わざわざ人が近づいてこない。マスクが当たり前の東京から引っ越すと、これもまたカルチャーショックの1つでした。
もちろんドラッグストアにはマスクが売られているし、病院などの医療従事者もマスクを使いますが、日本のように街の風景の中にマスクを見ることはまずなかったのです。
マスクに対応していない顔認証スマホ
2017年にiPhone Xが登場し、先進国で大きなシェアを持つスマートフォンブランドが顔認証に対応しました。Face IDは顔を3Dキャプチャしてモデル化し、瞬時に認証する仕組みです。指紋認証よりも認証が早く、見るだけでロック解除できる仕組みは快適だと思います。
しかし、決定的に「マスクとの相性が悪い」のです。つまり、日本においては、インフルエンザ対策が始まる11月から、花粉が収束するまでの半年間、すんなりとFace IDでスマホのロックを解除できなくなってしまいます。
マスクは顔の半分ほどを覆ってしまいます。そのため鼻、口、口元などの特徴を隠してしまうため、顔認証が精巧であればあるほど、ロック解除できずはじかれてしまうのです。
ちなみに筆者の場合、上唇までずらすとロック解除できました。そこで、だんだんずらす範囲を小さくしながら、顔のパターンとして学習させる作戦を敢行中です。
ときどき顔が一致しないとパスコード入力を求められますが、そこで正しいコードを入れてロック解除できれば、学習が進んでいくことになっています。できれば、鼻先だけずらせばロック解除、というレベルまで持っていきたいのですが……。

この連載の記事
-
第314回
Apple
アップル「iPhone SE(第3世代)」隠れた最大のイノベーション -
第313回
自動車
「10年後にはみんなEVになるんだから」と人は言うけれど -
第312回
自動車
スマホから自動車を買う テスラのユーザー体験 -
第311回
自動車
Tesla Model 3をポチるまで 決め手は航続距離と乗り心地 -
第310回
自動車
テスラを買ったワケ 最大の動機は「リスク回避」 -
第309回
ビジネス
Twitterジャック・ドーシーCEO退任 理由は「創業期を脱するため」 -
第308回
トピックス
忙しすぎてカオスな予定を量子AIに調整してもらいたい -
第307回
Apple
なぜiPodは成功したのか 20年経った今あらためて考える -
第306回
トピックス
大学オンライン授業、教室との「ハイブリッド化」は複雑怪奇 -
第305回
トピックス
トランプ大統領が巨大ITに締め出された事態の重み -
第304回
自動車
アップルは本当に電気自動車を作るのか - この連載の一覧へ