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長く使えば使えほどその違いがわかる

Seagate技術本部 本部長が語るBarraCuda 120 SSDの耐久性&信頼性が高い理由

2020年01月31日 11時00分更新

文● 飯島範久 編集●ASCII編集部

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 昨年末にリリースされたBarraCudaシリーズのSSD「BarraCuda 120 SSD」は、一般的なSSDと比べ高い耐久性と信頼性を実現している。スペック上でも耐久性を示すTBWは容量の小さい順に150TB、300TB、600TB、1,170TBと高い耐久性を実現。MTBFは180万時間。保証期間は5年間となっている。

 とはいえ、このような数値はどのようにはじき出され、この数値が信頼性につながるのが分かりづらい面もある。そこで今回は、いかに耐久性を高め、どのような取り組みをしてきたのか、Seagateの技術本部 本部長である横山智弘氏へお話を伺った。

↑Seagateの技術本部本部長である横山智弘氏。

SATA接続SSDは枯れた技術ではない!

――「BarraCuda 120 SSD」は従来モデルに比べて耐久性がアップしています。今回どのような取り組みが行なわれたのでしょう。

↑SATA3接続の2.5インチSSD「BarraCuda 120 SSD」

横山智弘氏(以下横山) SATA接続のストレージは、特異性も低く、すでに枯れた技術なのではと思われがちなのですが、このたびSSD後発メーカーとして、高性能なSSDをリリースさせていただきました。

 SSDに限らずストレージ性能を計測する手段として一般的に利用されている「CrystalDiskMark」のようなパフォーマンスアプリだと瞬間的な性能しかわかりませんが、本来は使い込んだときにどのような性能特性になるのかが、ストレージデバイスを使用される方に重要になるかと思います。

 弊社内の特殊なツールやスクリプトでのテストデータでは、使い込んだ時の状態がわかりにくいため、今回はストレージデバイスを搭載される各種機器ベンダーの方々に定評のある広田製作所さんのテスターとSNIAという標準化団体が提唱しているテストスクリプトを使用して性能評価を行ないました。

↑長野県須坂市にあり、ストレージ製品を搭載導入される機器メーカーに定評がある広田製作所のHDD/SSDテスター。SMART TESTERシリーズは、「多様化するメディアの特性を多角的に把握し、開発から量産に至るまでお客様のシステムに最適なメディア選定 及び 評価解析をサポートします」としている。

――つまり、われわれユーザーが見ているのは、性能の一部分なのですね。

横山 その通りです。SSDは、連続して書き込みをしていくと、ガベージコレクション(NAND フラッシュの内部管理処理)や、ウエアレベリング(NANDフラッシュの平滑化処理)などによりパフォーマンスがガクンと落ちてしまいます。最初の方はいい値が出るので、この値を最高スペック値として公表することが一般的であり、CrystDiskMarkなどで計測した結果も、この値を使用しております。

 SSDの製品としては、どんな製品でも上記に記載しているような理由により、パフォーマンスが落ちてしまうことは避けられないのですが、BarraCuda 120 SSDは急激なパフォーマンスの落ち込みがないように設計、調整を行なっております。SSDはドライブをフォーマットしても、HDD同様、内部のデータ自体は、クリアーされておりません。内部データとしては、バラバラのままです。

 特殊なコマンドを実行することで、クリアーにすることは可能なのですが、容量にもよりますが、かなりの時間を要するため現実的ではありません。繰り返しになりますが、弊社は、SSDでは後発メーカーなので、ストレージデバイスとしての基本要求機能/性能の大きな指標であるパフォーマンスのバラつきを極力抑え、性能バランスがよいSSDを製品リリースさせていただきました。

――ユーザーの人もある程度使い込んでいくと、当初のようなパフォーマンスが得られないと感じているとは思います。具体的にはどう調整したのでしょうか。

横山 調整の仕方を話す前に、SSDの基本構成からお話します。SSDにはコントローラーとメモリーがあり、現在大半のメモリー(NAND)はTLCかQLCが利用されています。また、パフォーマンスをアップさせるためにキャッシュ用としてDRAMを搭載しておりますが、価格が安い製品だとこのDRAMが搭載されていないものもあります。DRAMのあるなしでは、パフォーマンスに影響が出ますが、そのぶんコストも高くなるわけです。

 また、メモリーもTLCとQLCではコストが違います。QLCはTLCに比べてコスト、単体比較では信頼性とパフォーマンスが落ちてしまいます。BarraCuda 120 SSDは、DRAMを搭載し、メモリーはTLCを採用しています。信頼性とパフォーマンスの向上に主眼をおいた製品です。

――同じ容量でもかなり価格差があるのは、こういう違いがあるのですね。

横山 コントローラー部分では、SATAを制御するフロントエンドと、NANDをコントロールするバックエンドに分かれるのですが、このバックエンドの作り込みがキーポイントになります。フロントエンドとバックエンドの処理スピードを比較すると、フロントエンド側のほうが明らかに速くなります。このため、いかにバックエンド側がこのギャップを埋めるか重要になります。

 バックエンドのファームウェアのアルゴリズムで、メモリーをDRAMキャッシュ(1次キャッシュ)とNANDメモリーの一部をキャッシュ(SLCキャッシュ)として利用し、この2つを最適に活用するよう設計しています。ポイントはこのSLCキャッシュのテクノロジーをうまくコントロールすることで速度を向上、安定させるのか。このアルゴリズムを最適化させるのがキモになります。

 それに加え、コントローラー自身の性能も重要なため、最新のコントローラーを搭載し、ファームウェアのアルゴリズムを改良しています。これらが、今回パフォーマンス性能及び特性がよくなった理由です。

SNIAの結果から歴然。性能も耐久性も大幅アップ

――広田製作所さんによるSNIAのテスト結果を見ると、一般的なSSDに比べてかなり違いますね。

↑SNIA SSS PTS評価「Write Saturation Test」の結果。これは、SSDの初期状態の性能から定常状態へ遷移していく状況を確認するテスト。BarraCuda 120 1TBモデルと一般的なSSDと比較した場合、書き込み性能も落ち方もかなり違うことがわかる。

↑こちらは、定常状態に至ったSSDの性能を転送ブロック、ライト、リードなど56種類の組み合わせで多角的に確認する「IOPSテスト」の結果。各種アクセスサイズ(0.5KB~1024KB)とアクセスパターン(0/100/-Read100%から100/0-Write100%)でのIOPSを計測。性能の違いは歴然。

横山 一般的なユーザーは、ここまで過酷な使い方はしないと思います。しかし、われわれのようなSSD後発メーカーの場合は、値段云々よりもいい製品をリリースすることで勝負しなければならないと思っています。ユーザーにとっては、簡単には目に見えないかもしれませんが、パフォーマンスの落ち具合を抑えることで信頼性につながると思っています。

 たとえば、性能が急激に落ち込むことで、OSやアプリケーションに、予期せぬことが発生することがあります。そうなると最悪の場合、強制的に電源をオフしなければならない事態になるかもしれません。強制的にオフすると、データが破損するなど2次的な被害も起こりうるのではないでしょうか。

――信頼性やパフォーマンスに直結するSLCキャッシュの割合は試行錯誤しているのでしょうか?

横山 そうですね。どのくらいあれば最適なのか? たとえば、メモリー容量が1TBとすると、その中にSLCキャッシュを持たなければならないため、ユーザーの領域は減っていきます。パフォーマンスが落ちる原因の1つは、このSLCキャッシュがフルになってしまうからです。

 また、オーバープロビジョニング(余剰領域の確保)というスペア領域を持ち、信頼性とパフォーマンスを向上させる取り組みも各社行なっております。メモリーとしては512GBや1024GBなどとありますが、480GBや960GBとなっているのは、オーバープロビジョニング領域を持っているからです。

――最後にSeageteが目指すストレージのありかたについてお聞かせください。

横山 冒頭でも述べましたが、SATA接続のSSDは、枯れた技術だから安くなっていると思われがちですが、実はそうではありません。今回、弊社のさまざまな取り組みをご説明差し上げました。もちろん、「FireCuda 520」のような最先端なNVMe SSDも、さまざまなテクノロジーが生かされております。

 ユーザーの大切なデータを保存・保管するストレージデバイス群を設計・製造・販売する弊社としては、より高みを目指し性能も信頼性も向上した良い製品をお届けできるよう今後も努力してまいります。

↑PCIe 4.0に対応したM.2接続のSSD「FireCuda 520」にも、こうしたテクノロジーが生かされている

(提供:日本シーゲイト)

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