JBAT、ジョイゾー、M-SOLUTONSが語るプラグインビジネスの舞台裏
機能はかぶるが役に立つ!kintoneプラグインのエコシステム
2020年02月04日 09時00分更新
kintoneの足りない機能を補うプラグイン。kintoneでのシステムインテグレーション(SI)においても重要なパーツであり、有償でもニーズの高い市場に育っている。最新のkintoneプラグインの動向について、JBアドバンスト・テクノロジー(JBAT)の杉山貴之氏、M-SOLUTIONSの植草学氏、ジョイゾーの四宮靖隆氏に聞いた。(インタビュアー 大谷イビサ 敬称略)
「道具箱」を目指すJBAT、シンプルさを追求したジョイゾー
大谷:まずは各社の紹介とプラグイン製品の概要を教えてください。JBATの杉山さんからお願いします。
JBAT杉山:はい。JBATはJBCCホールディングスの事業会社で、SI事業とともに、ソフトウェア開発も担うメーカーです。現在、kintoneユーザーに向けては、10個のkintoneプラグインがオールインワンになった「ATTAZoo+(アッタゾープラス)」を月額3000円で提供しています。
大谷:どんなプラグインがオールインワンになっているのでしょうか?
JBAT杉山:ATTAzoo+は、kintoneといっしょにすぐに使える「道具箱」のようなイメージで、kintoneのユーザーであれば、つまづくことの多い入力やステータス更新、集計、検索、ルックアップなどでの困りごとをサポートします。
あとはノンコーディングでデータ連携できる「Qanat 2.0(カナート)」というミドルウェアも提供しており、kintoneアプリと他のシステムとの連携も容易に行なえます。
大谷:次はジョイゾーさんお願いします。
ジョイゾー四宮:ジョイゾーは長らくkintone専業のSIerとして事業を展開してきましたが、プラグインの開発・販売も手がけています。最初にプラグインを出したのは2016年で、きっかけは「サイボウズデヂエからkintoneに移行したい」というものです。
サイボウズデヂエからkintoneって、データの移行はできるけど、機能の移行はできません。でも、カスタマイズしようとすると、けっこうな金額になるので、弊社がデヂエにあるけどkintoneにない機能を補えるプラグインをいくつか作ったんです。
大谷:なるほど。
ジョイゾー四宮:こうして作っていった結果、コストをかけず、不足した機能を手軽に補えるとお客様からも評価していただき、kintoneビジネスとの相性がいいことがわかりました。
最初はkintone hiveで発表して、無償で出したんですよ。でも、その後お客様の反応を見たら、十分ビジネスになると踏んで有償化しました。1プラグインで3000円、3つだと1000円お得、あとは使い放題という3つのラインナップをそろえています。今は全部で11個ですが、今後もラインナップを増やすので、使い放題がお得。一番売れているのは手書き化プラグインですね。
大谷:これってユーザーからの要望で作られていることが多い?
ジョイゾー四宮:カスタマイズの過程で、特定のユーザーだけではなく、一般のお客様でも喜んでもらえるものをプラグイン化しています。あとはkintoneに本来あるべき機能を補う目的。いずれにせよ、ITに詳しくなくても使え、kintoneのシンプルさを殺さないように気を配っています。
M-SOLUTIONSのプラグインは販社の導入も増えている
大谷:最後はM-SOLUTIONSさんです。会社紹介とkintoneへの取り組みを教えてください。
M-SOL植草:M-SOLUTIONSは、SBテクノロジーの子会社のSIerで、2019年6月に私が代表になりました。kintoneのSIの中では大規模~中規模の案件をやることが多く、年間で100くらいの案件をこなしています。
kintoneのプラグインはお客様のリクエストから作った検索拡張プラグインが最初のサービスでした。もともとはSIの拡張でプラグインを作っていて、売り切りがメインでした。でも、年額の方が好評になってきたので、2019年からは1本あたり10万円/年 前後で提供しています。ほとんどは1ドメイン単位で使えます。
大谷:いろいろな種類ありますが、みなさんどんな感じで導入されるのでしょうか?
M-SOL植草:基本的には1本か2本の導入が多いですね。より高度な検索を実現したいとか、詳細なアクセスログをとりたいという要望に関しても、カスタマイズしなくてもプラグインがあれば実現できます。kintoneのSIにおいて、お客様に早く提案できるというメリットがあるので、プラグインを充実させています。
大谷:やはりSI案件で利用されるのでしょうか?
M-SOL植草:kintoneも認知度が上がってきたので、自分たちでアプリを作ってみようというニーズも増えていて、そういったときにわれわれのプラグインを活用してもらっています。業務システム自体はわれわれがSI案件で担当するのですが、kintoneは自分でシステム作れるので、スタンダードコースを購入した方には権限を分けて、現場でも作ってもらえるようにしています。
大谷:では、御社のSI案件とエンドユーザーのアプリ作りの地固めですね。
M-SOL植草:あと、ライセンスの販売パートナー経由の導入は増えていて、昨年からは半々くらいになっています。kintoneの特性としてアプリにプラグインだけ設定してしまえば、カスタマイズなしでそのままデリバリできます。販売パートナーとしては、そこがメリットですね。
最近はセミナーやイベントでkintoneだけでなく、プラグインという単語の認知も増えています。「kintone プラグイン 検索」でGoogle検索して試用にまで行き着く、販売パートナーが増えています。
JBAT杉山:われわれもサイボウズのイベントに毎年出展していると、お客様の認知度や知識が年々上がっていることを実感できます。